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晴れた日には、恋をする  作者: 月舟 蒼
第二章 夏

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21/41

2-8

 写真部の部室に戻る。

 涼介と靖太郎が黙々とゲームをしている。「よし!」「あ!」「行け」といった声が聞こえるが、それ以外にほとんど会話はない。

 直陽は、浪人してからほとんどゲームをしなくなってしまったので、彼らがどんなゲームをしているのかも正直興味がない。

 何となくぼーっとしたくてベランダに出る。

「おす」

 そこにいたのは莉奈だった。柵に両腕を乗せてこちらに振り返っている。

「ベランダによくいるね。煙たがれているスモーカーお父さんみたいだ」

「なんかここが落ち着くわけよ」

「ギャルの見かけが泣きますよ」

「あれ?月城君って私がギャルだと思ってたの?」

「あれ、違うの?」

「ギャルは自分をギャルって言わないんだよ」

「そうなの?」

「たぶん」

「なんだそれ」

 軽口を叩きながら直陽は莉奈から少し離れたところで、同じく柵にもたれ掛かる。視線の向こうには大学の体育館がある。特別何かが見えるわけでもなく⋯つまり見晴らしは良くない。見ていて楽しい景色ではない。

「何か見えるの?ここ」直陽が尋ねる。

「べつに何も見えないよ。あえて言うなら、自分が見える。なんつってな」

「で、なんか見えた?」

「いーや、これっぽっちも見えない。⋯そういう月城君は?」

「うん、まあ」

「あの子、あまねさんのこと?」

「うん、そんなとこ。⋯なんか、避けられている気がして」

「根拠はないんだけど、たぶん悪い子じゃないよ。何か事情があるのかも」

「⋯俺の把握していない事情⋯推測は推測、か」

「え?何?」

「あ、いや、なんでもない。ちょっと、分かりかけた気がする。ありがとう」

「おう。無理すんなよ」

 手を挙げその場を離れる。



 昼休みになる。

 文芸部の扉をノックする。

 返事がない。ノブに手を掛けてみると鍵が掛かっていた。

 食堂棟に行ってみる。一階、二階、三階。

 キャンパス内の広場を一周した。その後は校舎裏のベンチ、図書館、A校舎、B校舎、メディア棟。「おもかげ」を探して歩き回る。

 再びB校舎に入り、廊下を歩いていたとき、流れていく学生たちの中に、女子学生と笑顔で話しているあまねがいた。

 一瞬、目が合う。

「あ、あまねさん」と言って軽く手を挙げる。

「⋯うん」あまねの顔から笑顔が消え、うつむき加減になる。

「知り合い?」隣の女子学生があまねに問いかける。

「うん⋯サークルの関係で」

「そうなんだー」

 直陽は、

「じゃ、また」

 と言って、その場を離れた。

 今はこんなことしかできないけど、、これでいい。

**次回予告(2-9)**


写真部の前期打ち上げの飲み会。その席上でまたあの子が⋯。


**作者より**


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