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第二話 六人目の魔法少女

魔法少女同士で争いますのでそういう展開は苦手な方はご注意を、

 スタジオに現れたのは紫の長いポニーテールを揺らし五人の魔法少女達と似た様な紫の衣装を見に纏った美少女である。

 その小さな顔の横をぷよぷよと飛ぶ紫の妖精。そして足元には先程虐待された妖精達。クローバーのみ足が動かない様子だったので少女の腕に抱かれている。


 「紫苑?貴方方もしかして忘れたの?魔法少女の正体も妖精の姿もそして今回の戦いの事も口外しないっていうのがお母様とのお約束でしょ?

 まぁ私の紫苑って名前は偽名だしこの世界に戸籍がないから別に痛くも痒くもないけどね?今の私はバイオレットよ」


 この少女は六人目の魔法少女であるバイオレットである。バイオレットのお母様というのは夢の国の女王。バイオレットは夢の国の王女なのである。

 

 「しかし…貴方方随分やりたい放題ね?」

 クスクスと笑うバイオレット。尚もモニターは彼女らの悪行を写している。

 「紫苑…アンタなの?こんな最低な事したの!」

 「最低どの口が言ってんのよ。貴方方のパートナー達は返してもらうわ!」

 「ふざけんな!」


 ピンキーが手を♡にしてそこからピンクの光線を放つ。しかしバイオレットはそれを簡単にかわした。

 「あはは。戦いなんて暫くしてなかったでしょ?」

 「く…」

 しかし他のメンバも手を♡にして光線を放ちバイオレットを狙うが全く当たらない。寧ろ


 「この前は戦い直後で五人相手だったから苦戦したけど…パートナーが疲弊して平和ボケした貴方方の攻撃なんて効かないわよ!」

 そう言ってバイオレットも手を♡にして紫の光線を放つ。


 しかしバイオレットのは他のメンバーのか細い光線と違い大きく太くそして早く伸びていきメンバーに軽々と当たった。五人は光線に当たり宙を舞う。


 「こ…これはすごいぞ!カメラであの戦いを映すんだ!高視聴率が狙える!」

 プロデューサーが鼻息荒く指示を出す。


 するとそれに気づいたレッドが慌てて

 「撮ってんじゃねーよ!」

 と言い放ちカメラを破壊した。するとスタッフは青くなった。


 「皆さん!此処は避難して下さい!」

 「は…はいい…」


 もはや撮影どころではない。スタッフ達はバイオレットの指示に従い出ていった。しかしプロデューサーは諦められないらしくこっそりビデオカメラでドアの隙間から六人と妖精を撮影していた。



 ◇



 「レッド?貴方もし一般の方が怪我したらどうするの!」

 「ハァ?関係なくね?寧ろウチらを邪魔するアイツらが悪いんじゃん。なんでアンタに説教されないといけない訳?」

 レッドは呆れた目でバイオレットを見つめる。本気で何が悪いのか分かってない様だ。


 「まぁいいわ。もう貴方方は魔法少女じゃなくなるもの」

 「は?」


 その途端に五人の魔法少女の変身が解かれた。

 「な…ちょっとモモ!アンタ何してんの!爆竹つめっからな!おい何寝たふりしてんだよ!…うわ!」


 苺が癇癪を起こしてモモにお仕置きしようと近づくがバイオレットの光線で邪魔される。

 「ちょっと!当たったらどうするの!」

 「あら?でもレッドがいってたじゃない?一般人でも邪魔してきたら魔法少女の力を使っていいって」

 「そ…それは!」

 「花音!アンタ何余計な事言ってんのよ!」


 ぎゃーぎゃーと仲間割れを起こすメンバー。

 バイオレットは知っている。彼女達には仲間意識なんてないことは…。

 ちなみにモモは体力が尽きて気絶しただけ。他のパートナーも同様である。


 「さーて。皆んなお家に帰るわよ」

 「ちょっと!心愛たちのパートナー返してよ!変身できないじゃない!」


 心愛が叫ぶがバイオレットは冷たい笑みを浮かべた。

 「なんで貴方方が人気なのか知ってる?正義の味方だからよ?でもなぁ今回の放送見たら荒れるでしょうね。

 以前教えて頂いたSNSとやらにも貴方方の先程の虐待風景や妖精達の証言を載せたので今頃炎上してるでしょう。では私達はこれで」


 バイオレットはそう言って妖精達と共に去っていった。

 そして残された五人はぺたりと尻餅をついた。


 「や…やばいかも」

 「魔法少女に変身できないとなると…今までの様に周りの馬鹿どもを使えなくなる」

 「折角の実験動物が…」

 落ち込む心愛と花音、緑。


 「何言ってんの?私達は世界の救世主様なんだから。大丈夫だって」

 「そうですわ。そんな恩知らずどもなんてお父様の力でねじ伏せることが可能ですもの」

 しかし苺と雪音はプラス思考である。


 しかし彼女達は知らなかった此処から地獄を見ることになるとは…。



 ◇



 「な…何これ…」

 後々五人はスタッフ達に小さな楽屋に押し込められた。ぎゃーぎゃー反抗するがもう変身できない中学生の女子の力なんて高が知れている。スタッフ達は今日1日のストレスをぶつける様に彼女達を押し込んだ。


 そして五人はぶつくさ文句を言いながら其々スマホを弄り始める。すると一気に顔を青ざめる。


 五人はSNSで魔法少女公式アカウントと銘打って書き込みをしていた。そして全員個人個人のアカウントも勿論持っている。


 しかしこの公式アカウントも個人アカウントも全て炎上していた。

 『妖精さん可哀想!』

 『世界を救ってくれたのは感謝だけど…これは流石に…』

 『虐待反対!』


 などなど様々な書き込みで埋め尽くされている。恐らくバイオレットが番組ジャックをしたことにより映された光景がテレビ電波で流れた様だ。それに加えて動画サイトにも転載されていき一気に拡散されている。

 それに便乗したのか財布をとってるところやカメラを破壊する場面などが映されていた。


 スタッフの誰かが隠し撮りした様である。


 「ふざけんな!なんなのよこれ!」

 そんな中特にSNSに一番夢中になってた心愛がスマホを投げ出した。すると花音に平手打ちした。


 「いた!」 

 「アンタがカメラ破壊しなければこんなことになってないわ!財布もアンタが絡まなければ!」

 「はぁ!?虐待も財布もアンタだってやってただろ!何ウチだけ悪者扱いしてんだよ!このぶりっ子女!」


 そう言って二人は掴み合いの大喧嘩を始めた。他の三人は巻き込まれるのは面倒と少し離れて止めもしない。そんな事をしていると楽屋の備品なども壊れていく。


 そして一定時間過ぎると屈強な男性スタッフが入ってきた。

 「全員此処から出てください。親御さんが迎えにきています」

  

 スタッフがもしひ弱そうな人だったり、女性ならば全員躊躇なく暴言を浴びせて反抗するのだが、今回入ってきた男を見て諦めた様だ。



 ◇



 全員スタッフの後を無言でついていく。そしてテレビ局を出るとそれぞれの保護者が待っていた。

 しかし苺の母がスタスタと歩きそして娘を平手打ちした。

 「いった…何すんだよ!ババア!」

 「何してんのはこっちのセリフよ!今日のテレビなんなの!?アンタ自分の妖精にあんな酷い事してたの!?」

 「酷い事?救世主の私達には向かう奴が悪いんじゃん。馬鹿な事言わないでよ」


 母の言葉に苺は何も理解していない。母は人の心を失った娘に絶望していた。

 魔法少女になる前の娘は確かに勉強とスポーツもちょっと苦手だが明るくて前向きで優しい天真爛漫な普通の少女だった。


 なのに今では家でも学校でも女王様気分の娘。少し癇癪を起こすとその都度変身して家族すらも脅迫するその姿はもう元の娘と別人である。

 母は顔を抑えて泣くが苺はそれを冷たい目で見ているのみ。


 他の親もそれぞれの娘に起こり出すが誰も反省なんてしていない。すると男性スタッフが

 「それと楽屋の備品やカメラやスタジオセットの弁償代を」

 スタッフの言葉に親達は顔を青くさせた。


 「い…いくらぐらいですか?」

 「請求書は後日送らせていただきます。それと今回の件で彼女達は今後うちのテレビ局は出禁とします。ではこれで。本日はありがとうございました」

 スタッフはさっさとテレビ局に入っていった。


 そして鎮まり帰る空間。すると少女達。いや四人の少女の怒りの矛先が花音に向けられた。

 「貴方がカメラを破壊したせいですよ!しかも喧嘩して楽屋の備品を壊すなんて!」

 「本当最低!なんで私達までアンタの尻拭いしなきゃいけないわけ!」


 そんな責める声に花音は慌てた。そして雪音に

 「ゆ…雪音!アンタお金持ちだし」

 「代わりに払って?いやですわ。なんで私がアンタの様な庶民のためにそこまでしなくてはいけませんの?」

 しかし雪音に冷たい目で見られて花音はビクリと震えた。


 ぎゃーぎゃー騒ぐ五人を親達が必死に止める。


 そんな様子を先程妖精を夢の国に戻したバイオレット…変身は解かれているので紫苑はじっと見つめていた。

 

 「親がでても反省なし。か…」

用語

  ◯夢の国

 妖精達の暮らす異世界の国でありメルヘンチック。夢の国は人々の正のエネルギーや夢を叶えたいという思いで成り立つ為、エビルの計画を阻止しようとした。

 その際夢の国の女王が妖精達に魔法少女を探す様に命じたがそれが悲劇の始まりである。


 あくまでも夢の国の住人は現実世界の人々への干渉は出来るだけしてはいけない掟があるので女王自ら乗り込んでエビルを倒すことができないというご都合展開

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― 新着の感想 ―
[一言] 出世する人って、このプロデューサーみたいに成果に貪欲で根性のある人なんだろうなって
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