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第十話 復讐対象:ミルキーピンキー

性的表現と暴力表現を匂わせる表現あるので苦手な方はお控え下さい。

 暫くすると苺の周りに恰幅のいい…品の良い格好をした男達が集まってきた。先程、雪音に屈辱的な事をした彼ら。

 そんな事をした事による独特な臭いや汗に苺は不快な顔をしている。


 「ほう…雪音嬢よりは確かに子供っぽいし顔つきも普通だな…」

 「だが生意気そうな顔をしている。それに綺麗なお嬢様を汚すのもいいが、こんな平凡で日常の平和な部分しか知らない少女を汚すのもまた一興…」


 そう言って男達は苺の服に手をかける。

 「ハァ!?ざけんな!私に触ってんじゃねーよ!」

 「ほーほー!これは口が悪い!調教のしがちがある!悪い子には大人が責任持ってお仕置きせんとな!」

 「やめろ!いやだ!」


 苺が真っ赤な顔で吠えるが男達は逆に興奮している。雪音の方は絶望から特に暴れもしないで従順だった分、暴れる苺に逆に燃えているようだ。


 「紫苑!お願いだから助けてよ!」

 「姫様を見捨てたくせによく回る口だな」

 「!?」


 堪らずバイオレットに助けを求めるがバイオレットはそれを無視。そこへ彼女のパートナーであるバロンが煙と共に出現した。


 「モモは貴女の顔を見るのも嫌だと言うので私が代わりに来ました。

 貴方が機嫌が悪くなったり変身を上手くできないとモモを殴ったり罵倒したりを平気でしていたそうではありませんか。

 しかもご学友に対しても…貴方は魔法少女になる前まで仲良かった友人全て切り捨てて虐め対象にしていたそうですね?

 "平凡な貴方達と一緒にしないで"とか言って」


 バロンの言葉に苺の怒りは益々ヒートアップしたが大の男集団の前では赤子も同然である。

 「嘘つくなモモ出せ!モモ!あの畜生が!あいつがちゃんとできねぇのが悪いんだろうが!」


 反省の色も見せない苺は逆ギレする。男の手は更に進みとうとう苺は下着姿になった。

 「ひ!」

 「ハァハァ…生娘の肌はいいなぁ…白くてふわふわだなぁ…」

 舌なめずりする男達の様子に等々苺はガタガタと震え始めた。そして再度バイオレットに助けを求めるがやはり無視。


 それどころかバイオレットはスマホを操作して先程の苺の父の様子の動画を何故か見せてきた。

 「な…何…」

 「良いから見なさい」

 顔を背ける苺の顔を無理やり固定してバイオレットはスマホの画面を見せた。



 ◇



 「ひ…ぐ…助け…が!」

 スマホの向こうでは苺父が何者かに踏み潰されていた。今度は暴力で蹂躙されている。


 「お…俺は何もしてないのに…」

 「テメェが姫さんを汚そうとしてしてたのは知ってんだぞ!それにテメェの娘が姫さんの母ちゃんである女王様をぶち殺したんだぞ!?

 この様子は今娘に見せてる!恨むなら娘を恨めよ!

 これはアンタの娘に対する姫さんからの復讐なんだからな!」


 男の下卑た笑い声。すると苺父は般若のような顔で叫んだ。

 「いちごぉぉおお!てめぇぇぇ!お前のせいで俺の人生滅茶苦茶だぁぁぁ!一生ゆるさねぇェェからな!」



 ◇



 「どう?やっぱ似た者親子よね」

 「そんな…パパ…」

 苺はいつも自分に対して優しい父のそんな言葉に涙を流し始めた。そんな苺に興奮して肌に唇を当てたりと汚し始める外道達。


 「何悲劇のヒロイン気取ってんの?あ!そうだわ…」


 更にバイオレットが空に向かって手を突き出すとその空間の穴が空いた。そこからドンと音を立てて一人の男が落ちてきた。

 そんな彼を見て苺は目をウルウルさせて頬を薔薇色に染めた。


 「レオン王子様!」


 落ちてきたのは元紫苑の婚約者であり現苺の彼氏であるレオン・クレス・フリードリヒ殿下である。

 夢の国に隣接する希望の国の王子様。


 見た目は金色のキラキラした髪の毛に青空の様な碧眼が特徴の美青年である。

 

 「い…苺?」

 レオンは地面に横たわるがよろよろと起き上がり苺を見て愕然としていた。



 ◇



 元々レオンはエビルの襲う現実世界の様子をお忍びで訪れ道に迷っていたのを苺に助けられた。その際に苺はレオンに一目惚れしたのである。


 その後紫苑が仲間入りし、レオンが紫苑の婚約者だと知ると苺は嫉妬心を紫苑に抱き始めた。

 紫苑は知らないが父に紫苑が父のことを好きらしいと毎日囁いたのは苺である。


 元々父が紫苑に女を見る目を向けていたのを肌で感じた苺は父と紫苑の関係を嘘を入れてレオンに報告した。父が紫苑を襲っていた場面も隠れて撮影し証拠として提出までして。


 『私…シオンの事…友達だと思ってたから…ひっく…家族が壊れるのも…シオンを…友達を裏切りたくなくて…』

 そこからはひたすら悲劇のヒロインを演じた。するとレオンは憤慨して

 『シオン…何て事だ!まさか彼女がこんな最低な人だったなんて!…苺?辛かっただろ…ごめんな…』

 『れ…レオン様』


 そして何度も何度もあいせを重ね二人は想いを交わした。そして


 『シオン…君との婚約を破棄させてくれ…』

 『え?』

 『何をとぼけている!お前が苺を裏切ったのも!苺の父上をふしだらな行為に誘ったのだろうが!』

 『ま…待って下さい!誤解です!あれは!』

 

 紫苑の言葉等無視してレオンはある場所に向けて手招きした。するとその陰から可愛らしいピンクのドレスを纏った苺が現れた。そして後ろには更にそれぞれのテーマカラーのドレスを着た他の四人の魔法少女達。


 『私の新たな婚約者は苺に変わった!お前のした事は既に分かっているのだぞ!』

 『な…なんで苺達が…』

 

 『レオン様に連れてきて貰ったの。うう…私紫苑の事友達だと思ってたのに…』

 『待って!貴方一部始終見てたでしょ!襲われたのは私の方よ!なのに…』

 『ひ!レオン様…紫苑が怖いですぅ…』


 するとレオンは苺を抱きしめて紫苑を睨みつけそのまま苺の腰を抱きどこかへ行った。その際に苺が振り向きにたりと不気味な笑みを浮かべていたのは紫苑も見ていた。

 四人の仲間達からも口々に最低だの死ねだの言われ呆然としたまま紫苑は自身の夢の国へと帰っていった。


 お陰で夢の国は希望の国…果てはそこから伝達されて周りにある…未来の国や幸福の国等からも相手にされなくなり孤立した。

 此処から徐々に紫苑の世界はおかしくなっていった。



 ◇



 「レオン様!助けて下さい!」

 「苺!お前達!私の婚約者に何をしている!」


 レオンは男達に憤慨する。しかし

 「何を言ってるんだね?この子から誘ってきたんだよ?ねぇ紫苑嬢」

 「え?」

 レオンは紫苑の名前が出て慌てて振り向く。そこにいたのは確かに元婚約者の紫苑の変身したバイオレットがいた。


 「君か…君はまたしても!苺を!」

 「まーだ誤解してますのね?苺の方から誘ったのに…」

 「出鱈目言わないで!レオン様騙されないで!」


 乙女モードの苺にレオンは完全に騙されていた。しかしバイオレットはスマホを取り出した。すると


 『五月蠅い五月蝿い五月蝿い!貴方何様よ!最初っからアンタのこと気に入らなかったのよ!

 私みたいな何にもない平凡な女の子が魔法少女になって始まりの魔法少女って言われて…こんなにみんなにチヤホヤされたことなんてなかった!

 

 なのにアンタは!生まれた時からお姫様で美人で私にはないものをたくさん持ってるくせに!少しぐらい私にくれたっていいじゃん!少しぐらいアンタの幸せが削れたっていいじゃん!

 しかも六人目のミステリアスキャラで私の人気を追い抜こうとするし!


 正直ざまぁみろよ!アンタみたいな偉そうな女が屈辱的な目に遭ってるなんて最高でしかないわ!』


 「は…」

 「これが貴方の恋人様の本性ですわ。私の話をきてくださらなかったから言いますわね?

 あの時誘ったのは私ではなく苺さんのお父様です。苺さんは私が襲われてるのを無視してほくそ笑んでいたんですのよ?」


 バイオレットは態とらしいお嬢様言葉でレオンに告げる。

 レオンは改めて苺の方を振り向くと苺は口をぱくぱくと魚の様に動かして顔を真っ白にしていた。


 それは図星故の反応。よってレオンは一気不快感を露わにした。

 「苺…君って奴は…」

 「ち…違うの…話…私はレオン様が好きで…だって紫苑ばかりずるい…。私は何も持ってないのに…なんでも持ってて…」

 「もういい!君の事なんか知らない!別れてくれ!」

 「そ…そんな!いやぁ!」


 レオンから別れを切り出された苺は泣き叫ぶ。家族も滅茶苦茶にされて、愛する人からも裏切られた苺は絶望する。

 そんな苺に男達は愛撫を辞めず…そして結果的に愛する人の前で汚されながら別れを切り出されるという最悪の体験をする事になった。


 一方のレオンは苺を一瞥もせずに今度はバイオレットに向き合った。

 「シオン…私は騙されてただけなんだ!頼む!私は君を本当は愛しているんだ!だか…へぼ!」


 言い切る前にレオンはバイオレットにビンタされた。

 魔法少女の怪力によるビンタでレオンは鼻血を出して歯をおり口を切ったのか血が出ている。

 しかもゴスと鈍いを音を立てて地面に叩きつけられた。


 「復縁とかありえないわ。行くわよバロン」

 「良いのですか?レオン王子に対しての復讐は…」

 「既にお兄様が動いてるわよ。貴方が証拠を集めて提出してくれたお陰だわ。今頃レオン王子は継承権も剥奪されてるだろうし、居場所はないでしょ?

 時間はかかるけど他の国からの信頼も回復する筈、希望の国がどうなるかは知らないけど」

 「お褒めの言葉痛み入ります」


 そう言って二人は破局カップルを置いて夢の国に帰還した。復讐は全員分果たされたのである。



 ◇



 その後苺は

 「がは!」

 家に帰ると母に殴られた。

 「貴方!どれだけ酷い事したか分かってるの!紫苑ちゃんのお母さんを殺した!?紫苑ちゃんがパパにやな事されたのに…女の子にとって屈辱的な事されてるのに見捨てた!?

 ふざけないで!」

 「ごめんなさい…ごめんなさい」


 苺は殴られた箇所を押さえて泣きながら謝罪するが母の怒りは治らない。

 「私とパパは離婚する事にしたから!あんな性犯罪者と一緒にいれる訳ないもの!」

 「そ…そんなの!やだ!辞めてよ!元の家族に戻ろうよ!」

 「壊した張本人が何言ってるの!お父さんもそうよ!ぼろぼろで発見されて聞いたらアンタへの恨み言と紫苑ちゃんに対する気持ちの悪い愛の言葉ばっかり!

 あんな奴と一緒に暮らせ!?ふざけんな!」

 「げほ!」


 母は更に娘に馬乗りになって殴り続ける。警察の前では我慢していたが我慢の限界だったのである。警察からは根掘り葉掘り聞かれてそれが近所にも出回り今や桃井家は母含めて針の筵。家に石を投げられるのも珍しくない。SNSにより苺達の行ったいじめも露呈して炎上している。


 苺自身も肌で感じた。世界の全てが自分の敵に回ったのだと…


 「貴方とも縁を切るわ。じゃあね…」

 「ま…待って!私も連れ…いた!」


 母は着いてこようとする苺を突き飛ばした。

 「アンタといたら私までおかしく見られるの!アンタの顔も見たくない!アンタなんか産まなきゃ良かった!」

 「やだ…やだ!ママ!」


 苺は母から見捨てられた。そしてまだ14歳でありながらホームレスになった苺はその数ヶ月後に退院した父に撲殺されたのは…また別の話である。

登場人物

  レオン・クリス・フリードリヒ

 夢の国と交流のある隣国"希望の国"の第一王子で王位継承権第一位を保持していた。元紫苑の婚約者だったが苺の出まかせに見事に引っかかり婚約破棄を行う。その後は(嘘だが)辛いだろうに無邪気に天真爛漫に振る舞う悲劇のヒロイン苺に惚れ込み彼女との愛を誓った。

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