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晴れた日には、恋をする  作者: 月舟 蒼
第五章 冬
71/104

5-10

 児玉台こだまだい団地は今直陽とあまねが住む緋坂台ひさかだい団地と同じで、昔小高い丘だった場所を切り拓いて造成した住宅地だった。北と南の二区に分かれている。南北の中央にはちょっとした商業施設がある。スーパーとドラックストア、ファストフード店が立ち並んでいる区画だ。その近くのバス停で降りると、一行はスーパーに向かった。恒例の買い出しだった。

 みんなで食べられるオードブル的なもの、お酒などの飲み物、お菓子をカゴにいれていく。共通で買うものは会費制になっている。

 莉奈が「これは外せないよねえ」と言って、嬉しそうに蕎麦そばのコーナーを物色していた。売り場には「今年の締め年越しそばに、ちょっといい生麺なんてどう?」というポップが付けられていた。

「そば食べれない人いる?」

 と莉奈は皆に声をかけた。幸い食べられない人はいなかった。やはりコガリナは気が利くなと誰もが思っただろう。

 一通り買い揃えて、店を出た。

「セイタ、ちなみに、北?南?」

「北なりよ」

「おぅ、本当に実家の近くじゃないか。確かに単身用のアパートがたくさん建ってた」

「これは運命なりね」

「やめろよ、気持ち悪い」

 二人は大声で笑う。

 結局、靖太郎のアパートは、直陽の家からは、少し大きめの公園を挟んで向かい側だった。ぐるっと回らなければならないため、気軽に行ける距離ではなかったが、もちろん歩いていけない距離ではない。

「だいぶ近いなりね」

「今回は帰省しないって決めてるからな。あくまでもセイタの家に遊びに来たんだ。今回は寄らないよ」

「ま、入って入って」

 そう言って、靖太郎は皆を促した。

 単身アパートとはいえ、大都会のアパートとは違い、部屋は三つもあった。玄関を入ってすぐにキッチンがあり、そこが六畳の一つの部屋のようになっている。引き戸を開けるとさらにリビングとして使える六畳、さらに奥に寝室に使える六畳間があった。奥の二つは和室になっている。やや古めかしいアパートだったが、小綺麗にしている感じだった。

「もっとオタクっぽい家を想像していました」瞬が遠慮なくぶっ込んでくる。

「オタクを舐めてはいけないなりよ。もちろんコレクションは寝室にあるなりよ。――さあ、見るがいい!」そう言って靖太郎は寝室の引き戸を勢いよく開いた。

 しかしそこにあったのはやはり小綺麗に片付いた部屋だった。ベッドと机、テーブルやテレビがある。

「あれは何ですか?」

 瞬が机脇の布のかかった部分を指差す。

「よくぞ聞いてくれたなりね。あれこそが、我がコレクションなりよ」

 そう言って、布を勢いよく取り去ると、そこには四段のラックが三つ置かれ、ところ狭しとフィギュアやグッズが並んでいた。

「俺はよく知らないっスけど、やっぱり好きなことを好きと言える先輩ってカッコいいっス」

「ありがとう。こっちの世界に来たければ、いつでも案内致すなりよ――さて」

 そう言って靖太郎は寝室の扉を閉じ、リビングとキッチンの間の扉を開け放ち、

「ここ二つの空間を使えばかなり広く場所も取れると思うなりよ。寝るのはソファーとか雑魚寝になってしまうけど、何とかなると思うなりよ」

 オードブルやお菓子、お酒などを用意し終えると、今日は家主、つまり靖太郎が乾杯の音頭を取ることになった、

「では、お手を拝借。今度こそ本当に、今年、お疲れさまなりー!かんぱーい」

**次回予告(5-11)**


汐里が大声でみんなを呼んで、「約束のメインイベント!卒業アルバム見せ合いっこ会、やっちゃいましょう!」と高らかに宣言した。

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