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晴れた日には、恋をする  作者: 月舟 蒼
第五章 冬
73/104

5-12

 テレビは何を見るかで汐里と涼介が一通り揉めたが、途中から話に花が咲き、それはどうでもよくなった。気がつけば、年末恒例の国民的音楽番組がBGMとしてかかっていた。

 音楽には疎い直陽だったが、いくつかは知っていた。

 その番組も終わりに近付いたころ、莉奈が、

「そろそろ蕎麦そば作ろうか」

と言った。

「そういえば、年越しそばって、どのタイミングで食べるのが正解なりか?」

「前の年と次の年をまたぐのが普通だと思ってた」

 涼介がそう言いながらスマホで調べる。

「おう、間違ってたぜ」そう言って今調べた内容を読み上げる。「『大晦日中ならどの時間でもよい。年を越さないのが望ましい』そうだったのか」

「じゃあ、夕飯でも良かったんだ」莉奈が少し残念な顔をする。

「でも、ちょうとおなか空いてきたし、夜食にいいんじゃない?」

 と汐里がフォローする。

 何人かがキッチンに入ろうとしたが、莉奈が、

「みんなはあっちで待ってて」と言って一人で作ろうとする。「こういうの好きなんだ」

「じゃあ、運ぶとき手伝うね」とあまねが言った。

 そういえば、スーパーで食材買う時、コガリナ、張り切ってたなと直陽は思い出した。

 十分ほどしてリビングに蕎麦が運び込まれた。

「おお!」皆一様に驚いた。

 かき揚げ、海老天、唐揚げ、とろろ、山菜⋯まるで有名そば・うどんチェーン店のようで、みんなワクワクした。

「さすがコガリナだな」涼介が素直に感嘆する。

「で、でもこれ食べ切れるかな。夜遅いし」琴葉が軽く水を差す。

「大丈夫なりよ。残ったら男性陣で食べ尽くすから」

 靖太郎がそう言うと、莉奈は嬉しそうに微笑んだ。

 直陽と瞬はかき揚げ、涼介と靖太郎は海老天と唐揚げ、あまねはとろろ、琴葉は山菜、汐里は山菜ととろろを選んだ。

「直陽くんはなんでそれにしたの?」

 あまねが直陽に訊いてきた。

「カップ麺のイメージが強いかな。あまねさんは?」

「私、昔からとろろが好きなの。口周りに着くとかゆくなるでしょ?小学生のころ、つかないようにうまく食べてるお母さんを見て、ああなりたいなって練習してたら好きになっちゃった」

「へえ、そんなエピソードが。てかあれって痒くなるの?」

「え?ならないの?」あまねは驚きを隠せない。

「あー、それ、私も昔気付いた」莉奈が口を開く。「私は痒くなるたちなんだけど、個人差があるらしいよ」

「そうだったんだ」

 そう言ってあまねは何かを考え込んでいる。

「さ、あと三十分で()()になっちゃうよ。急いで食べよう」

 莉奈が促すと、皆「いただきます」と言って食べ始めた。

**次回予告(5-13)**


「莉奈ちゃんってやっぱり、すごいな。憧れちゃう」あまねはそう言いながら、少し寂しそうな顔をした。


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