巨大ネコ
「さあ。行って」
母に言われてしまう。
就職し、実家から職場へ通っていたが遅刻が多数なので職場と近い場所に部屋を借りてそこから通うようにと言われたのであった。
「えー。『うめ』のおなか。毎日吸えなくなる」
リアルねこのお腹に顔をうめてすーはーすーはするのが好きである。
あと、わざと床に寝っ転がって、うめに踏んでもらうのも好きである。
ぶつくさ言いながら家をあとにする。
☆☆☆
1人暮らしを始めて1か月ぐらいしたあと。
「あー。禁断症状がでるぅ」
ワンルームの床の上をごろごろ転がった。
今の職場は暇である。15時をすぎたら帰ってもいいぐらいである。
朝は8時30分から始業であるが…そこがつらいのである。
副業もOKで終業後とか16時すぎからペットショップに手伝いに行っている同僚もいる。
私もペットショップで働こうかと思っていたとき。
インターネットでみつけたショップに行くことにした。
隠れ家的なめいど喫茶である。
しかも普通のめいどではなく、けものみみめいどのである。
本物のネコミミの子もいるし…
お腹に顔うめたい。
猫じゃないから怒られるかな。
☆☆☆
1週間後。再びめいど喫茶へ行く。
仲良くなったネコミミの子からあるチラシを渡される。
「あなたの趣味にぴったりのバイトがあるの。ねこと過ごせるよ。ねこのお世話」
「へー。いいねこれ」
ちらしを見る。
「言っておくけど、他言無用。もしばらしたら一生監視つきか、あの世行きだから」
とネコミミの子に言われる。
「あの世ね…」
ほんわりしてるネコミミの子を見てるとそんな気はしないが…
けものみみめいどを派遣してるのは多国籍企業であり、権力も持つ。お金持ちの企業である。
だからあの世行きはほんとかもしれない。
監視だったら…ネコミミの子ならいいけど。
「うん。このあと行ってみる」
ネコミミの子はこの後予約が入ってるので出ないといけない。
お腹に顔うめたい。
☆☆☆
めいど喫茶を出て、しばらく歩く。
とあるビルから地下へと降りる。
普通のマッサージ店である。
受付の人にチラシを見せる。
黒服の男の人が出て来て手招きされた。
不愛想な人。
やばそう。
お店の中をとおり、従業員用の廊下を進み多目的トイレの中へと誘われる。
やばい?
多目的トイレの中に入り、黒服の人は私の後ろへまわり、入り口の鍵を中から閉める。
そのあと、壁にある大きな分電盤か配電盤の金属製の扉を開ける。
ひんやりとした風を感じる。
のぞきこむと配線はなく、その奥は人が通れる通路が続いている。
黒服の人が入って行きあとから続く。
つきあたりを曲がったとき、扉とセキュリティがかかった機械があった。
男の人はカードをかざし認証を実施すると扉が開いた。
その中はエレベータである。
乗り込むと下へと向かっているように思える。
かなり厳重な感じ。やば。ひみつをもらしたら本当にころされそうである。
☆☆☆
ちん。
音がした。
エレベータを出たところに受付の女の人がいた。
というか本物のバニーガールである。
頭にうさみみがついている。
けものみみめいどのバニー?
見張りの人であろう。警備担当というかそんな感じ。
こっちをじーとみてるうさ耳の子。
ふともも。ふとっ。あみあみタイツがえろっ。
フェロモンが出すぎな子。
その子を見てから、さらに歩く。
先に廊下が続き、両側に部屋がある。
部屋の中に黒服の男は入り、手招きした。
中にはソファとテーブルがあり、ドーナッツとのみものが置いてあった。
それと大きなタブレットが1つ。
椅子に座る。
うわあ。
ふっかふかである。
座ってみると黒服の人が部屋を出て行き、かわりにネコミミの子2人が入ってきた。
めいど服を着てるけもの耳めいどの子である。
背は大きい。
しっぽも太いかも。
私の両側にネコミミの子が同時に座った。
監視のような感じ。
そのあと、人間のキャリアウーマンっぽい感じの子が入ってきた。
正面に座り言う。
「ここでのアルバイトを希望なのかしら」
「えと。はい。ねこのお世話ができると聞いて…この方の?」
隣を見る。
ねこみみめいどを見る。
けっこうかわいい。
ねこみみめいどのしっぽが私の膝の上に乗った。
どさくさにまぎれて手でさわってみる。
ほんもののネコのしっぽみたいだが、太さはこっちのほうが太い。
「この子達ではないけど…やる気あるなら、仕事の内容と危険性を記載してあるタブレットの資料に目を通してくれるかしら。もし辞退するならこれを」
青いラベルがついた何かの飲料を前に置いた。
続けて言う。
「そして、やる気があれば、次のページの機密保持契約にサインして仕事をする。そのときはこっちの赤い飲み物を飲んでね」
と言われる。
これって…青を飲んだら殺されるとか?
まさかね。記憶消去の薬でも入ってるのかな。
私はタブレットに書かれた内容を読む。
にゃんだと。まじで。
内容を読んで思った。
もち…やる。
赤いラベルがついたのみものを飲んだ。
「これも食べていいわよ」
ドーナッツも食べる。
けっこううまい。
その辺で売っているのとは味がちがうからけものみみめいどさんのお手製かも。
でお世話をすることになるネコのスペックを見た。
でっかいねこ。
体重はとっても重いとある。
すみに書いてある。8700kgぐらいとあった。
まじなのそんなに重いの? あとそんなに重いんならでっかいよね。
体に埋まることができるんじゃない?
すーはー。すーはーもできる。
よしやろう。
☆☆☆
赤い飲料を飲み、ドーナッツを2個食べたあと、巨大な体育館ぐらいの部屋に案内される。
「これが『うめ』よろしくね」
巨大なねこを目のあたりにする。
家の実家にいるネコと同じ名前である。
しっかし。でかい。
よろしくと言わないで、かけより座っている巨大なうめのお腹に全身を埋めた。
もふもふした。
すりすりしまくって。すーはーすーはーする。
ねこのにおい。
「初対面なのに挨拶もなしに、お腹を吸うのか」
声がした。
「え?」
ねこを見る。
猫はしゃべった。
「わたしだ。わたしがしゃべってる」
「まじなの?」
「まじだ。いちおう注意事項はタブレットに書いてあったはずだけど…また読むように言ってくれ」
女の人がタブレットをぐいぐい、腰に押し付けてくる。
タブレットをもう一度読む。
でっかいねこ。
うめ。
他言無用であるのはもちろんのこと。
おおきいので危険をともないます。
人を食べることはありませんが、人間が小動物や虫を誤って踏んでしまうことがあるように、ねこに踏まれると、簡単に潰れて内臓がでます。とあった。
ねこに危害を加えようとしたら、そのときはあなたが終わりです。
前足でけっとばされてそのあと踏まれます。
とある。
お世話の内容を確認した。
一緒に会話してひまつぶしをする。
一緒にお食事をする。
巨大なねこじゃらしで遊んであげる。
ねこのぶらっしんぐをしてあげる。
禁止事項。
ねこの背後にまわりこまないこと。
ねこの就寝中に寝床にもぐりこまないこと。
とあった。
「読んだわよ。問題ないわ」
と言う。
「そう」
とだけ言うと、案内の人がかえっていった。
そっけない女の人。
正体は秘密の場所だからあまり他人と接触はしないようにしてるのかな。
☆☆☆
でっかいねこの横に座り込んで、背中をねこに預ける。
「何かいったらどうだ?」
猫が言う。
「え? ええとね。何するか考えてたとこ。ねことコミュニケーションができるとは思わなくてさ…」
と言う。
「じゃあ毛並みを整えてくれ。体がでっかいから結構大変なんだよ」
と言う。
「うん。いいよ。ブラシは?」
「あっちにある」
猫が言う。
かべぎわにでっかいものがあるのが見えた。
あれだね。
でっかいぶらしを手に持つ。
「う。なにこれ。けっこう重」
言う。
ごわごわの巨大ネコの毛をぶらっしんんぐする。
ぐへへ。
床にねそべってる巨大ネコのおみ足を見る。
巨大なおてて。肉球。
踏まれたい。
でも。
そのなんだ。
体はどうみてもゾウさんより小さく見える。
そこまで重そうにも思えない。
ねこちゃん。
投げ出された足を見る。
ぐへへ。にくきゅう。ふにふにしたい。
ぶらっしんぐはかなり大変であった。
体が大きいからである。
範囲が広い。
ごわごわしててあったかい。
あたしの体中にねこの毛がくっついた。
☆☆☆
休憩になった。
というかごはん休憩。
というが、うめのごはん休憩である。
台車で運ぶように放送がかかる。
どこに行くかわからないのでうめに聞いた。
廊下を出て、左にまがり、いちばん奥の部屋まで行くとあった。
聞いたところまで行くと、ごはんが置いてあった。
量はものすごい。絶対この量。あたしの何日分というか何週間かの食べ物。
ここに置いてある食べ物の総重量もあたしよりあるよね。
うめにごはんを台車で運ぶ。
何回かに分けて運ばないといけない。
本当に全部食べるのかな?
大きな台車を押していく。
食べようと思ったら私なんか食べられてしまうよね。
☆☆☆
ごはんを見てうめが動いた。
うめの肉球を見る。
動いて床をふみっとする。
ぎゅう。
重そう。
あんなおみあしで、あたしの大事なところを踏んでほしいと思った。
☆☆☆
今日は帰る必要もないので泊まることにした。
うめの真横であおむけに寝っ転がった。
近くに埋めが前足を踏み下ろす。
「ねえ。あたしのあそこ。大事なところなんだけど、その前足でふみふみしてくれる?」
とうとう言っちゃった。
変な子だと思うのかな。
「ん? 自殺願望なのか? ふんでやるぞ。ぎゅとすればいいのか? 数トンの重みがかかるけどな。すぐに潰れるから…痛くないぞ」
とうめは言い、前足をあげた。
真上に見える。
すこしずつおりてくる前足。
「え? 潰しちゃだめよ。ふみふみだからね。あたしは肉球に踏まれたら興奮するの」
と言う。
「え? なあんだ。そう言え。そのまま潰すところだったぞ」
と言い前足を私の股間の真上に置く。
ぎゅむう。
それなりの重さがかかる。
絶対あたしの全部の重さよりはるかに重たい。
でも…
肉球が私の体をおしこむ。重い。重いけどふにふに。
「きもちいい。もっとふんで」
言う。
「きもちいいのか?」
「ぎゅっぎゅっとふんで。潰さないようにだけど」
「わかった。変態だな」
言われる。
そのあと前足をあげ、そのまま踏み下ろす。
ぎゅむう。
あたしの股間。
大事なところ。
ぎゅむうと肉球に踏み潰される。
ぎゅむう。
ぎゅむう。
「あん」
感じて言う。
「ん? 感じてるのか?」
言われる。
「う。うん。にくきゅうに踏まれると感じるの。家の実家にいるリアルねこも『うめ』という名前なんだけど、お腹に顔を埋めたり、あたしの体を踏んでもらってるの」
と言う。
「そうか。踏んでやる。もっと重さをかけてもいいのかがわからないがいいか?」
「うん。もうちょっとだけなら潰れないしいいよ」
と言う。
「じゃあふむ」
巨大な肉球の前足。
ぎゅむうと踏む。
そのまま重さがかかり、あたしの大事なところがねこに踏み潰される。
あ。
ああん。
踏みが気持ちいい。
だけど…
ぎゅむうう。
ぎゅむう。
ぎゅ。
重すぎになってきた。
「ちょ。ちょっとまって。重い…重いから。潰れる」
「ん? そうか。ごめん。ちょっとだけ増したんだが…」
軽くする。そしてふむ。
ぎゅむ。
ぎゅむ。
ちょっと前足がすれた。
横に動いた。
ぎゅむ。
「あん。ああん」
「ん? そんなに気持ちいいのか?」
「うん。きもちいい」
巨大なねこの肉球にあそこを踏まれ感じる私。
☆☆☆
今日は満足した。
「このまま添い寝したいぐらいなんだけど…重いからぺちゃんこになるよね?」
「当然だ。薄くなって座布団よりうすくなる。実験でマネキンの上に座ったことがある」
「ど。どうなったの?」
「固さも人間と同じで骨もあるマネキンだが、全部の骨が折れてばきばきになったみたいだ。それに薄くなった。本当に座布団ぐらいになった」
「まじなの」
「だから寝てるときに夜這いとか、添い寝しようとしたら朝には座布団になってるぞ」
「う。うん。ねえ。本当に体重8000kgぐらいあるの? そんなに重そうには見えないけどせいぜい2トンぐらい?」
「重いぞ」
うめは動き、私のまえに前足を踏み下ろしぎゅーと床を踏んだ。
うめの肉球が潰れるのが見えた。
また明日ふんでもらおう。
「おやすみー」
と言う。
うめに聞いたところ、廊下から階段を上り、上のほうに休憩室があるらしい。
そこにベッドがあり、近くにトイレもある。
また上のほうに窓があり、うめを見ることができる。
☆☆☆
ベッドがあった。
柄はねこの柄のお布団がある。
また巨大なねこの抱き枕があった。
前任の人のものかな?
どうしたんだろ。
ベッドに入った。