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大悪魔を駆使して始まる世界征服  作者: ニューガーデン
第一章 大悪魔との契約
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3話 迷子の面倒

学校への登校からの運動場での始業式は、何の変哲のない儀式であった。


(校長先生……話長すぎ……)


周囲立ち並ぶ生徒諸君は、もちろん各々の私服でこの演説を聞いている。校則はゆるゆるな分、こういう行事への参加はうるさい学校であった。


「ここで何してるの?」


隣にいる幽霊少女は私の裾を引っ張て聞いてきた


「(聖なる演説を聞いている。疲れるだろうが我慢だ……敵情視察は大事な情報収集なのだが、いや、というか、アカネ今我に話しかけられても困る大人しくしておれ……)」


「は~~~~い」


元気よく返事を返してきた。


『――では、以上を持って始業式の式事は終了とする』


校長先生と言いう聖なる者の話を聞き終えて、皆は続々と校舎の中に入っていく。


(まだ……暑いなぁ~~夏も真っ盛なのかな)


そして私も校舎の中に入って、今度は担任の先生の演説を聞かされて下校した。至るところで幽霊を見かけたが気にしないことにする。


中庭の自動販売機でブラックコーヒーを買いこんで口にする。冷たい方を選んでおいた。


「さて、約束どおりお前の家を探してやろう……名は確か……明豊アカネだったな、少し待っておれ」


スマートフォンで住所アプリを開き、名前から住所を逆算する。しかし――


(ん? 出て来ないぞ、おかしいなぁ)


そんな時、肩に乗っていたバステトはこう言って来た。


「あの~~、僭越ながら主様、この娘の住所は古すぎて存在しなくなったのではありませんか」


「な、なにぃ~~~~~~じゃあこの万能魔道具ではどうにもならないではないか!」


「おねいちゃん――どうしよう――わからないの?」


(もう70年以上も前の故人だしなぁ~~、当然住所不定かぁ~~面倒だなぁ。仕方ないあの手でいこう)


「まさか、あの魔道具をお使いになるのですか。今回の件で役に立つとは思えませんが……」


「フフフ、我が使い魔バステトよ。いい作戦を思いついたのだ……まぁ、そこで大人しく見ておれ……」


手提げカバンの中から魔道具幽霊ダウジングマシンを取り出した。二本で一対の幽霊探知機である。


「それどうするの?」


「まぁ、見ておれ。私はとある事情で魔法を使えるようになっているからな~~貴様の母親を探せばよいのだ。母親の名前はわかるか?」


「えっ? お母さんの名前? わかんない」


「(母親も故人だろうと思って出した提案なのに~~)――もういい――貴様は今日から我が使い魔だ。私の手足として働くがよいぞ。まず手始めにこのブラックコーヒーの空き缶を捨ててくるのだ」


「諦めない方がよろしいかと――」


「我が無脳なる使い魔バステトよ。他に代案があるなら申して見せよ」


「いえ、ありませんが……」


「ねぇねぇおねいちゃん。お家はまだ~~」


「うぅ~~そんな小動物みたいな目で見るな。これから貴様は我が使い魔だ」


「うっ、ううっ…………」


「――おい! 泣くな! 私の配下にそんな弱いものなどいらんぞ!」


思わず、大声を出してしまったので、周囲の生徒たちに怪訝な顔をされ、挙句の果てには噂話である。


「誰あの子?」


「ほら、一年の黒井さんよ――よく一人で喋ってる痛い子らしいわよ」


またも、オカ研の評判を上げてしまった。これで先輩も喜ぶはず。


「フフフ、我こそ真なるオカルト少女――大邪神の神官、黒井アゲハであるぞ。オカルトに興味があるならぜひ我が部に入門するといい――ハハハ、ハーハッハッハッハッ!」


「――行こ行こ」


上級生の二人はさっさとその場を後にした。


「……ドン引きされてしまいましたよ。主様」


バステトが言う。


(ちっ、なかなか眷属は増やせんか)


学校での私の立ち位置はこんなところだ。狂人扱いでもめげないぞ。


「うぅ~~おねいちゃん、お家は~~?」


「使い魔では不満か……他に策があるとしたら~~(霊体、霊感、霊質、見えるもの、聞こえるもの、名前、50年代生まれ、あとは……)おい! 死因は何だ?」


「しいん?」


「死んだ理由だ、自分が死んでいることくらいわかるよなぁ」


「うん、車にひかれちゃった」


「なら、あの手で行こう」


いい作戦が思いついた。今日の私は頭が冴えているのだ。

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