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第一話 暴君魔法少女

マスコットへの酷い描写があるので苦手な方はご注意を

 苺等五人はテレビ局の廊下のど真ん中を並んで歩く。迷惑極まりないし、元々の彼女達ならばきっと周りのことを考えてくれるし人のいうことも聞いてくれていただろう。だが


 「あのさ?何ぶつかってんの?痛いんだけど」

 「ひっ…す…すみませんでした!」


 花音は自身の肩にぶつかったスタッフを睨みつける。スタッフはぶつかってしまった相手に気付き青ざめた。

 「あーウチら変身してないとかよわーい女の子なんだよね?ねぇねぇ。骨折れかもだから金出してよ」

 「そ…そんな!少しぶつかっただけだし謝ったでしょ!?それに俺は止まってたのに貴方の方からぶつかってきたんじゃ!ぐ…!」


 すると花音はスタッフの足をぐりぐりと踏み出した。

 「いいからこっちのいうこと聞けや!こっちは救世主様なんだからさ!」

 「ちょっとぉ花音ちゃん冷静に冷静に♡ほーらお財布とったから!」


 花音を宥める心愛。しかしその手には黒い革財布が握られていた。スタッフはそれを見てギョッとしてポケットを探すが…


 「そ…それ俺の財布」

 「迷惑料としてもらうから安心してよ。寧ろ救世主の心愛達に使われてラッキーじゃん♡」

 キャハと邪悪な笑みを浮かべる心愛とほかのメンバー。スタッフはがくりと膝をついた。


 逆らえばあの魔法少女の力で報復されるかもしれない。あの化け物でさえ倒せる力。生身の人間が受ければどうなるか…恐怖でしかない。


 「臨時収入ゲット♡それじゃあGoGo」

 苺の明るい掛け声に他の四人もついていく。

 


 ◇



 そして…五人は楽屋に到着した。五人の楽屋は他の大御所芸能人の楽屋も広く豪華であり、差し入れのお菓子は高級なものばかり置かれている。


 五人がガチャリとドアを開けた。そして五人は一斉にある一点を見つめる。


 その一点にはぬいぐるみのようなモコモコとした生き物がおしくらまんじゅうの様な状態で隅っこに固まりガタガタ震えていた。しかもペット用のゲージに入れられている。


 苺達はそのぬいぐるみの様な生き物達に近づく。そして

 「オラ!」

 「ぴゅあ!?」


 苺が思いっきりゲージを蹴る。すると中の生き物は泣き声を上げてさらに震えた。

 

 「あんたらのせいでアタシら恥かいたじゃん!それでもアタシのパートナーいやペットなの!?"モモ"!」

 「ぴゃあ!ご…ごめなしゃいピュア!…も…もう一度変身させてあげるから許してぴゅあ…!」


 苺はゲージを上げてピンク色のウサギの様な生物…モモの耳を鷲掴みにして睨みつけた。

 モモは涙を流して懇願するが苺は手を止めない。更にギリギリと掴む。

 

 「?変身させてあげるから?うわぁえっらそう」

 「へ?ぴゃあ!」

 苺はモモを床に叩きつけて踏みつけた。


 「ひゅ…ひゅあ…ちゅ…ちゅぶれりゅ…」

 「変身させてあげるじゃねーだろ?前にも私が丁寧に丁寧に指導してやったでしょ?ほらもう一回!土下座しながらいえや!」

 「い…いちごしゃま…是非…変身のお手伝いをさせて下さい…」


 モモが小さな体を震わせて大きな頭を床に擦りながら懇願すると苺はニヤリと笑う。

 「やればできるじゃん。でもさ?また同じ事したら…アンタの口の中に爆竹入れてやろうかな?」

 「ぴゅあ!?」

 とんでもない事を言い出す苺にモモは震える。

 

 「此処で漏らさないでよ?漏らしたら臭くなるし、んなことしたらマジで内臓出るぐらい踏み潰す」

 苺がモモを見下した。モモは絶望的な顔をしていた。その背中には本当ならば羽が生えていたかボロボロに引き裂かれた様になっていて飛べない。逃げれないのだ。


 他の妖精もそれぞれのパートナーに虐待を受けていた。


 「ウチらの言うこと聞かないからこんなことなんの!今度失敗したら金属バット100叩きの刑だからね?"ケチャップ"?」

 「かのん様…お…お許しを」

 花音は赤毛のクマの様な生物の首を掴み壁に押し付けている。


 「ねぇねぇ?なんでこんな事したのぉ?心愛と"スター"は仲良しさんだよね?帰ったらSNSに投稿する予定だったんだよ?なのになんで心愛を裏切るの?」

 「ひっく…ごめんなしゃ…」

 心愛は黄色の猫の様な生物の尻尾を掴み逆さ吊りにしている。


 「…また実験に使われたいんですか?全く…今度は貴方の脳みそを直接解剖させてもらいましょうか?ねぇ"クローバー"」

 「は…はひ…」

 緑は緑色の犬の様な生物の体をギリギリと捻る。しかもこの生物だけ目がイッてるしそこらかしこに血の様な固まりがついている。


 「緑さんは本当に実験好きですわよね?ならば今度はうちの家畜である"サファイア"を使ってもよろしいのよ?」

 「それだけはご勘弁を!」

 雪音は床に水色の狐の様な生き物を押さえつけている。

 

 この虐待されている生き物は全て魔法少女のパートナー妖精である。

 彼らも当初はパートナー同士で上手くやっていた。しかし事件解決後。変わってしまった魔法少女達はパートナーを奴隷の様に扱い虐待して無理やり変身させていた。


 本来変身には少なからず妖精の体に負担がのしかかるので有事の時だけの変身である。少女らは全て無視してメディア用やSNS用など全く有事でないにも関わらず変身させるし断るとこの様に殴る蹴る。そして暴言などの虐待を行うのだ。


 一時的に事件解決後はパートナー妖精は夢の国に帰還するが夢の国への行き方を覚えてしまったメンバーが国にやってきてパートナーを誘拐。さらには救世主であることから住民達から歓迎されるがそれすらにも調子に乗りはじめなかなか元の世界に帰らない上に夢の国の住民を奴隷の様に扱った。


 何せ敵の親玉をたおした連中であるため妖精達は太刀打ちできない。なんとか夢の国の女王が深手を負わされながらも無理やり帰還させたもののパートナー妖精の方は魔法少女達にそのまま連れてかれたのだ。


 妖精達はなんとかなけなしの体力を使用してメンバーを変身させる。

 するのメンバーの体が光り魔法少女姿に変身した。


 「今度はちゃんとしてよ?それじゃ皆んないこ?」

 変身したピンキーが発言すると他のメンバーも頷いてその後をついていく。


 妖精達は取り敢えずホッと胸を撫で下ろした。しかし数分後またしても楽屋のドアが開かれた。妖精達は身構えたが


 「皆んな!助けに来たわよ!」

 「く….全員ボロボロにじゃないか!今すぐに助けてやる!」

 

 入ってきた少女と紫毛の子虎のような生物を見て安心していた。



 ◇



 そして変身した魔法少女達がスタジオに戻るとスタッフや共演者が顔を引き攣らせながらも何とか持ち場に戻る。そしてCMが明けて。


 『いやぁ…びっくりしましたよ!いきなり変身解けるなんて』

 『あはは。どうやら私達のパートナーが少しお昼寝しちゃったみたいで…私達は妖精がいないと変身できないんですよ』

 『そうなんですか!妖精さんとの付き合いは長いんですか?』

 『大体1年くらいですかね?でも共に戦った私たちの絆は何者にも負け…』


 『変身させてあげるじゃねーだろ?前にも私が丁寧に丁寧に指導してやったでしょ?ほらもう一回!土下座しながらいえや!』


 突如スタジオセットに付けられているモニターに映像が映り込んだ。それは先程の彼女達が妖精達に虐待をしていたシーンである。


 「な…」

 「え?こ…これは!カメラ!一回止めろ!」


 騒ぎ出すスタジオのメンバー。魔法少女達は大いに焦った。何せ生放送。今の映像が各地のご家庭に映ったことだろう。


 カメラを止めようと動くスタッフだが

 「いいえ!止めなくて大丈夫です!」


 と凛とした少女の声が響いた。その途端番組スタッフ達は声のする方を振り向いた。

 魔法少女達はその声の主を見て顔を歪ませた。


 「な…なんでアンタが此処にいるのよ!"紫苑"!」

用語

  ◯エビル

 宇宙からやってきた集団。住んでいた惑星が深刻なエネルギー不足になり、人々が比較的沢山いる地球でエネルギーを収穫しにきた。

 使用するエネルギーはうつ状態やイライラ状態などの人の負の感情でありエコなのだが、それをやってるうちにエビルの星の人々から負のエネルギーが取れづらくなった。


 その後地球で負のループを繰り返させる為に誰かを怪物化させてその人の負の感情は勿論。それにより他の人の不安を煽る事で沢山のエネルギーを吸い取ることに成功するがもう少しの所で魔法少女に倒された。


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