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ヒロシ・プロフェッショナル

とっくに葉桜になった4月下旬、グリムツリー残留物の6割が討伐されたのを機会に、私達即席冒険者ギルドメンバーは交代で数日休暇を取ることになった。

もう5月になっちゃうよ、という頃にようやく私のミカゲ隊とディンタン隊にも休暇が回ってきた!

ゆっくり休みたいところだけど、私達の隊には・・為さねば成らぬことがあるんだっ!


「ふぅ~~~っ」


私服の私はギルドの魔工ピッキングトラックの後部席で大きく溜め息をついた。膝に抱えていマティ3世は丸くなって眠ってたけど・・


「溜め息は幸せが逃げるといいますよ?」


運転しているギルドマスター、ヒロシ・ネス・オロが言ってきた。


「幸せなら溜め息つきませんよ? ヒロシさん」


「なるほど。幸せな人は溜め息をつかない、既に幸せが逃げた人が溜め息をついている。ということですか、なるほどなるほど」


「・・・」


干して乾いたタオルとボクシングしてるみたいな気になる人だよっ。


「ミカゲ、相手はどういうワケか加護を受けた隊の中でも俺達にばかり構ってくる。これが役目と割り切るしかないさ」


助手席のやっぱり私服のゼンがなだめてくる。ゼン、冷静だよね!


「わかってるよ、ゼン。わかってるんだけどさぁ・・」


私のボヤきは止まらなかったけど、程無く、目的地に着いた。

スプリングウッド市のわりと外れの通りにポツンとある、先日オープンしたばかりのカレーライスショップ『タデ☆モリ』っ!


「店名の主張の強さっ」


「ケムぅ」


「ホント、どういう手続きで出店したか全く後を辿れなくて困惑ですよ。諸々支払いはきっちり行われてるようですがねぇ」


ヒロシは荷台からゼンと木箱を下ろし、台車に積んでいた。

私の荷物はケーキ屋の紙袋1つだけ。起きたマティ3世は私の頭に乗ってるだけ。

オールファウンテンシールドの腕時計で確認すると時間はまだ9時30分になったばかり、開店は10時30分。

店の前に客がもう5人並んでた。店から店の制服を着た匙人間が1人出てきて整理券とのど飴を客に配っていた。この店、評判は普通に良かったりするんだよね!


「開店1時間前というのがミソです。30分前だとギリギリ過ぎて余計怒らせてしまいますが、1時間前だと余裕はあっても長々とは説教してられません。最悪、30分罵倒されるだけで済むのです。ふふっ」


「・・・」


得意気に話す細目のヒロシに、私もマティ3世もゼンも微妙な顔をするより他なかった。

私達は台車をゴロゴロ押して、店の裏の勝手口に回った。アポはギルドが取ってくれている。

インターフォンはなかったので、ノック後、店員匙人間に「プン? ププーン、プ」と案内されて、消毒液で手と靴を消毒させられてから(マティちゃんは全身にスプレーされててかわいそうっ!)厨房に入る。


「失礼しますっ! いつもお世話になっておりますっ、冒険者ギルドですっ!!」


「失礼しま~す」


「失礼します」


「ケムん、失礼する(とき)


入ると、テキパキと働く店員匙人間達! そして、匙兜を被り、ゴーグルをして超高速で玉葱を刻むタデモリ神っ! 刻みながら、刻み続けながら、タデモリ神はこちらを見ずに言ってきた。


「予算の関係でな、コンロが足りんのじゃ。今刻んでおるのはナイトタイムの分じゃ。ワシの店では工程に圧力鍋を使う! 香りが飛ぶと嫌う者もおるが、何日も低温で煮ても飛ぶじゃろう? 勿論香味野菜とスパイスは多めじゃ。時短することで他の作業のクオリティが上がり、コンロが空くっ! それにガスがもったいない。二酸化炭素も出るしの。神として、エコは優先せざるを得んのじゃ。プーン!」


「そうですね! 感銘を受けましたっ。ね? オータムゴールド君っ!」


「っ? ・・エコは大事だと思います!」


「短時間調理はフルーティに仕上がると聞いたことはある」


「ケムは圧力鍋、爆発しそうで怖いケム」


大丈夫かな? この返しで合ってた?? 一応調律師なのに、なんもいいこと言えてないけど・・


「厨房は作業の邪魔じゃ、フロアに回れプーン」


玉葱刻みを匙人間に引き継がせ、ゴーグルを取ってタデモリ神はフロアへ促し、自分も移動しだした。調理服着てるけど相変わらずムッチリした体型だなぁ。歩く小柄な後ろ姿がノシノシしてる。あの匙兜、頭にくっついてるのかな??


「で? なんの用じゃ? 7位神ホノカごときの下僕である貴様らが、この6位の匙の神! タデモリ神様にのぉっ! 言いたいことがあるのであれば、言ってみよププーン!!」


腕を組んで圧を掛けてくるタデモリ神! なんとかゾーンの技を喰らったワケでもないのにこの流れかっ。

ヒロシは私達を一度振り返り、細目をカッと開くと素早くタデモリ神に向き直り、完璧なフォームでフロアに土下座したっ!! 私とゼンもそれに習い、マティ3世も左右の頬髭を床に垂らし頭を下に傾ける『ケム(れい)』の構えを取ったっ!


「御見逸れ致しました!! これまでのミカゲ隊、ディンタン隊とタデモリ神様との戦績は8勝0敗で偶発的にオータムゴールド君達が優位なように見えないではないですがっ、タデモリ神様の力強さ! 勇ましさ! 気高い知性! 目映い美貌! ユーモア! 慈悲深さ! 感服致しました! 我々の完敗でございます! どうか『引き分け』ということで矛を収めて頂けないでしょうか?!」


「・・・ホノカ神はなぜこの場に来てワシに頭を垂れぬのじゃ? 道理プン!!」


「そこは、ホノカ神様も神! 体面もございますっ。しかし、あの方も本心ではタデモリ神様を敬服しておられ、手土産を持参せよ、と申しつかっております!!」


「プン? 手土産じゃと?」


「コッチ君!」


「はい、こちらです」


ゼンは淡々と、でも無駄の無い動きで台車から木箱を取り、タデモリ神に向けて蓋を開けて見せた。


「プっ?! これはっっ?!!」


箱には木屑で保護された大量の骨董らしいスプーンが納められていた。

それに神速で! 飛び付いて手に取るタデモリ神っ。


「なんじゃーーーっ?!! どれもこれも超プレミアの激レアスプーンばかりではないかぁーーっ!!! それをこんな雑に木屑で箱に詰めおってぇ~~ププーンっっ」


「申し訳ありませんっ、急遽タデモリ神様の為にル・ケブ州中から集めさせたのですが、我々のような下賎の者に扱いがよくわからずこのようなことにっ。是非、『違いのわかる見識のある御方に』受け取って頂きたいのですが・・」


「勿論じゃーっ!! おおっ、可哀想にププーン・・ワシがしっかり手入れしてやるからのぉ」


泣いて、木箱の古びたスプーンを労るタデモリ神! ここでヒロシが鋭く私にアイコンタクトを送った。


「っ! タデモリ神様っ。ナージャ屋の『黒豆入りレアチーズケーキ』です! ミカゲ隊とディンタン隊でお金を出して買いました。超人気店で、予約も頑張りましたぁっ!!」


私はヘッドスライディングの勢いでタデモリ神の前に出て、ケーキ屋の紙袋を差し出し、私の頭の上に飛び乗り直したマティ3世は触手で紙袋の口を開いて中身なホールのチーズケーキをよく見せたっ!


「・・なんじゃケーキか。まぁレアならスプーンで食べられないではないの、プーン!」


タデモリ神は面白くもなさそうだったけど、チーズケーキを受け取ってくれた!


タデモリ神、籠絡(ろうらく)(たぶらかすこと)完了っ!!



『他のメンバーだと揉めそうだから』という理由で同伴してもらったゼンに途中で下りてもらい(さっきのケーキ1個お土産に渡した)、代わりにパルシーを乗せ、別の貢ぎ物も魔工ピッキングトラックの荷台に積んだ私達が来たのは高級住宅街の一角。かなりの豪邸の前だった。


「売りに出されていたのですが、いつの間にか買い取られて、いつの間にか改修されて住み着いてしまったようですね」


「神様はそんなんばっかだね」


「ケムぅ」


「実家がわりと近くでビックリしましたよ」


私達は門の外から様子を伺ってから、インターフォンの呼び出しボタンを押して、執事をしているたぶん蛙人族(ワーフロッグ)に取り次ぎを頼んだ。アポは取ってあるよ?

案の定、ワーフロッグの使用人だらけの屋敷に通され、一階奥にあった『主人の間』に通された。


「っ!」


なんで1階に主人の間があるのかな? と思ったら神殿風に装飾された屋内プール! 中央に玉座のスペースまであるよっ。


「ゲコォ~、何しにきたのですかぁ? 怪しいですね、怪しいですねぇっ。私はタデモリ神程甘くありませんよぉ?」


元々グラマーなのにセクシーな水着で泳いでいるから目のやり場に困る感じだよ、マブカ神!

ヒロシは同じ段取りで完璧なフォームの土下座をして、私達もそれに続いた。私とマティ3世は2度目だけどパルシーは結構慌てていた。


「御見逸れ致しました!! これまでのミカゲ隊、ディンタン隊とマブカ神様との戦績は3勝2引き分けで偶発的にオータムゴールド君達が優位なように見えないではないですがっ、マブカ神様の力強さ! 勇ましさ! 気高い知性! 目映い美貌! ユーモア! 慈悲深さ! 感服致しました! 我々の完敗でございます! どうか『引き分け』ということで矛を収めて頂けないでしょうか?!」


「・・・」


マブカ神は長い舌を出したまま疑り深そうな顔で背泳ぎ、立ち泳ぎ、平泳ぎをした後で玉座スペースに上がり、ワーフロッグの使用人にタオルを受け取りつつ、玉座に座って脚を組んだ。


「どうせ、ホノカ神は来ないのでしょう? 貢ぎ物! 誠意を見せなさいなゲコォっ!」


「はい! グラスフルート君!!」


「あ、はいはい。え~とこのマシンは・・」


人生でたぶん1度もしたことない土下座に困惑していたパルシーは、スッと立ち上がって、後ろで作業用マシンゴーレム2体に持たせていたコンテナをリモコンで開いた。


中から出てきたのはなんか凄い機械化された『魔工マッサージチェア』だった。


「ムルッペコーポレーションの試作型魔工マッサージチェアを、僕がギルドの調査部からもらった資料を元にしてマブカ神様用に強化カスタマイズしたものです。マブカ神様は週に3度は夜の街にお出掛け」


「おほんっ!」


咳払いでパルシーの解説を止めるマブカ神っ。


「私のプライベートはどうでもよいのですっ。それで、そのマッサージチェアとやらの性能はどうなのです?! さほど興味はありませんがねっ、ゲコゲコっ」


「はい、とても良い案配です。48種類のマッサージが可能で、マッサージ効果を高めるアロマジェルを出すノズルも9箇所に取り付けました。『うつ伏せモード』にも対応しています」


なんか、ちょっと・・


「うつ伏せモードっ?! ゲコゲコっ。まぁ、試してみないでもないですよ? 私もそこまで狭量な神ではありませんからねっ。ここに持ってきてみなさい!! 早くっ」


「はい、じゃあデク達、運んで」


マシンゴーレム達は怪しい魔工マッサージチェアを持って飛行モードで玉座スペースまで運び、また大人しくパルシーの元に戻ってきた。

玉座から身を乗り出して魔工マッサージチェアを見ているマブカ神っ。


「どうぞ、まずは普通の座席モードで」


「ゲコ! そうか。まぁどうでもよいのですがね、そこまでどうしてもと懇願されれば、神として、地上の者の願いに耳を傾けないではない。はぁはぁ・・」


もう息が荒いマブカ神! 大丈夫なの?!


「こんな、感じゲコ?」


魔工マッサージチェアに座るマブカ神・・


「じゃあ、取り敢えず『エレガンスオクトパスモード』にしますね」


「エレガンスオクトパスモードっ?!」


モード名にマブカ神様がビクッと反応した瞬間、パルシーはリモコンのスイッチを押した。すると、


「っ??!!!」


マブカ神の首、肩、腕、背、腰、尻周り、脚を特殊アームとジェルで蛸が獲物を捕えるようにして徹底的にほぐしだした!


「ゲゲっゲッコォオオっっ!!!」


恍惚とするマブカ神っ!


「気に入って頂けたでしょうか?」


「ゲ、ゲコっ。まぁ悪く、おっほぉおおっ! いいでしょうっ。と、ととと、んほっ、特別に手打ちとしてあげ、おふぅっ、してあげしょうっ! ゲコゲコっ」


ここで、


「ケーキをっ」


「はい!」


私は細目ヒロシに鋭く促され、プール越しに例によってマティ3世と一緒にケーキ屋の紙袋を差し出した!


「 マブカ神様っ。ナージャ屋の『黒豆入りレアチーズケーキ』です! ミカゲ隊とディンタン隊でお金を出して買いました。超人気店で、予約も頑張りましたぁっ!!」


「ケーキぃ? おふぅっ、ワーフロッグに渡しておきなさいっ! レアケーキならペロペロ食べられるでしょ、おおんほほほ、ゲコゲコっ」


マブカ神、籠絡完了っ!!


「では、私どもこれにて! あとはごゆっくりリラックスして下さい」


「リモコンは使用人に渡しておきますよ? うつ伏せモードは30分程度の起動を推奨します」


「はぅ、っっ早く立ち去りなさい! 別にっ、すぐに、うつ伏せモードを試したいワケではありませんからねっ?! ゲコォっっ」


「・・・」


私達がそそくさと主人の間を出て扉を閉めた途端、


「ゲッ?! ゲコォオオーーっっ☆☆☆☆」


マブカ神の歓喜の叫びが館に響いちゃったよ・・


「パルシーんとこ、色んな物作ってんだね」


「ビジネスですからね。でも、上質な『商品モニター』を見付けちゃった感じですね。くくくっ」


「・・・」


なんか、パルシーが特殊な才能に目覚めちゃったかもしれない・・。



私達は、また途中でパルシーとパルシーのマシンゴーレム達を降ろし(報酬みたいになってるけどケーキは渡したよ)、代わりにディンタンとマリマリーを乗せて、私の実家の旅館とホノカ神様の神殿のある市内の保護林に向かった。


「ある意味、これが今日の本番ですからね」


「決戦ケム!」


「任せろYOっ!」


「大丈夫だろ? 可愛いし、ケーキ買ってあるんだし」


車中で余裕な感じの2人に私は不安になった。


「あれでもヘソを曲げると頑固なんだよ?」


「へぇー?」


あんま伝わんないなぁ! 最近はほぼ毎日夜、家に来るから妹みたいになってきて、我が儘がほんと容赦無いんだからっ。

私だけが戦々恐々としながら私の実家は素通りして、私達はホノカ神殿に向かった。結果、


「勝手に謝罪して回らないで下さいっ!! 私、悪くないもんっっ!!!!」


神殿奥の桜のリーフウォーカー亜種が多数潜む、永遠に満開の桜の御神木と一体になった廟の上で、なんだか久し振りにみる4枚の透明の羽根を背に生やし、輝く衣を着た姿のホノカ神様は思った通り癇癪を起こした。

もう漫画みたいに『プンスカ』怒ってらっしゃる。カワっ。


「レアチーズケーキ買ってきたから機嫌直して下さいよ~」


速攻で全員土下座してるけど、私は最初のカードを切った!


「ミカゲちゃん! わたしは神様として怒ってんのっ、もう! わたしは匙の神や雨蛙の神の眷属じゃないもんっ! ケーキ1個くらいじゃ納得しないんだから!」


「2ホールで買ってきたケム」


「2ホールぅううぅ?!!」


目の色変えるホノカ神様だったが、すぐにハッと我に返って、コホンコホンと赤面して咳払いした。カワっ。


「ホノカ神様、僭越ながら、ホノカ神様が好んでらっしゃ漫画作『君にどすこい』の全巻作者サイン&ホノカ神様の似顔絵入り本を用意させて頂きました。是非、御納め下さい」


「全巻サイン&私の似顔絵入り?! 一体どうやってそんな貴重な物を??」


「お金です」


「お金かぁー・・」


揺れてる、ホノカ神様が揺れてる! 私はディンタンとマリマリーにヒロシ仕込みの目配せをした。


「ホノカ神様! 俺とマリマリーが日頃の感謝を込めて『奉納ラップ』と『奉納ダンス』を捧げますYOっ!」


「任せてっ!」


「私は魔工ラジカセでBGMをっ」


「ケムはタンバリンを」


「では、私は・・手拍子でも、致しましょうか」


ホノカ神様はクーラーBOXから出したケーキの入った紙袋と、山積みされた全30巻のコミック単行本、そして私達を見比べ、小さく溜め息をついた。


「・・・どうぞ」


「よしっ! 行くぜっ、ミカゲ! ミュージックっ!!」


「この曲、今、流行ってるヤツだよね?」


(リリック)は俺だからセーフっ!」


「・・いいけどさ」


私が魔工ラジカセのカセットを再生させると、ディンタンはラップを始め、マリマリーは踊りだした。



桜、ハラハラ 小さな君! 春にふるふる 小雨模様 長い年月ありがとう


産まれ変わって 差し代わって 呼び替わって 咲き(わら)って


忘れていたよ 夜の牢 忘れられてた 夜の者 浸かる森の中 滞る泉の先 割れた石 崩れた家 YO・・見付けた


桜、ハラハラ 小さな君! 春にふるふる 小雨模様 長い年月ありがとう


産まれ変わって 差し代わって 呼び替わって 咲き(わら)って


ホノカ ホノカ ホノカ ホノカ 俺達大好き桜の子っ! セイホーっ!! YO YO YO・・・



「・・素敵ですっ☆☆☆」


感激したホノカ神様が泣き出すと、スプリングウッド市にも小糠雨(こぬかあめ)が降りだした。


「YOーっ!」


「やったな!」


私達は互いハイタッチした。マティとヒロシも。


「もうっ、皆ったら! わかりました。タデモリ神様とマブカ神様とは後日お話して、和解しましょう。もう一柱いらっしゃいますが、いつかわかり合えるでしょう」


うん。まぁ、タデモリ神はレアなスプーン欲しかっただけみたいだし、マブカ神は『大人の椅子』が欲しかっただけみたいだけど・・


「ホノカ神様、ケーキを食べる時はちゃんとテーブルで食べて下さいね。2ホールだと私の部屋、チーズケーキまみれになっちゃうから」


「はい、ミカゲちゃん!」


最高の笑顔! ホノカ神様も・・籠絡完了っ!!



・・・魔工車を停めた神殿の駐車場前まで来ていた。まだ小糠雨が降ってる。


「ヒロシさんもミカゲの旅館で夕飯食べてけばいいのにYOっ!」


「いや、色々立て込んでてね」


「今日は段取り付けてくれてありがとうございました! まさか1日で全部片付いちゃうなんてっ」


「これまでの君達の頑張りから、いけると判断したんだ。私は勝算無く土下座はしないよ」


「勝算無く土下座はしないよ、って凄ぇいいこと言ってる風だな!」


「まぁね」


「ケムぅ」


ちょっと笑って、車が出るところまで見送った。


「・・やっぱアレくらい世慣れてないとギルドマスター務まらないのかなぁ」


「そりゃそうYO!」


「この市のギルド、政財界にパイプがあんま無かったみたいだしなぁ」


「『土下座マスター』ケム」


「言い過ぎ」


私達は小糠雨の中、旅館に向かってぼちぼち歩きだし、この後夕飯を軽めに食べて、合流したエルフっ子バージョンのホノカ神様と2ホールのチーズケーキを5人でペロリと完食した。

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