うめに乗ってもらう話
「うーめ」
言いながら、寝っ転がってくつろいでいるでっかい巨大猫のうめのお腹に全身をダイブさせた。
ぼふっ。
気持ちいい。
巨大ねこの毛に埋まり全身をすりすりさせた。
「そんなにいいのか」
巨大猫が言う。
「もちろん。でっかいねこのお腹にダイブすることができる世の中が来ると思ってなかった。またやろ」
ちょっと後ろにさがってまた、うめのお腹の横にダイブさせた。
ぼよんとなる。
全身で体当たりしても、巨大ねこの体はびくともしない。
すりすりさせた。
「あーいい。ものすごくいい」
寄りかかったまま目をとじた。
☆☆☆
どさ。
うめが動いた。
床にずり落ちた。
「ん」
目をあけたら、うめがたちあがり、どこかに行くようである。
ぼすっ。
うめのしっぽが私の体を打つ。
どすっという感じの衝撃。
猫のしっぽなのにすごい衝撃。
「お。すまん」
とだけ言うねこ。
「どこいくの?」
「お花をつみにいく」
とうめは言った。
トイレか。
うめのトイレ。
普通の猫のトイレみたいなのではないみたいである。
うんこもでっかいのかも。
☆☆☆
さっきまで、うめがいた場所。
そこにもぐりこむ。
クッションもあるし。
でっかいし。
やっとのことでクッションの下に入ってみた。
この上にうめがのっかるんだね。
今はいないけど…
目をとじていた。
「さてと。私のクッションの上にどっすんと座ろうかな。人がクッションの下にもぐりこんでたら、つぶれて中身が出ちゃうぞ」
と言う声が聞こえた。
え?
見ると、前にうめのでかい肉球が見える。
足をちょっとあげて、ぎゅむうと床を踏みしめる。
肉球が重さでつぶれた。あと、ものすごい重量感を感じた。
「あー。座らないで。まって。下にいるから」
やっと言い、はい出ようとする。
「いないよな。すわろう」
体をおとしてくるうめ。
すぐ目の前に体がある。
ぎゅむう。
重くなった。
「ちょっとまってー。ま。あ」
ぐぶ。
おも。
ちょっとまって。やばいかも。
ぐぐぐ。
どんどん重くなる。
絶対。あたし3人分より重たい。4人ぐらい?
もう。息ができないぐらいの重さ。
「下にいるのか?」
と言う声と、上にかかってる重さがどいた。
で。やっとのことからクッションから出た。
「やっぱりいたのか」
背中の上にうめの肉球がのっかる。
前足である。
ぎゅっと重さがかかったあと、すぐにあしをあげたうめ。
「ごめん。クッションの下にもぐりこんでた」
「やっぱりか」
はい出たのをみて、クッションの上にどすんと座った。
ぎゅむう。クッションがへこむ。
クッションの下に手をいれてみた。
途中までは入っていくが、あるところからつきあたった。
ちょっと上に手を動かしてみる。
ぎゅ。うめが動いた。
「あいたたた」
手が潰される。
「ぺたんこになるぞ」
うめが言う。
まじに重たい。
「おまえがクッションの下にもぐりこんでないかは、いつも注意してみてる。やっぱりか。普通にクッションの上に座ってみたほうがよかったか? 数トンの重さで、平べったくなるぞ」
「まじにおもたい」
「お前の厚み。なくなるぞ」
言われる。
「でもぉ。うめのお腹の下敷きになりたいんだよね」
と言う。
「そうか。特別なクッションの上でなら乗ってやらんことでもない」
うめは言う。
「ほんとう? 死なない?」
「ん? ぺっちゃんこになるだろ」
「え?」
「冗談だ。真ん中がへこんでるクッションだ。20トンの重さでも大丈夫なクッションだ。まんなかのへこみの中にいる場合にのみ、大丈夫なものだ。そこにはまってれば潰されないですむ」
「まじなの? そのクッションどこにあるの? 持ってくる」
言う。
「スタッフ数人がかりで持ってきてもらうか」
うめが言う。
☆☆☆
スタッフ5人がかりでもってきたでっかいクッション。
中央が、空洞になってる。
私は中に入ることができる大きさである。
くっしょんだが、けっこう丈夫で、重さもありそう。
「中にはいれ、おなかでおしつぶしてやる」
「うん。でも。窒息とかしないよね」
「しない。加減はできるし…息は吸えるだろう。だが…」
わたしはクッションの空洞の中にはいり、あおむけになった。
ぎゅう。
クッションのはしをわざと踏んでいくうめ。
クッションはつぶれなかった。
ぎゅう。
後足もクッションに乗る。
逆の足ものる。
前足も全部のせる。
「このくっしょんにうめの体重。全部かかってるんだね。つぶれないね」
「つぶれないクッションだからな。あ。いっておくが、おなかでお前の体は押すけどな。お腹に力をいれて、重さをそこに集中させるとつぶれる」
「え?」
言ったあと、うめがうえにすわってきた。
ぎゅう。
うめのおなか。
もふもふである。
もふもふででっかいおなか。
ぎゅう。押し潰される。
手をあてるよゆうはある。
ぎゅ。上におしあげてみる。
まったくびくともしなかった。
ぎゅうう。おしてみる。
むり。ものすごくむり。
ぐ。ぐぐぐ。うめのおなかがさがってきた。
「さてと。毎日うるさいから、事故でつぶしたということにしようか」
ぐ。ぐぐぐ。
おなかがさがってくる。
重くなってきた。手で持ち上げることはできない。
手は両側にどけた。
ぎゅうううう。
いっきにおもくなった。
「ちょ。ちょっとまって…」
これ。おもすぎるんだけど…
ぎゅうう。さらにさがってきた。
「まだつぶれてないよな。とどめをさすか」
ぎゅう。さらにさがってきた。
やばい。
うめのおなかで押し潰される。
ぎゅうううう。さらにさがってきた。
もう限界。
手をなんとかうごかして、めちゃくちゃにうめのお腹をタッチする。
「まだ。いきてるのか。もっと重くしないとな」
といううめ。
もうだめである。
重すぎ。
びくともしないおなか。
ぎゅう。さらに重くなり耐えきれなくなってきた。
ぎゅうううう。
☆☆☆
ぷに。
ぷにぷに。
顔にやわらかいものがのっかる。
ぷに。
ぷにぷに。
目をあけると、巨大な肉球がみえる。
うめの前足である。
「気絶してたぞ。あれだけで気絶するんだな」
気絶してたの。
しっかし。うめのおなか。思ってたのと違う。
ものすごく重くて苦しかった。
「なあ。クッションの下にもぐりこんで、普通にすわったらあんなものじゃないぞ。きっとあの7倍は重たい」
「まじなの?」
「それはあれだな。押し潰される直前に感じる重さだ。乗るともっと重くなる。厚みはなくなる」
ものすごくおおきいから重いのはわかるけど。
あれほどとは。
「ねえ。あたしのおなか。肉球で踏んで」
言ってみた。
「こりないな」
前足が私のお腹の上に乗る。
重さはかかってない。
「ふんでみて」
「あれだ。マヨネーズのいれもの。全部の体重で踏んだことあるか?」
「ないけど…」
「そういうふうになるから。重さはかけない」
ほんのちょっとだけあたしのおなかを前足で押してから前足をあげた。
横に前足を踏み下ろしてぎゅうう。と重さをかける。
どん。
よこに腰をおろす。
一瞬床がゆれた。
うめの横によつんばいで移動する。
そしてうめのおなかによりかかった。