第71話
・・・まだ?
上級魔法ってこんなに発動まで時間かかるのか。
こんなに時間がかかるなら戦闘中に魔法と近接の両立は無理だ。
まったく、魔法職って大変だな。
なんて考えているうちにやっと魔法発動条件が整ったらしい。
「いくわよ?」
体中に纏った魔力も視線すらそのままに、最後の確認をしてくる。
「ぶちかませ!」
「極大爆炎弾」
サラが放った魔法、それは手のひらから拳大の炎の塊だった。
それがこのすり鉢状になっている地下空間の最下層まで到達するのに数秒とかからなかった。
そして着弾した。
震度7以上の大地震でも起きたような、大地が震える轟音と共に地下空間には凄まじい熱気が溢れかなり距離が離れたこの横穴にいてもちょっとシャレにならないレベルだ。
「とてもじゃないけど~飛び出せないわ~」
「ああ、無理だな」
「ていうか、こんなのロックイーター全滅だろJK」
久しぶりにネラーヤマトが出て来た。それほど驚きだったのだろう。
もちろん俺も驚いたさ。
最初に見えた魔法がは拳大くらいのものだったからショボって思ったんだ。
そして油断した。油断していたところにこれだもの。
ってか、こんな地下空間にこんな大量の炎が一気に起こったら酸素不足になる。炎は酸素を求めて上昇、横穴にまで入って来た。
「水壁」
俺達の前に水でできた防御膜が出来上がった。
グッジョブだヤマト!
俺達がいる横穴は水の防御膜で蓋をした形になり、何とかやり過ごすことが出来そうだ。
「しっかし凄い威力だなサラ」
余裕が出来たのでやっとちゃんとサラへ声を掛けたのだが、サラはフラリとして倒れそうになっていた。
慌てて抱きとめる。
「大丈夫か!?」
「へへ、ちょっと頑張っちゃった」
魔力を使いすぎたのだろう。少し休憩しなきゃな。
とりあえずだが収納庫からMP回復ポーションを取り出すとサラに飲ませてやる。
「よくやったよサラ。これ飲んで少し休んでな」
「うん、ありがとうゲンスイさん」
こんなになるまで魔力を絞り出したのか。
俺には何もできないけど今はサラを抱きしめてあげた。
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