森のなかで熊さんと出会っちまったよー!!
タケオは森のなかにいた。
気がつくと気配を感じる。
熊だ!
振り返ると熊が立っていたのだ。
大きな熊だ。タケオは悟った。逃げられない。闘うしかなかった。
タケオはコブシを振るった。
熊の鼻っ面にヒットした。熊がひるんだ。
あ!当たる!
タケオはどんどん振るった。面白いようにタケオのコブシが熊に当たる。
鍛えた甲斐があったというべきか。タケオは空手の練習をしていた。
イジメから逃れるためだ。しかし生まれつきの気の弱さが災いして手を出すことができなかった。
相手の顔を見ると手が出せなくなる。相手が人間だから殴れなくなるのだ。
しかし今の相手は熊だ。熊だから、人間ではないのだ。
オレはこんなに強かったんだ!
タケオの中に自信が芽生えた。自分の倍以上の体躯を持つ熊を殴る!殴る!殴る!
熊は後退するばかりだ。
熊はふらついているようだ。
タケオは背を向けて走ろうとした。全力疾走すれば逃げられる。生き延びることができる。
しかしタケオの中に芽生えたのは自信と、そして欲求だった。
タケオは熊の顎に狙いを定めた。
ノックアウトしてやる!
熊の顎を撃ち抜くべく力を貯めて、欲望と共に撃ちおろす、しかしそれより一瞬早く熊のパンチが
タケオのこめかみを捉えた。タケオは吹き飛ばされるとそのまま気を失った。
熊はゆっくりとタケオに近づくと頭からバリバリと食べてしまった。