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大悪魔を駆使して始まる世界征服  作者: ニューガーデン
第四章 ダークネス・カイザー様の行方
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46話 あの日の出来事

私たちは、さっきイビルンと別れた墓地の場所まで戻ってくることが出来た。


「ここからどっちに行ったかわかるデビルン?」


「こっちだな。よしついて来い!」


「主様たち……急に引き返したと思ったら今度はイビルン氏の方に向かわれるのですか? 一体なぜ……?」


「わからないのバステト……イビルンが先輩の契約者よ」


「――!?」


「そうよね……? デ・ビ・ル・ン」


ちょっと不機嫌そうに話しかけてみると


「あははは、そのようだなぁ」


デビルンは棒読みだった。


「どうして黒条氏の契約者だとわかったんですか?」


「ダークネス・カイザー様の名前を出したとき一瞬だけ表情が変わったの。間違いなくここへダークネス・カイザー様を連れて来たのはイビルンよ。それにここまで来て急に赤い煙の道から外れてしまったのも妙だったわ。これは一体どういうことかしらね、デ・ビ・ル・ン」


「だーーもーーイビルンの契約者がまさか弟だとは思わなかったんだよ。それに契約してたらしてたで普通は悪魔が憑りついている状態なんだ。なのに姿が見えなかったんだぞ。即答できるかよ」


「憑りついていなかったから、スマートフォンで連絡を取っていたんですね」


「多分イビルンはそのスマートフォンと、多分ウィジャ盤か何かの応用技で通信していたんだろうぜ」


「しかし、それは主様の赤い煙かもしれませんよ」


「デビルン。その辺についてはどう考察しているかしら」


「イビルンとばったり出会った道端だな、途中から赤い煙が消失するなんておかしいぜ。それもイビルンがやって来た方角からだしな」


「それでも、まだ犯人がイビルン氏だという証拠がありません」


「そんなの簡単よ。彼から漂ってきた揺らめく赤い煙こそ何よりの証拠だわ。ほら、デビルンが言ったようにこの赤い煙は人からしか出ないっていうじゃない。なのにイビルンは人なんか見ていないって言ったのよ。明らかにおかしいじゃないの……?」


「た、確かに」


「あと握手したとき手が生温かかったの、これは先輩に触れて出来た事象だと思う。ホラ、デビルンって触ると冷たいでしょ。さっきのイノシシやブタの悪魔だって冷たかった。導き出される結論はそれしかないのよ」


「では、イビルン氏が人を見ていないどころか、黒条氏を知らないというのも嘘になるわけですね」


「そういうことよ。さぁ、デビルン事の真相を聞こうじゃない」


「なんだよ、事の真相って別に俺様はダークネスなんたらの魂に興味はないぞ」


「――7月20日、この日について詳しく聞かせてほしいのよ」


「あぁ~~黒い流れ星に願い事をした日か」


「ええ、まだ詳しく聞いていいなかったのだけど、丁度いい機会だし洗いざらい吐いてもらうわよ」


私たちは急ぎ足でそれでも何とか、会話の出来る距離感を保っていた。


「あの日の前日の事から話していいか?」


「どうぞ」


「実は俺様たち、人族の魂を喰らったばかりだったんだが、その魂が本当に不味くてよぉ、別の魂で口直ししようぜって話になったんだ」


「そして7月20日、俺様たち二体は、また魂を喰うために黒い流れ星となってあの人族のいる人間界に飛び込んで行ったわけさ。もちろん、ちゃんと宇宙から穴を開けてきたんだぜ。そしてある魔法を掛けていてな――」


「――魔法?」


「ああ、未成年の男女限定にしか見えない黒い流れ星って魔法を掛けたのさ」


「俺様たちって言ったわね。イビルンと一緒に私たちの世界にやって来たって訳ね。それ以外は連れてきていないんでしょうね」


「ああ、俺様とイビルンの二体だけで来たぞ」


「(そう……犠牲者が他にもいなくてちょっとホッとしたわ)……それであなたたち二体は両者に分かれて契約したってことね。これから察するにダークネス・カイザー様の方にイビルンが、私の方にデビルンが来たってことになるのよね」


「そうだな。あとは、お前にオカルト的力を与えるのには苦労したって話はした方がいいか? あと捜索期間がものすごく長かった話とか」


「いいえ、結構よ」


「ちぇ」


デビルンが軽く舌打ちをした。


「おかしなことがあります。黒条氏の願いが何だったのかは分かりませんが、それだとデビルン氏を普段から見えていたことになりませんか?」


「いいや、それはないぜ。あの男から魔力や霊力といった、そういうオカルト的パワーを感じなかったんだ。契約者であるイビルンなら見えていてもおかしくはないが、俺様を見るならやっぱりアゲハのようなオカルト的な力が必要なんだよ」


「先輩の願いはオカルト的力を駆使して世界征服するって訳じゃなかったのね」


「お前はそんなこと考えながら俺様たちに願い事をしたのかよ」


「当たり前じゃない。言っておくけど、あなたの力と私の力を駆使して世界征服してみせるのは本気よ」


「あぁ、年齢制限、もう少し上に繰り上げておくべきだったぜ」


「それで、二手に分かれて契約者の元へ行っていたってことですか?」


「そういうことになるな」


そうこうしている内に赤い煙を追う一行はとある扉の前で立ち尽くしていた。


(教会? にしては十字架が逆さだし、ちょっと手入れも行き届いていないくらいボロボロね。けど赤い煙はここで途切れているし、ここにダークネス・カイザー様が……)


「たぶん入ったら揉め事になるから、一人と一匹、その辺は覚悟をしておくように」


ごくりと唾を飲み込んで、教会の扉を開け放った。


「――ッ!? ダークネス・カイザー様!?」


真っ先に目についたのは、やはりイビルンと逆さ十字につるされたダークネス・カイザー様のお姿だった。

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