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第四話 赤の戦士の行方不明

宜しくお願いします

 その後

 花音が目を覚ますとそこは病院のベッドである。しかし

 「(動けない…)」

 花音はかろうじて目は動かせるがそれ以外体が全く動かないし喋れない。するとバタバタと何か足音が聞こえた。


 そしてガラリと扉が開けられたのは花音の両親である。

 「(お父さん?お母さん…?)」

 「花音!そんな…何でこんな…」

 「なんて…ことだ…こんな…」


 父と母は何故か花音を見て泣き崩れた。しかし花音が目を開けているのを確認して更に悲しそうな顔をしている。何故?そんな言葉が花音の頭を飛び回る。


 「花音…お前は昨日ボロボロになっていたのを発見されたんだ…。幸い命は助かったが…」

 父は言いにくそうにしている。花音は何故か嫌な予感がした。今の状況もあるし下手したら死んだ方がマシとまでいくかもしれない。


 「貴方は…打ちどころが悪くてその…もう体を動かせなくなったの…手足もそしてしゃべることももう…」

 そう言って泣き崩れる母の言葉に花音は頭が真っ白になった。


 何を言っている…体が動かせない?喋れない?は?何で?世界を救ったはずの自分が何で


 何で何で何で何で何で何で何で何で


 「(何でよ!私は…私は悪いことなんてしてない!だから誰か助けてよ!ねぇ!誰か!)」


 しかし花音の叫びは声にならず誰の耳にも届かなかった。



 ◇



 そんな彼女の様子を木の影から見つめる紫苑。

 「生きてるだけ儲け物じゃない。良かったわね。部活漬けの毎日に飽き飽きした貴方にはお似合いよ」


 そう吐き捨てながら次のターゲットを考えていた。



 ◇



 そしてその日の学校では

 「えぇ…実は皆さんのお友達であり魔法少女である赤松花音さんが何者かに襲われ病院に入院することになりました。

 面会謝絶とのことだったのでお見舞いはいけないとの事だ。

 皆んなも不審者に気をつけるように!」

 

 教師がそう話すとそれぞれのクラスメートはヒソヒソと噂していた。

 『あれじゃね?最近調子乗ってたから…』

 『後輩いじめてて殴ってたらしいよ?』

 『つーか恨んでるやついっぱいるだろ?』


 とまるで心配するものがいない雰囲気。此処最近は魔法少女五人のせいで学校の評判は地に落ちている。

 それが内申に響くかもしれない他の生徒達はみな魔法少女に憎しみを抱き始めた。


 一方の魔法少女達は少し身構えていた。何せ一昨日のテレビの件があるのだ。危険である。

 しかし


 「んーと。心愛のお友達の花音ちゃんが入院だってぇ(泣)うぇーん心配だよぉ(泣)と」

 とスマホを弄り出した。



 ◇



 「ねぇ…大丈夫かなこれ」

 苺が他の三人に切り出した。

 「さあ?そもそも私達に関係あるか分かりません。あの人個人への恨みかもしれませんし無視していいでしょう?」

 しかし緑は興味なさげである。


 「私はボディーガードがいますから。まぁ貴方方庶民の皆様は精々お気をつけ遊ばせ?」

 とやらしい笑みを浮かべる雪音に緑と苺は舌打ちして睨みつける。一方の心愛は何も喋らない。


 「ねぇ?心愛はどう思う?」

 「んー?そうだね」

 「ねぇ聞いてるの?」

 「聞いてるー。」

 スマホに夢中で全く人の言葉を聞かない心愛には流石の三人もため息を吐く。因みに四人は人の来ない立ち入り禁止の屋上でご飯を食べていた。


 以前は教室で食べていたが周りの冷たい視線が痛いし、便所飯やボッチも嫌なのでこうして集まってるが空気は険悪である。


 一方の心愛は

 「ふ…ふふふもっとよ!もっと心愛を見て!」

 と興奮していた。炎上してアンチばかりになったがそれでも反応が来るのが嬉しくて踊り出す心愛に全員がドン引きしていた。


 だが何もアンチばかりではないのも心愛の心を癒してくれた。それはアカウント名"イエローLOVE"さんからのコメント。

 『ココアたん。可哀想だね…ココアたん可愛いから心配だよぉ♡』

 とのコメント。酷いコメントばかりにポツンとあるプラスな意見。しかもこの人はアンチにも反論してくれるのだ心愛はこのイエローLOVEのコメントを心待ちにして、そして反応数を稼ぐのが快感になっていた。


 「うふふふふ!イエローLOVEさん分かってるぅ!心愛は可愛いもんね♡

 も…もしかしてイエローLOVEさんってイケメンで高身長な社長さんかな♡きゃー!てことは心愛は未来の社長夫人!」


 と騒ぐ心愛。その痛い行動には流石の三人もついていけないと心愛を置いてさっさと戻って行った。



 ◇



 やっと現実に戻った心愛が我に帰ったの授業開始の10分後である。

 「あ!もう酷いよ!みんなして心愛を置いて!」

 と地団駄を踏む心愛。


 すると屋上のドアが開き誰かが侵入してきた。

 「あらここ立ち入り禁止じゃない?」

 「あれ?ああ!紫苑ちゃん♡」


 入ってきたのは紫苑。紫苑は桜中学に一時期通っていたのでその時の制服を着用して侵入した様だ。そんな紫苑にもあざとい所を隠さない心愛。


 「どうしたの紫苑ちゃん?紫苑ちゃんはもうこの学校の生徒じゃないのにぃ♡もしかして道に迷ったの?紫苑ちゃんって意外とバカだよねぇ」

 きゃはっとバカにして笑う心愛。


 しかしそんな煽りを無視する紫苑。

 「ねぇ聞いていい?心愛。貴方は確かに昔から夢見がちない娘だったわ。それに泣き虫でドジで…放って置けない魅力があって…とても心優しい子だったでしょ?」

 「えぇ?今でも優しいよお♡」


 紫苑の言葉にも甘い声で答える心愛。しかし紫苑はそれすらも無視してスマホを取り出して心愛のアカウントを見せた。

 「何これ」


 見せたのは心愛のこれまで投稿した数々の記事。

 タブーな筈の妖精の写真や本人に了承を得てない紫苑の素顔の写真。これでも最悪だが…


 更に他のアカウントを見ると今度は同じ桜中学の女子の制服や学生証と共にその女生徒の着替えの写真や明らかに無理やり拘束して撮ったであろう裸の写真や下着の写真が乗せられている。

 

 「あ!これね?だってこいつら調子乗ってるんだもん。心愛の方が可愛いのにさ?こいつらはイケメンな彼氏がいて。他の人にチヤホヤされてムカつくじゃん」

 と理不尽な理由である。単に性格の問題だ。


 確かに心愛は小柄で可愛らしい見た目だ。制服のセーラーの上にはピンクのカーディガンを萌え袖にして着用していて可愛らしい。

 元々可愛いかったが最近の反応やイエローLOVEのコメントで自身の見た目が誰よりも優れているのだと自覚。


 そこまではいいとしてもそこから自己肯定感がバグり始め自分よりも容姿の整った者へ攻撃を加える様になった。何なら美人と言われる雪音や紫苑の悪口を書き込んでいるのも知っている。


 しかし余りにもやりすぎだ。


 「女の子達のこともそうだしスターの事も写真に撮ったせいで様々な研究機関やら怪しい人に捕獲されそうになってるのしってるの?」

 「それはスターがちゃんと身を守らないのが悪いんじゃん。心愛は可愛いから悪くないもーん♡」

 「へぇそう?」


 紫苑は呆れ帰った様子である。

 「紫苑ちゃんもずっと此処にいると不審者として通報されるよ?心愛は偉いからお勉強するの♡バイバーイ♡」


 そう言って去ろうとする心愛。しかし背中を向けた瞬間紫苑はすかさず心愛に手刀を行い気絶させてバイオレットに変身してまたもや花音同様にどこかへ連れて行った。

登場人物

  ミルキーイエロー

 変身者は黄島心愛。元々は心優しくてドジて気弱な女の子であった。しかし事件解決後に自身の容姿が可愛らしいと評判になり自己肯定感が爆発して残念な子になった。他の人たちを見下していてぶりっ子でありSNSでの反応から昔の自分では考えられない高評価に快感を覚えて依存症になった。

 現在は炎上による反応数とイエローLOVEという過激ファンのコメントに酔いしれている。次話で復讐される。


  スター

 ミルキーイエローの元パートナー妖精。珍しい妖精ということから心愛のいいね稼ぎに利用されてしまいそれがきっかけで妖精がいること認知されてしまい、様々な研究機関や犯罪者の金目的に追い回された。

 元々はしっかりもののお姉さんタイプだったが対人恐怖症に陥ってしまった。

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