日本列島出現
日本国と大日本帝國 混じり会う2つの日本を読んだことがある読者へ
約3年間長い間お待たせして申し訳ございませんでした
前作では作者の一方的な都合でエタり、そのまま忘却してしまいましたが今作では無茶な伏線等は行わず完結出来るように努めますのでどうか今作でも宜しくお願いします
2022年1月28日未明
三大洋のうちの一つに数えられる太平洋。
その中心地にて大規模な衝撃波が観測された。
00:08
日本国 東京都 千代田区 総理公邸 寝室
ここには一人の男が静かに眠っていた。
彼は日本の首相 穐原光示である。
突如ベッド横にあるキャビネットの電話が鳴った。
こんな夜中になんだと眠たい目を擦りながら受話器を取った。
『夜中に突然すみません』
「謝罪はいいから一体何が有ったのだ?」
就寝中に起こされたためかやや苛立ちながら返答する。
『はい。実は太平洋中心地で原因不明の衝撃波が確認されました』
衝撃波と聞いた瞬間、穐原総理は一気に目覚めた。
「何!? それで被害は?」
『はい。ただいま集計中なのですが、これといった被害は確認されていません』
「本当か? 衝撃波の影響で津波とかはないのか?」
『はい。津波は確認されていません』
ならば津波の被害は心配ないか。
彼は心のなかで呟いた。
「それで今回の衝撃波だが国内で被害報告はあるか?」
『いえ。これといった被害報告は届いておりません。洋上を航行中の船舶からも津波等を視認していないとのことです』
「わかった。引き続き詳細を調べてくれ。それと朝に詳細のレポートを送ってくれ」
『わかりました』
「あとはそちらの判断で異常がなければ警報等も解除してくれ」
『了解しました』
電話が終了し受話器を戻した。
「さて。寝るか」
穐原首相は再びベットに入り眠りに着いた。
しかしこの衝撃波が有史以来前例のない現象によるものである事はまだ誰も知らない。
同日07:35
首相官邸
穐原は報告書を見て頭痛をおこしていた。
朝起きて妻と子どもの家族三人で朝食を取り、官邸に向かって執務室に入るまではで良かった。
しかし執務室に入ると同時に秘書から渡された未明に起きた地震のレポートが渡され読み終わったとき、彼はレポートを机に放り投げた。
そのレポートの内容は、
[本日未明に発生した地震の震源地に日本列島を確認]だった。
「なんだ?朝一番の知らせがこれか? こんなもんはエイプリルフールで充分だぞ」
穐原総理はふざけないでくれと言いたげな表情をする。
「しかし気象庁はエイプリルフールでもこんな事はしません。現に添付資料にも衛星写真が有ります。これは現実です」
穐原はそうかと空返事をし今後の対策を考えた。
「よし。すぐに閣僚を集めろ。それともうひとつの日本列島だが今は国民に伏せとけ。各国と調整をして行く」
「了解しました」
「それから」
穐原が秘書に指示を下してる時。
ピピピと机に設置されてる電話が鳴った。
「もしもし」
穐原が受話器を受け取り返答をすると、
『HEY。グッドモーニングMr.アキハラ』
受話器の向こうから英語が聞こえてきた。
これに対して穐原も電話の相手が誰であるか理解し、英語で返答した。
「おお、ジョニー大統領。グットモーニング」
電話の相手はアメリカ合衆国大統領のジョニー大統領であった
「大統領。御用件はなんですか? 私は公務の途中でして、可能でしたら手短にお願いしたいのですが」
『おお、それは済まなかったな。実は太平洋に現れたもう1つの日本列島についてでな』
何故このタイミングでこの話題が来るのだ。
このとき穐原は米大統領からあらぬ嫌疑をかけられてるのではと内心焦った。
「この日本列島について我が国は何も知りませんよ」
『イヤイヤ。別に君達を疑ったりはしてないよ。それにたった一晩でもう一つの日本列島は作れないからな』
「それを聞いて安心しましたよ」
穐原は安堵した。
『ハハハ。まあ冗談は置いといて実は君に聞いてほしい話が有ってね』
「例の列島はついてですか?」
『ああ。これは我軍の人工衛星からの情報なのだがな。あの日本列島だが実は横須賀や東京とおぼしき場所の上空写真を見たんだが我々の知っている町並みとは大分違うのだよ。更に横須賀らしきところには空母らしきものが3隻確認されたのだよ。しかも飛行甲板にはデカデカと日の丸が描かれてな』
ジョニー大統領の報告に穐原は、
「空母!? 日の丸!?」
穐原総理は驚き、椅子から滑り落ちそうになった。
そんな穐原をよそにジョニーは喋り続ける。
『そうだ。しかも大きさは我が国のミニッツ級と同等の大きさでな。それでこれはまだ仮説なのだがこの列島はもしかしたら別の世界から来たのでは?と思うのだがどう思う?』
米大統領が言った“別世界から来た”と言うが穐原はそんな馬鹿なと思い、
「別世界ということはパラレルワールドのことですよね?いやいや、そんなことが有るわけ無いじゃないですか。」
穐原総理はそんなわけないじゃないですかと否定をしたが、
『それでは列島が出現した説明はどうするのだ?』
「えっと・・・それは」
ジョニー大統領からの問いに答えれない穐原総理。
『わからないだろ?とにかく一晩で太平洋のど真ん中に新たな日本列島が現れる異常事態が発生しているのだ。あと秘密裏に在日米軍にはデフコンレベル4にした。本土やハワイはデフコンレベル3だ。貴国も万が一に備えて準備をしたまえ』
「わかりました」
そして穐原は苦虫を噛み潰したような顔で電話を切った。
「(はぁ・・・。レベル3って準戦時体制じゃないか!しかも準備をしたまえ?簡単に言わないでくれ)」
短時間での穐原のやつれ具合に秘書は、
「もしあれでしたら午前の予定をキャンセルしますか?」
「ああ、頼む」
「わかりました」
秘書が執務室から退室した後、穐原は椅子にもたれ、
「(空母を保有する日本か。しかも街並みも違ってたと言ったな。大日本帝国のような軍国主義の国でなければ良いが)」
穐原は軍事大国でないことを願った。
そしてその願いは叶わなかったと後日知るのである。
13:21 峯岡山分屯基地
ここは航空自衛隊の中部航空警戒管制団があり関東エリアの、空を日夜監視している基地である。
「太平洋方面よりレーダーに反応あり 機数1」
「直ちにスクランブル要請だ」
「了解」
百里基地
「了解。直ちにスクランブル発進します」
パイロット達が待機してる部屋にサイレンが響き渡る。
サイレンが鳴るやいなやパイロットや整備員達は2機のF2が格納されてるハンガーに向かって走り出した。
そして5分後、スクランブル発信するF2が滑走路までやってきた。
「こちら管制塔。ジャガー隊。発進を許可する」
『了解』
そして2機のF2はすぐさま離陸し未確認機のところに向かった。
14:02
太平洋 ADIZ境界線空域
『ジャガー隊へ。こちら中部GCI。未確認機は貴隊からENEへ約20マイル。高度9000ft速度は432ノット』
「ジャガー1。了解、2へ援護を頼む」
「ジャガー2了解」
14:13
2機のF2はGCIの誘導に従い次第に不明機へと近づいていき目視距離まで接近し、パイロットは不明機を発見した。
「ジャガー1から中部GCI」
『どうした?』
「不明機の機数は3。内訳は哨戒機1、戦闘機2」
『ジャガー1。その報告は確かか?こちらのレーダーでは機数は1となってる』
「中部GCIへ。間違いなし。ジャガー2と共に目視で視認」
『了解。直ちに増援を送る。不明機の所属を至急確認せよ。また不明機の特徴も送れ』
「ジャガー1了解」
ジャガー隊は不明機編隊に近づき、胴体に描かれてる国籍マークを調べる。
「!!」
だがそこには信じられない国籍マークが描かれていた。
不明機の胴体に日の丸が描かれていたのだ。
「ジャガー2!今の識別マーク見えたか?」
『ああ。日の丸だったな』
「中部GCI不明機3機とも国籍マークは日の丸!繰り返す国籍マークは日の丸!」
ジャガー1は目の前の光景に衝撃を受けつつもそのままのことを報告した。
『ジャガー1。本日その空域で自衛隊や米軍の訓練は行われてない。見間違いではないか?』
「いや、あれは間違いなく日の丸だ!赤星でもない!ジャガー2も見た!」
『了解した。ジャガー隊は直ちに不明機の所属を確認せよ』
「了解。ジャガー2は俺の後方を飛べ!何か有ったらすぐ援護を頼む」
『ジャガー2了解』
ジャガー1は不明機の編隊へと近づいて行き警告を発した。
「こちらは日本国航空自衛隊だ。貴機は日本国の防空識別圏に接近している。直ちに所属を明らかにし、飛行目的を明らかにせよ」
『・・・・・・』
「中部GCI。一度目の警告を行った。目標の変化なし」
『ジャガー1。引き続き警告を実施せよ。識別圏まで15マイル。』
「こちら日本国航空自衛隊だ。貴機は日本国の防空識別圏に接近している 直ちに所属を明らかにし、飛行目的を明らかにせよ」
『・・・・・・』
「中部GCI、再度警告を行うも不明機に変化な『ジャガー1!回避しろ』!!」
突如ジャガー2からの警告が入り、ジャガー1は咄嗟に回避行動を取った。
刹那、不明機の護衛機が猛スピードでジャガー隊の進路を横切った。
「こちらジャガー1!不明機の戦闘機が動き出した!」
『ジャガー隊、増援が来るまで回避に徹しろ』
ジャガー1はすぐに不明機の後方に着こうとするが不明機はそのまま反転していった。
「中部GCI。不明機は針路を反転し引返している」
『了解した。ジャガー隊は引き続き当空域にて待機し増援と合流し帰投せよ』
ジャガー1は了解と返事をし、不明機が去っていった方向を見ていた。