うめのおなかでむぎゅとしてもらう話
「うーめ。おなかにダイブしていい?」
「ん? ごはん食べて眠くなってきたからだめだ」
「なんでぇ。いいでしょ」
「潰すからだめだ」
でっかい巨大猫のうめ。
数トンというか、たしか8700kgあるんだっけ。
重すぎてわかんないけど。
でも。もふもふだし。ふかふかだし。
象のお腹の下になったら、きっと固くて重くてしぬけど。
うめのお腹はネコおなか。何度も吸ったことあるし、きっと大丈夫。
「おねがい。おねがい。おねがい」
「潰すからだめ。あっちいけ」
と言われた。
もー。
いいもん。食堂でお菓子食べてこよ。
部屋をあとにした。
☆☆☆
お菓子を食べてから戻ってくると、巨大猫のうめは寝ていた。
丸くなって寝ていた。
よしよし。
丸くなってるので、ちょうどまるくなってるとこにはいる。
よしよし。
でっかいし。ふkっかふかだし。
むぎゅ。
巨大ねこのにおいがするし、もふもふだし。絶対ふかふかだからつぶれないのに…
そこに寄りかかってあたしもお昼寝することにした。
☆☆☆
どさ。
あたまが床にごちんと落ちた。
どん。
そしてうめのしっぽがあたしの体をうちつけた。
「なに?」
「すまん。足だと潰してしまうからな。ゆうごはんだって。持ってきてくれ」
うめが言う。
ごはん当番はあたし。重労働だ。いっぱい食べるからだ。
もってくるか。
☆☆☆
ゆうごはんも終わり、うめのおトイレの始末もして、やっと今日のしごとは終わり。
寝るときは、隔離される。
うめの寝床にもぐりこんで、潰されてしまうからである。
過去に潰したとか、潰してないとかの話は聞いたことある。
8700kgと言われても、うめだし。もふもふのネコだし、そんなに重いのは信じられなかった。せいぜい2000か3000kgぐらいか。
それでも重いけど。
☆☆☆
次の日。うめのお腹を吸いたくなった。そして上に乗ってもらいたくなった。
「うーめ。あたしをおなかで潰してくれる?」
「昨日あれか? おかし食べすぎて、4kgぐらい太ったのか? 太ったからあの世へ行きたいと…それなら踏んでやる。踏むよりおなかがいいのか?」
「増えて無いもん。体重測ってないけど。うめは? 増えた?」
「115kgふえた。ごはんがおいしいからな」
「115kgも増えたの? まじで?」
「じゃあおなかの下へこい。乗ってやる。お腹を上げたときには、もうお前は平べったくなってるぞ」
「平べったくなってたら死んでるじゃん。潰さないように潰して。幸せなうめのおなかでむぎゅーとなりたいの。むぎゅーーーと」
「むぎゅううとなったら潰れるだろ。ほら。早くしろ。あと遺書書いておけよ」
「だから潰されたいんであって、死にたくないんだよ」
「潰れたら死ぬだろ。ほら。早くしてくれ」
「ぺっちゃんこにしないよね」
「じゃあ。移動するか。マットの上に」
5メートルぐらいむこうまで移動した。
「うん」
移動してうめは言う。
「この上に寝っ転がってくれ」
「うん。お腹吸わせてくれるの? そのあとおなかの下敷き?」
「下にする。うるさいからな。いちおう念のため潰す可能性もあるからな」
「潰さないでね」
寝る。
あおむけになる。
「じゃ。アーメン」
とうめは、いい乗ってきた。
ぎゅ。
いい感じ。
全身が押される。
「いいよ。いいよ。これこれ」
うめのお腹の下敷きになりながら、ねこのおなかをすーは。すーはする。
「乗るぞ」
え?
乗ってるじゃん。
と思ったらとてつもない重さがかかり始めた。
「あれ。ちょっと。ちょっとまって…」
重すぎる。絶対潰す。つぶれる。
ちょっとまって…
重すぎて腕が動かせない。そして息も…
しゃべったら強制的に肺の空気が全部出る。
「今ので1/3だ。もうちょいいけるか。めんどくさいから全部いくか」
とうめがいうとさらに潰される。
ちょっとまって。ほんとやばい。なんでこんなに重いの?
人に両足で立って乗られてる。それが全身ぐらいの圧力だった。
もうだめ。
「もうちょいか? 全体重おなかに乗せるぞ」
だめ。がちでだめ。重すぎる。こんなに重いと思わなかった。
ねえ。
ぎゅううううううううう。
う。
体が沈みこむ。
あ。うめのおなかで。もうぺちゃんこになるんだ。
ぎゅううう。
☆☆☆
目をあけるとあたしは白い衣装をきていて、まわりにお花が置いてあった。
「しんだの?」
と言って立ち上がる。
脚はある。
普通だった。
体もなんともなくはないか。
潰されて変な感じだった。
背後に気配を感じてふりかえった。
うめだった。
「潰れて死んだ気分はどうだ? ぺったんこになったぞ」
「ぺったんこ?」
「まあ普通だとそんなもんだ。あのマットは150kgかかると10cm沈みこみ、300kgかかると20cmはへこむ。だからそれ以上の重さはかからん。前日にテストしたときはマットの機能をオフにしたら、君ぐらいの体に800kgはかかったな。ダミー人形でテストしたけどな」
「ま。まじで?」
「うすぺらくなったな。ダミー人形」
「よかったな。このあとダミー人形をしまってある倉庫をみてみるといい」
「うん」
「じゃ。戻るか。あそこに扉があるから開けてくれ」
でっかい扉をあけるといつもの部屋だった。
うめのおなか。とてつもなく重かった。
がちで重かった。ねこのおなか。




