疲労、そして脅威
あぁ眠い…とても眠い…なのにさっきからずっと耳元で怒鳴られているような気がする_
「起きろぉぉぉぉゼル•タチバナぁぁぁぁぁぁ!」
「おっふ!?あ、あぁ脅かすなよ!」
「勝手に気絶したお前が悪いんだろ!このピクピク野郎!」
ピ、ピクピク野郎…だと…?たしかに本日2回目の気絶だがそんなこと言われてもねー。
周りを見渡すとどうやら今俺たちがいるのはどっかの島らしい。
「うるせえよ!全くもって意味わからない状況に置かれたら気絶くらいするっつーの!なんなんだよさっきのあのでかい奴…あれが神機なんだろ?なんで機械なのに空間が歪んでいきなり現れるんだよ意味わかんねーよ!」
そう、俺は今めちゃんこ脳内カオスフィーバー状態なのだ。
だってね?教科書ではね?新型兵器とかって言われてたけどどう見てもあの俺を襲って来た人機のような無機質的な雰囲気はないしなんか牙生えてるしそいつ今どこにも見えないしでもういろいろだった。
「それについては後で話す。だからさまずお前はこの人と話さないといけないんだよゼル•タチバナ。」
「あ、はい。でもね?あの全読みやめて?ゼルでいいよ?なんか気持ち悪いよ?」
「上官命令しか従わない。」
うわーなんかイキってるぞこいつ。俺と絶対歳同じはずなのに。
でも俺に差し出された携帯には普通に興味を持った。
ー不明ーと表示されている画面。これ誰か知ってんのかよとか思ったがそういうことは後回しにした。
「出ていいの…?」
「だから出したんだろ。」
はぁ?と言った感じで俺を見る青年…あ、名前なんだっけ?
「あの!お名前はなんでs_」
「ハルキ•ディテア。それ以上でもそれ以下でもないから。」
ん?ん?なんだこいつは本当にイキってるのか聞きたくなってしまうじゃないか!
あーはいはい電話出ますよ電話。俺のジョークを無視しやがって。
「はい。こちらーゼル•タチバナですが?」
画面から少し渋い感じの声が漏れる。
『はじめましてゼルくん。私はセント・キサナギだ。まぁもろもろの内容は省くが簡単に要約するとイカすお兄さんだ。』
こっこいつ…イカしたおにいさんだと!?くっ、俺と同じような奴がいたなんて…だが俺にもナイスガイ代表と言う宿命があるんだ。こんなところで逃げるわけにはいかぬまい。
「あ、はじめまして。ナイスガイなゼルです。それで何かご用件が?」
まぁ声的にも年上っぽいしちゃんと敬語使うけどね。こういうところが俺がナイスガイである所以なのさ。
『笑いって奴がわかっているじゃないか。率直に言おう。まだ捕まりたくないだろ?』
はははと言う笑い声とともに俺にまるで近くで囁かれたような質問。いやナイスガイは事実だよ?笑いじゃないよ!?
まぁでもなんかいきなり国家反逆罪問われたし、人機を投入してまで捕まえようとして来たし…
「当たり前ですよ。僕の人生設計が18歳も立たずに頓挫してしまうなんてことはあってはならないんです。生きたいです。それとあなたもおそらくですが神機の操縦者の方なんですよね?」
そう、ハルキ?だっけか。あいつが神機を使っていてそんな奴が上官って言うんだ。たとえ違っても神機のことについては絶対知っているはずなのだ。そして俺の予想はビンゴする。
『まーね。そうかそうか生きたいか…だったらさうちの組織くる?』
組織…今めっちゃ嫌な予感したんだけど。しかも神機って東京事変やワシントン崩壊の主犯では?これどっち行っても詰みなやつじゃ?
「いやいやでもなんか教科書とか見るとあなた方ちょっと危ない感じがするんですが…しかも組織って…」
『あぁ安心してくれ。あれは私たちじゃないよ』
私たちじゃないだと?どういうことだ?
やばいますますわからなくなったぞ…
「へ?ちょっと待ってください。なんか全然わからなくな_」
『君は神機はなんだと思う?』
まさかのシ⭐︎カ⭐︎ト
「え?日本の新兵器なんじゃ?教科書でそう習いましたが?」
『あれはね、他の世界から来た生物さ。』
他の世界から来た生物…?だけどそれなら_
「ならなんで人間が操っているんですか?」
『ん?もしかしてハルキ戦ったのかい?』
「いや普通あの状況なら戦うと思いますが?」
はははとまた笑うセント。絶対わかってるはずだろとか思いつつも名前ハルキであってたんだ、と安心した。
『んーそれに関してはねーこっちに来たら話すよ。長いしね。だからどうする?入る?うちの組織』
「わかりました。入りますよ。」
異世界の生物とかいきなりSFの世界の話言われてもなぁ。でも俺は何故か納得してしまう。だってまぁたしかに装甲つけてたりなんかロボット感があったりはしたもののあの時俺が感じたのは“生物”だった。だからこそ俺は腹を括った。この件に関して俺は絶対に知らなければいけないと思う。それになんとなくであるが悪い人ではなさそう。
『りょーかい。んじゃ後で部下に迎えに来させるけどその前に一つ伝えないといけないことがある。』
「はい?」
『君はね、神機を操縦していた血族なんだよ。だから狙われているわけ。』
Oh no…いきなりドッキリされたわけだがそういうことか…なんだなんだ。あれ?でもたしか神機操縦者一族は国家反逆罪になるのはわかるけどたしか日本大帝国における国家反逆罪って銃殺刑じゃなかったか??でもあの時タナカ…中尉?あいつは_
ーゼル•タチバナ、お前を逮捕するー
そう、「逮捕する」と言ったのだ。銃殺刑ではなく。相手は俺を神機の操縦者の血族って知ってたから来たはずだ。なのに銃殺刑にせず拘束とは…
「なぜ俺を殺さないんですか?神機操縦者血族の場合は即刻銃殺刑に処せられるはずですけど?」
『あぁそれも来てからのお楽しみさ。んで、君はね?操縦者の血族なわけ。だからやろうと思えば神機を操れる。』
「他の人は?操れるんじゃ?僕言っときますけどSF小説とか異世界系の小説読みますけどロボットはちょっとないんですよ。自信が全然なくt_」
『君しか操れない。これは“契約”なんだよ。』
契約…もうこれは俺にはどうしようもできない案件っぽいな。だけど不思議と俺が操れることのできる神機にあってみたいと思った。そしてあわよくば操縦してみたい_あれ?生物だから操るんじゃないのか?え?どっち?
『さては頭の中許容限界してるな?』
「うぅ…」
仕方ないだろ!例えばいきなりいつも仲良くしているおじさんとに俺は思えばお前の父だ的なこと言われたら無理があるだろ…
『ははは。んじゃ手短に伝える。もし自分の命や仲間の命が危機になったら君の神機の名前を呼べ。必ず彼女は助けてくれるよ。』
「あの俺知らないんすけど自分の神機の名前。それになんで呼んだら助けてくれるんすかどこぞのあんぱん人間じゃないんですよ。」
『まぁなんで助けてくれるかは呼べばわかるさ。だからまずはハルキと一緒にこっちに来い。それでお前の神機も名は_』
………
……
…
あの電話があってたから1時間経過した。今は2人で石を囲んでいる形で座っているけど全然楽になれねぇ。だって何も喋らないんだもん。やっぱしゃべった方がいいよなぁ。うん!しゃべるか!
「なぁハルキ。まだ出発しないの?君の神機なら一瞬なんじゃ?だってなんかすごい飛んでたでしょ。」
これに対して気だるそうなハルキ。
「ゼル•タチバナ。お前が思っているよりも神機は便利じゃない。活動限界がちゃんとあるしあれに関してはもう今日は使えない。」
「その全部読みやめて?なんか背中がゾワゾワするから_えっ?もう使えない?」
「あぁ。いろいろとあってな。だから今日は野宿して明日出る。」
「はぁぁぁぁぁ!?なにそれ!?いやなんだが?俺の神機で行く?行こうか?」
ー落ち着きのないピクピク野郎だなーと眼が物語っている。だから俺はピクピクやろうじゃねぇ!
「お前のは無理だ。」
「無理ぃ?え?じゃあ野宿っすか?」
「あぁそうだがなに_」
突然俺を見つめ出すハルキ。
「なになに?どうした?やっと俺がナイスガイって認めたか?」
「違う。来やがった…さっきの奴らだ…あそこみてみろ」
なんだ俺の後ろを見てたのか。これ恥ずかしい奴だ。よくあるよね授業とかでイキって問題答えたら間違ってる奴。あの時って俺みんなに笑われてないかなってずっとビクビクするんだよな。俺も昔pHの授業で友達が黒板で答え書けって言われて分からなくて戸惑っていて俺がそれを優しくフォローしこうすれば答えだよってイケボォで囁いたけどまさかの違っていてあらまぁりんごのように頬が染まってしまったじゃない!的なのあったわ…恥ずかしい…ま、余談はいい。促されるままにそこを見る俺。
「さっきの奴らってもしかしてホテル破壊した人?どれどれーん?なんだあれは…」
四足歩行のような感じで待機していて目はあの時俺を捕獲しようとした奴が操縦していた人機と同じように眼が一つでギザギザしているロボットとその隣にはあの時と同じ人機だった。
「あの四足歩行みたいな奴…人機か?」
「へぇよく気づいたな。そうだ。あれは大日本帝国の量産機、雷牙に新たな機能を付け足した“新機”の一つ、砲牙だ。」
「新機?雷牙?なにそれ。」
ハルキ曰く大日本帝国において量産されている人機のうち一番量産されているのが雷牙らしい。ちなみにあのタナカ中尉が操縦していたのも雷牙だとのこと。そしてその雷牙に新しい機能を付け足した四つの量産人機、“新機”の一角があの砲牙のようだ。“新機”はさまざまな状況に応じて使われる人機らしく、それ以外では基本的には雷牙を使うようね。
へーうんこれまた詰みなやつか?
「あの2体だけならまだなんとかなるが…」
「俺らの正面側にも2体いるな。えっとー雷牙?だっけか。」
「くっ…いいかゼル•タチバナ。敵はお前を狙っている。お前はどこかの草むらに隠れておけ。差し違いてでも殺す奴らを。」
「いやいや大丈夫なの!?俺しんぱ_」
「いいから隠れろ!早く!」
「わ、わかったよ…だけど頼むから死に行くようなことはやめてくれよ。」
「上官命令だ。お前の要望には応じれない。ま、生きてたら俺が組織まで遅れるが無理だった場合はさっきの人に電話しろ。」
そして俺に携帯を差し出しすハルキ。
「それじゃ。」
彼は手を振り俺の後ろを通りすぎてゆく。
「仲間を助けたいときねぇ…。」
たとえお前が俺のことを仲間と思っていなくても俺にとっては命の恩人でもう仲間なのだ。
「その時はこのナイスガイな俺が助ける。」
pH事件については僕の経験したことをそのまま書きました。あぁゼルよすまない私の犠牲のなってくれ。よければ高評価お願いします。(作者のモチベのため)