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大悪魔を駆使して始まる世界征服  作者: ニューガーデン
第三章 廃墟の遊園地
24/52

24話 お化け屋敷前にて

オカルト研究部の、もといクレヴァナルのメンバーは、お化け屋敷の入り口に到着した。


「さて、十年も昔に廃園したと言うが、それほど老朽化はしていないのだな」


ダークネス・カイザー様の言う通り、お化け屋敷は一見真新しく整備されているようにも見えた。


(どういうこと、廃園されて誰も近くには寄ってこないはずなのに……誰かが、あの園長さんが整備しているの……?)


「あぁ~~、こりゃあいるわ。お化け共が……」


デビルンの発言に思わず飛びついた。


「(お化け共がいるですって、その辺にいる幽霊とは違うのかしら)」


「違うと言えば違う。なにせアイツらは幽霊の進化版だ。実体を持っているし、下手に関われば命もないし魂も食われちまう。でも、安心しろ! お前の魂は俺様のものだから、アイツらから守ってやるよ」


「(ここにいる全員を守ってくれないかしら……)」


「ええぇ! めんどくさ。誰がそんな事引き受けるかよ」


「(では、世界征服の野望は断念ねぇ~~、はいこれで取り引きは無効よ)」


「むむむぅ~~~~、わかったわかったよ、守ればいいなだろ、守ればさぁ……」


「(よいお返事ねぇ、さてと……)ダークネス・カイザー様どうします? このお化け屋敷、何か得体のしれい者の存在を感じますよ」


「気づいたか、流石はデイネブリスパピヨンだ。我ら以外の来園者もいなければ、このお化け屋敷をメンテナンスする従業員の影すらない、これすなわち、悪しき者の力。つまり同族! 盟約を結び、事件を解決しようぞ!」


「では、お入りになられるのですね……?」


「愚問だとも! 入るに決まっているではないか!」


漆黒のコートをを翻し、メンバーの全員に語りかけていた。


「私はパス……外観は綺麗かもしれないけど、内観はきっと、埃まみれでしょう……? こんなところに入りたくない」


「ぼ、僕も、パスです。荷物を運んでここまで来たので、少し疲れました水でも飲んで待っています」


ビーブリオテーカ様とソリトゥス様がそれぞれの思いを口にしていた。


(――えっ! ってことは、ダークネスカイザー様と二人っきりでお化け屋敷に? ど、どうしようかしら……怖がっているふりをして、手でも握ってしまいましょうかしら)


「はいはいは~~い! 私行きま~~す!(アゲハちゃんの動画をお手伝いできるのであれば、私は例え火の中、水の中にも飛び飛び込んで仕舞いんますよ」


私をカメラで写し取るクリスチャンの姿が目の前にあった。


「あははは、ありがとクリスチャン(ありがたい申しつけだけど、そうじゃないでしょ。そこは空気を読んで二人っきりにしてちょうだいよクリスチャン)」


「フフフ、感謝の気持ちより視聴者の事を考えて動いてくだい」


(そうじゃないわ。って、あなたは私がダークネス・カイザー様に好意を抱いていることを知っているでしょうに……まぁ今日の動画の趣旨的にはそれが正しいんだけど……はぁ~~、先輩と二人っきりが良かったなぁ)


「ゴホン! 準備はいいかな二人共、ここから先は我の影に隠れているがよい! そこの二人も荷物は頼んだぞ。万が一30分に戻らないことがあれば……我々の事を忘れて、世界征服の野望を託したぞ」


「万が一の時には管理者さんに報告でしょう……? 了解しましたわダークネス・カイザー様」


「(悪いけどデビルン先陣を切ってくれる? 悪いお化けに出くわさないように……)」


「わかった! 俺様について来い!」


「あれ? 何か言いました? アゲハちゃん?」


抱えていたバステトを降ろすクリスチャンが聞いてきた。


「(流石の地獄耳……今ならまだ間に合う)ねぇ、クリスチャン?」


「何? アゲハちゃん」


「(私と先輩を二人っきりにしてちょうだい。ちょっとした……デート気分を味わいたいのよ///)」


ヒソヒソ声で話しかけてみる。


「あっ!? そ、そうですよ。そうでしたですよ」


(ほっ、これで思いは伝わったかしら。行ってみるものねぇ~~)


しかし――


「(このカメラにアゲハちゃんの魅力をたくさん残しておかないと……えっとナイトモード、ナイトモードっと、これで、視聴者の皆さんにもかわいいかわいいアゲハちゃんの魅力が伝わるはずです! さぁ、存分に先輩の手を握るなり、思わぬハプニングで抱き着くなりしちゃってください)」


「――ちょっ、違っ!?」


「二人とも何をしている! もたもたしていると置いていくぞ!」


「あっ! は~~い、行こアゲハちゃん!」


「う、うん(こうなったら、視聴者のファンなんて無視してでも手を握ってやるわ!)」


こうして先輩とのちょっとしたデートは打ち砕かれたが、まだまだダークネス・カイザー様との距離を縮めんと画策する私であった。

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