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最終話 復讐を終えたその後

宜しくお願いします

 そして

 全ての魔法少女とプラスαに復讐を遂げた紫苑は夢の国の母の墓石の前に座り込んでいた。そこへ兄のミカエルがやってきた。


 「シオン…大丈夫かい?」

 「ええ…酷い有様だわ…」


 紫苑は目の前の墓石を見た。墓石には沢山の落書きが書かれている。

 それもこれも苺による紫苑の悪評やそもそも魔法少女にあんな化け物じみた性格の少女を魔法少女にする元となった女王に憎悪が叩きつけられていた。


 レオンの婚約破棄事件の前にエビル討伐のパーティを開いて魔法少女達は夢の国に滞在。

 しかし現実世界で甘い蜜を啜りまくり調子に乗った彼女達は際限のない我儘を住人達に行っていた。

 その中には特に…グリーンこと緑が親しくなった人々は皆体をいじられて死亡していたりと最悪な事になっていた。


 そこから国民達の不満は高まった。しまいには変身を続けて人気を維持したい彼女達の妖精誘拐事件。

 このままではいけないと女王やバイオレットに変身した紫苑。兄のミカエルが何とか彼女達を現実世界へ追い出すが、妖精は誘拐。


 結果….王族は五人の国民を守れなかった上にそもそも追い出すのが遅すぎると国民の反感を買ったのである。

 その際に深傷を負い死亡した女王の葬儀に参列した国民はかなり少なかったのが印象的だ。


 そして再び…レオンからの婚約破棄。これにより更に王族のイメージダウンと国の孤立。

 国民は少しずつ少なくなっていき、今では紫苑達の城もボロボロである。


 協力していたのはごく一部の王族擁護派や彼らの人間性を知る使用人達である。確かに対処は遅かったが、紫苑がそんなふしだらなことをするとは思えないし、相手は英雄である。

 下手に手を下せば国にもそして他国にも少なからず影響は及ぶ。


 「けど大概の国民達は皆んな王族否定派。殆どが違う国に行ってしまった」

 「そうだね…けどバロンの集めた証拠もあるから少しずつではあるけど信頼は回復してきたと思うよ…。

 だからシオン…そんな顔しないで?」


 兄の励ましにも紫苑は首を振りそして立ち上がった。

 「お兄様…お願いがあります」

 「何だい?」

 「私を王族から切り捨ててください。処刑でも追放でもなんでもいいですので…」


 その言葉にミカエルは目を見開いた。

 「な…君は自分が何を言ってるのか分かってるのか!?」

 「分かってる。分かってるます。けど…私もあの五人と同じ魔法少女。

 そもそも私が彼女達をいい方向に導けなかったのが悪かったの。

 それに例え許せなかったとはいえ、私は復讐と宣って手を汚してしまった。

 こんな私が王族でいれる訳がないじゃない」


 紫苑は肩を震わせた。そして口にはしていないが恐怖していた。

 復讐してる間に楽しんでいた自分を正義の名の下に悪を成敗しているという快楽に酔ってる自分を…


 これでは彼女達と同じ。それに復讐とは相手にされた分を同じくらいの返すのがいいだろうに…明らかにやりすぎた所もある。

 だから完全に染まり切る前に切り捨てて欲しい。そう紫苑は兄に縋った。


 「…シオン…君は…」

 「何も聞かないで…お願いです…どうか…私を」

 「…」



 ◇



 それから…数年後。あの後シオンは行方をくらました。新しく国王となったミカエルからは国民には彼女は病に臥せて死亡したと説明された。


 信頼を取り戻した夢の国は少しずつ活気を取り戻している。一方で希望の国は少しずつ衰退。今では貧しい国へと変わっていった。


 そして現実世界ではあの時活躍していた魔法少女。彼女らは稀代の悪女。悪役のエビルも彼女らの自作自演と言われていたが、その話題もふと消えていき、人々の記憶からもきえていく。今も生きてる魔法少女の花音、心愛、雪音の三名がどうなったのかすら興味を持つ者もいなくなった。


 

 そして

 そんな日常にまたしても世界侵略を狙う怪物が現れ、そして同時にヒーローも現れた。今度は魔法少女ではなく成人した男女五人のグループ。


 彼らはまるでヒーローショーのヒーローのような格好で敵と戦うしロボットも操る。そんな彼らは幼い男の子やまだまだ少年のような心を忘れない男性達の支持を集めていた。


 そんな彼らは今日も今日とで敵を倒した。


 「すごーい!さすがヒーローだ!」

 「"ジャスティスマン"!かっこいい!」


 彼らのグループ名は"チームジャスティス"。別名ジャスティスマンである。

 彼ら五人の配色はどこかで見たことのある配色。未だないのは紫。


 彼ら人が捌けると一気に脱力した。

 「はぁ…疲れた…」

 「ていうか!私たちこんなに人気のヒーローなのに正体明かすなとか鬼畜すぎん!」

 文句たらたらのメンバー。


 そんな彼らに一人の女性が近づいてきた。

 「…正体は明かさない方がいいわよ?」


 女性は真剣な目で彼らを見つめ忠告した。いきなり現れた女性にヒーロー達は首を傾げた。

 「えと君は?」

 「てかアンタ誰?関係ない人が口挟まないで?」

 レッドが女性に優しく問おうとするがピンクは機嫌悪そうに発言する。


 女性はボソリと…ピンク色はやっぱり苦手…と呟くが彼女らの耳に届かない。

 「兎も角忠告したわ。破滅したくないなら正体を明かさない方がいい。

 一度正義を貫くと覚悟したなら貫き通すの。

 それが辛いのも人気になって調子の乗るのもわかるし、享受したいのも分かるわ。


 けど、世間は優しくない。ヒーローが転じて悪になるのが許されるのはアニメや漫画の世界だけ。現実はそうはいかないの。

 じゃないと破滅するわよ。…私や仲間達のようにね…」


 そう言って去っていく紫髪の女性。


 「ちょっと待ってくれ!君は!」

 ヒーロー達が追いかけるが既に彼女の姿は見当たらない。

 ヒーロー達は唖然としていたが、それを記憶の片隅に追いやりそして今日も正義と平和の為に戦うのである。

登場人物

  ミカエル・フォン・ヴァーミリオン

 紫苑の兄。母である女王亡き後は国王となる。亡くなった国への信用を取り戻す為に奮闘していた。紫苑の復讐作戦にも協力の姿勢を見せていた。

 

  チームジャスティス

 魔法少女がいなくなり数年後に現れた戦隊ヒーロー。その配色は赤・青・黄・緑・桃の5色。男性達や少年の支持を集めている。

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