放課後の隅に咲き乱れる百合の花
「失礼します。塚平先生、学級日誌書き終わりました」
放課後。日直だった私は、日直の仕事をやって学級日誌を書くと、職員室にいた担任に学級日誌を渡した。
「お疲れ。あ、猫井。悪いけどこれを2階の物置に持っていってくれ」
と、先生は足元に置いてあった段ボール箱を指差して言った。
「わかりました」
そう言って私は、その段ボール箱をんしょと持ち上げた。中身は閉じられていて何が入っているのかわからないけど、そんなに重くはない。
「失礼しました」
そう言って私は、職員室を出た。
◆
「よいしょ……ん?」
物置の前に着くと、ドアを開けるために一旦段ボール箱を床に置いた。すると物置の中から、人の声が聞こえてきた。なんだかちょっと、苦しそうな声だった。
誰かいるのかな?え……まさか、幽霊とか……?
なわけないよねーと声に出しながら、内心では本当に幽霊がいるのではと怯えながら、物置のドアを開けた。そこには──
「アッ、あんっ♡」
「……ん?」
はあはあと息を切らせ、シャツがはだけておっぱいが丸出しの女子と、そのおっぱいに顔を埋める女子がいた。
こっこれは──……
私の方を振り向く2人。
突然の光景に驚き目が点のまま、物置の入り口で固まってしまった私。
無の時間が、私たちの間に漂う。
すると。
「きゃああああ!!!」
と、上半身がほぼ裸の女子が両腕でおっぱいを隠しながら大声をあげると、シャツを直しながら走って物置から出ていった。
「……」
「……」
その場で固まったまま沈黙する私と、倉庫に残された女子。よく見るとその女子は、私の隣のクラスの……名前は立川都。「王子様」と呼ばれる女子だった。
黒髪のショートカット、170㎝の長身、スラッとした手足、そして……綺麗な顔。
女子にめちゃくちゃにモテるとは噂には聞いていたけど……王子様と呼ばれる女子が、こんなところで女子を喰ってたとは。
じっと、その女子のことを見詰めていると、王子様が大きなため息を吐いた。
「あーあ、やっとあの大きいおっぱいめちゃくちゃにできるところだったのに……」
チッと、王子様は頭をかきながら、小さく舌打ちした。
王子様のことは遠くからしか見たことなかったけど、いつも誰にでも優しくて、笑顔しか見たことなかった……けど。今、私の目の前にいる王子様は、まるで魔王のような怖い顔をしていた。
すると、王子様はスカートのポケットに両手を入れながら、私のところに向かってきた。
え?なに?いちゃいちゃしてるのを邪魔しちゃったから、私殴られる!?
怯えながら、けれども動けずにいると、王子様が私のすぐ目の前に来た。そして。
「きゃっ!?」
王子様に腕を掴まれ、グイッと私の体を前に引っ張ると、物置のドアを閉め、ガチャッと鍵をかけた。
トンッ!
ドアに手をつき、私を見下ろす王子様。瞳の黒が綺麗で艶めいていて……美しくて。「王子様」って呼ばれるのも納得の美貌。同姓だけど、ドキッとする。
すると、王子様は私の赤い縁のメガネを取って傍にあった机の上に置き、私の顎をくいっと上げた。
「……ふーん、あんた結構可愛いじゃん。おさげちゃん」
にこっと、私の顔の前で微笑む王子様。甘い、いい匂いがする。その甘い匂いのせいか、なんだか頭がくらくらしてくる。
「名前は?おさげちゃん」
「あ……猫井です」
「猫井……ねこちゃんか。じゃあねこちゃん、お詫びにあの子の代わりに相手してもらうよ」
「えっ──」
甘い匂いが、唇に触れた。
キス、だ。王子様にキスされてる。
初めてのキス……しかも、女子にキスされるなんて。
王子様は最初、触れるようなキスをすると、今度は私の口の中に舌を絡めて深いキスを始めた。
「や……ぁ」
「ん……」
くちゅくちゅと、王子様の舌が私の口腔内を泳ぐ。抵抗しようにも、両手がドアに押さえつけられていて動けない。いや、それ以前に、私の身体が抵抗する気がない。
抵抗しないと……さっきの子みたいに私も──
そうあたまで思うけど、身体が言うことを聞かない。それどころか、気づいたら王子様の舌に自ら舌を絡め始めていた。
まるで、高熱を出した時のように体が熱くなる。あつくて、なにも考えられない。くらくらがひどく、なっていく。
すると王子様は、舌なめずりし。
「ふふっ、真面目っぽい感じなのに、ヤル気マンマンじゃん」
クスッと笑いながら、王子様は言いそして。
「ねこちゃんのおっぱい……もらうね♡」
そう言いながら、王子様は私のシャツと下着を慣れた手つきで脱がし、私のおっぱいに触れた。
気づいたら、私と王子様は全裸になっていた。そして──最後まで、した。
「気持ちよかったよ。今までで一番気持ちよかったかも」
そう言いながら、王子様は私のことを抱き寄せてキスした。私と王子様の敏感なところがぴとぴと触れる。
「私……初めてした、けど……気持ちよかった、です。あの……王子様、私……」
「ん?」
「あなたのこと、好きになっちゃったかも……です」
「奇遇だね、私もだよ」
そう言いながら、私と王子様は裸で抱き合い、しばらくキスをした────