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大悪魔を駆使して始まる世界征服  作者: ニューガーデン
プロローグ
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1話 黒い流れ星に願いを込めて

 真昼の太陽は眩しくて暑苦しぃ。


(たまには日光浴をしてこの白い柔肌に耐性を付けなくてはなぁ……名付けて紫外線無効化スキルっと)


 私、黒井アゲハは自分の家の庭先で嫌々日光浴をしている。プライベートなので水着に日光浴用のデッキチェアに寝そべっていた。


(さて、何時間かかっただろうか。もう一時間はこうしているんじゃないか。ふっ……これで私も究極の吸血鬼に変貌しただろうな)


 腕時計に目をやると…………


「バカな! あれだけ寝ていたのに時間が5分しか経っていないだと! はっ!? これはもしや体感時間の減速か! 何者かの攻撃という訳か……ふふふ、面白い! この私に! 邪神官デイネブリスパピヨンに攻撃を食らわしたことを後悔させてやるわ!!」


 ――その時、庭の茂みで物音がした。


「そこか曲者!!」


 ガーデンテーブルに置いてあった護身用の拳銃に手を掛けて茂みに向かって引き金を引いた。

 すると…………


 にゃ~~~~と茂みの奥から一匹の黒猫が顔を出してこちらに向かってきた。私の飼い猫でもある。


「なんだ……我が使い魔のバステトか。今回の事件はお前の仕業か……いつの間に人体の体感時間を遅くする術など覚えて来たんだ」


 ここで断っておくが私の偏差値は70以上ある。馬鹿ではない。むしろ天才に近い。

 もう一度デッキチェアに寝そべって日光浴を再開する。拳銃扱いしていた水鉄砲も置いておいてだ。

 今日の日付は家のカレンダーを見れば一目瞭然、7月20日。私は天才なので覚えているが、後で一応、確認はしておこうと思う。


「なぁ~~バステト……新たな仲間を引き連れて来いと前々から言っているだろう……そろそろ使い魔の10や20は欲しい所なんだが…………」


 抱き上げたバステトは何も言わない。


「別に咎めてるわけじゃないぞ。お前も仲間がいないと寂しかろうと思っての気配りでもある」


 まぁこんなのは適当な理由付けだ。我らが目指すは世界征服下ことはない越したことはない。


「……………………なんか言えよ」


 黒猫バステトは何も言わない。主の気配りを理解してくれないようだ。バステトを庭に降ろしてあげる。


「まぁいいか……とにかく主様はただいま真昼の太陽と決闘中だ。この白肌を傷つけられないようプロテクトは掛けておいてある」


 ガーデンテーブルの上には日焼け止めが置いてある。魔法の効力により私の肌は焼かれないということだ。


(それにしても、世界征服かぁ~~~~我が最愛たる盟主殿もまた無理難題を…………って! いかんいかん素に戻ってしまうところだった…役にてっさねば!)


 バステトの方を見る。


「バステトよ。お前に重大な任務を与える。今から家へと潜入し気の利いたドリンクを持ってくるのだ。もちろんキンキンに冷えたものぞよ」


 任務を聞いていてもバステトは動かない。


(言語障害だなぁ……やっぱり猫は猫か――スキルほしぃ……はぁ~~あのお方、魔王様のお役に立ちたいのだがなぁ……あぁ~~異世界行ってスキル欲しい――猫と話せるスキル欲しい)


 デッキチェアでくつろぐ中で思考を巡らせていた。


(眠いけど、熱中症とか大丈夫かなぁ……いや、弱気になるな。あんなギラギラした太陽に負けるようでは、大魔王様の幹部である私の立つ瀬がない。あと55分んだ、ここは頑張れ黒井アゲハ!)


 デコの上に腕を乗せ目元に影を作る。太陽と対峙するためのスキルの一つ影落としだ。


 そこでふと――視界に太陽とは別の何かが入り込んだ。


(なんだアレは……隕石……人工衛星か……何か真っ黒い流れ星が見えるんですけど)


 速度はそれほど速くない。


「流れ星なら願いくらい叶えてくれよぉ~~」


 黒い流れ星に向かって願いを三回唱えることにした。


「私を真のオカルト少女にせよ、繰り返す私を真のオカルト少女にせよ、繰り返す私を真のオカルト少女にせよ」


 唱え終わると黒い流れ星は消えてしまった。


(はぁ~~~~~~~~、大魔王様と両想いにしてください。でもよっかたなぁ~~、マジミスった~~)


 太陽と真正面から向き会うのは体力温存のために辞めて体勢を変えて、もう一度バステトに語り掛ける。


「冷蔵庫にあるペットボトルのリンゴジュース……持って来て……」


 バステトはやはり動かない。


(まぁ、脱水症状でヤバくなったら自分で取りに行くか)


 その時だった。バステトが動いてこちらにやって来た。


「主様、りんご、じゅーちゅとは何ですか?」


「……………………えっ」


 私は目を見開いた。なんと猫がバステトが喋ったのだから。

 この日から私は真のオカルト少女になったのである。


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