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 な、何だ?


「誰だお前」


 それはこっちの台詞だと言いたかったのに言葉が出ない。


 脂ぎった髪と浅黒く日に焼けた肌も髪と同じように脂ぎっており、歯が何本か抜けた口に血走った目。これだけでも恐ろしいというのに人魚を捕まえる為に用意したと思われる銛とさっき投げた網に続いてると思われる荒縄だけじゃなく包丁まで持ってやがる。


 もしかしなくてもここでさっきのウィリアムズと名乗った人魚を食べるつもりなのだろう。


「お前も人魚が欲しくて来た口か? だったら残念だったな。俺が捕まえたんだ。あれは俺だけのもんだ」

「……あんた」

「不老不死……俺のだ。俺の肉だ」


 先に来ていたのはこっちだとか色々言いたかったけど、ギラついた目に直感的にヤバい奴だと分かった。


「分かったんだったらさっさとどっか行きな」


 男はそう言うともうこちらには用がないとばかりに湖の淵にまで行って中がどうなっているのかを確認しようとしてる。


 逃げるのなら今しかない。


 あいつの邪魔をすれば俺が殺される。


 けど、それでいいのか?


 あの人魚は俺の話を聞いてくれた。ウィリアムズという名前も教えてくれて俺の話に笑って──


「ええいっ」


 あいつは俺が悪党だと思ったから攻撃してきただけで、話せばちゃんと答えてくれるし、笑えば可愛い。


「くそっ」


 おっさんがこっちに注意を向けてないのをいいことに太めの枝か石を探す。


 早くしないとウィリアムズがやられちまう。


「あんな奴にウィリアムズは渡さねえ」


 ウィリアムズが洪水を起こしちまったせいで中々見つからなかったが、手頃な石をようやく見つけ湖に戻る。


 結構時間が掛かってしまったが大丈夫だよな? と恐る恐る戻ったが、ウィリアムズが抵抗しているのかおっさんは湖畔で汗だくになって荒縄を引っ張りあげようとしている。


「あんなに引っ張ったらウィリアムズの鱗に傷が付くだろ!」


 そん時は俺だってウィリアムズの血と鱗が欲しいって言ってたからおっさんの行動にとやかく言う権利なんかないってことは頭からすっぱり抜け落ちてただウィリアムズを助けなければという想いに取り憑かれたように行動した。


「うごっ……」

「ウィリアムズはお前んじゃない!!」


 おっさんの頭を石でぶちのめし湖に飛び込む。


 その時に荒縄を引っ張られないようにと痛みに呻いてるおっさんの手から無理やり荒縄をひったくってやった。


「ぐぞっ」


 おっさんが起き上がって来る前におっさんのケツを蹴って転がしておっさんが転んだ隙に包丁を手放したので、それを奪って湖に飛び込んだ。


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