第8話
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前回のあらすじ:ダンジョン最奥で助けたエルフといい雰囲気になった!
俺達は宝箱の中身を回収した。そこには俺達がすんごい欲しかった素材であるミスリルインゴットが入っていた。俺達はこれを半分こして次の行動指針を検討する。
「あの蛙が入っていった穴を調べる、べきよね?」
少し言葉がつかえたのはその行動に多少なりとも疑念が残るからだ。
「俺も、そう思うけど。どうしたものか」
なんというか、ダンジョンに居ながらすさまじく緊張感が無くなってしまったのだ。まぁカエル出現前に俺達がしていたことは棚上げしとくが。
「一応、調べましょう」
そういって蛙が帰っていった穴を調べる。穴の中はそれなりに大きそうだが、穴自体は蛙が通るので精一杯のサイズ、つまり俺達ではどう頑張っても通れないのだ。
「ふむ、壁自体を壊してみようか」
俺はサラを少し下がらせ、大岩すらも真っ二つにする俺の右腕の一撃を壁に叩き込む。するとガラガラと崩れ落ちた壁の奥には人が一人通れそうな狭い通路が現れた。
「行ってみよう」
ゆっくり中を確認しながら俺達はその通路を進んで行くと少し広い部屋が見えた。中をそっと窺うと、そこにはさっきのヤレヤレ蛙と、もう一匹別の蛙がいた。
別の蛙は顔の上あたりがぷっくり膨れていてちょっとリーゼントっぽく見える。ヤレヤレ蛙とリーゼント蛙と勝手に名付ける。
ちょっとそんな想像に顔がニヤニヤしていたかもしれんが、気を取り直して様子を窺う。なんか声がするので聞き耳を立てる。
「せっかく分かりやすくお宝はここだぜって箱に入れておいたのに、遠くから棒で開けるとか最初からおかしなヤツラだったんだ。しかもさー、なんかアベックみたいでさー」
「ダンジョン舐めてんのか?やっちまうか?」
「それがさ、その後なんか揉め始めたんだよ。こっちはいつだって襲い掛かれる準備して待ってるんだぜ?」
「喧嘩なら後ですりゃいいのに舐めてんのか?やっちまうか?」
「だろ?で何を揉めてるのかなーって待ってたら静かになったんよ。んで箱から出てその見てみると…」
「おう、どうなんでぃ?出てみると?早く言えよ。やっちまうか?」
「なんと抱き合ってやがるんだ」
「かーっちきしょう!完全にダンジョン舐めてるな。やっちまうか」
「もうヤレヤレだったぜ。もうお熱いのはお腹いっぱいです。どっか他所でやれよ感じ」
「おう、それで?その後どうなったんでぃ?やっちまうか?」
「やっちまわねーよ!なんだよさっきから。それで終わりだよ。見てられねーから帰ってきちまった」
「なんだー、終わりかー」
「甘いのも熱いのもごちそうさまだよ、まったく!」
どうやら俺達を襲おうとはしていたようだが、会話を聞いたら何とも白けてしまった。すぐ後ろにいたサラはどこまで会話が聞こえたのか分からないが、俺が戻ろうと体制を変え指で合図するとサラも理解してくれ俺達は部屋まで戻った。ちなみにサラにも蛙達の会話はある程度聞こえていたようで、俺同様白けてしまったらしい。
ミスリルインゴットを手に入れた部屋まで戻った。
「一通りこの階もマッピングできたし、アイアンゴーレムの素材も結構手に入ったし、何よりミスリルインゴットが手に入ったのは大きい。そろそろ戻ろうかと思うけどいいかな?」
「そうね。内部探索はついでだったけどこれだけの研究素材が集まったから戻るのに賛成よ」
アイアンゴーレムは適度に歯ごたえはあったものの、俺達は無事に階段のあるフロアまで戻ってくることが出来た。
ふと、階段の裏になっている部分が気になって調べてみると、そこから隠し通路になっていた。
「こんなところに隠し通路が……これは来た時に気付きにくい構造ですね。逆に戻る時なら気付くチャンスはあるのね」
「行かない選択肢は無いな。蛙のせいで気が抜け気味だったが用心していこう」
「ええ」
せっかく気合を入れなおしたものの、階段フロアは安地だから敵は一匹も出てくることがなかった。あまり大きくない隠し通路はかなり長く、警戒しながら進んだものの結局最後突き当りにある部屋まで何もなかった。
そして突き当りにある部屋に入る。
「これは……階段よね?」
「だな。行ってみよう」
突き当りの部屋は階段があるだけだった。そして俺達は階段を上りそして出て来たのはまたしても通路。
そこを進むと――
謎が謎を呼ぶミステリーダンジョン。
って作風じゃないので気楽に引き続きお楽しみください。
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