第68話
「ここが鉱山坑道入り口みたいね」
心なしか既に強化靴に魔力が留まっているような気がしないでもないサラの到着宣言。
そんなに退屈してたのか。
「ああ、行こうぜ!」
坑道は高さも幅も2メートルくらいあるのでそのまま歩いて入ることができた。ただ、サラは如意棒を思いっきり振り回せないかもしれない。
「如意棒が振り回せなくても、私にはこれがあるもの」
そういって片足を上げて強化靴を強調してくるが、サラさん。そのポーズはもうパンチラリズムがけしからん感じにもうたまらん!!
……っておい、ミニスカートその防御力はなんなんだ!
だが俺を甘く見てもらっては困るな。パンチラがなくてもサラの美脚と絶対領域だけで十分ごちそうさまですなんですよ!
「ゲンスイ君はそのくらいにしとこね~」
「ッ! ……なんのことかな」
サラは俺の気持ちなど気付かず蹴る相手を探してもう前進しているがシェリーさんが何やら察したらしい。
だが俺の演技力により誤魔化すことができた。
そんな話をしながらもどんどん奥へ進むが、ロックイーターはおろか魔物一匹も出てこない。
「どうなってんだ?」
その時、俺の第六感が警告を告げる
「何か来る!」
その感覚に従い、すぐ近くにいたヤマトを掴んで後方へ投げる。尻餅をついているが今は無視。
直後壁から大口を開けたロックイーターが飛び込んできた!
大口を回避した俺はすれ違いざまにロックイーターの側部に強化腕で殴りつける。
が。
「でけぇぇ!」
殴った感触は岩。
普通の岩なら砕くことが出来る俺の一撃でもヒビすら入らない強靭なものだった。
それもそのはず、通常のロックイーターとは比べ物にならないデカさ。どのくらいデカイかというと、長さは分からんが正面のサイズだけで坑道と同じサイズだ。
「一旦退避しましょ~」
通常、というか俺が知っているロックイーターはせいぜい50センチ程度のはずだ。それがこの桁外れにバカデカいのは想定外。
一時撤退も止む無しか。
何より突然右壁から大口を開けて突撃してきた初撃を回避したが、その勢いのまま左壁へと潜っていった。
するとどうなるかというと、一本道だったはずの坑道が突如4つ角の交差点になった訳だ。
「このくらい、まだ行けるわっ!」
見るとサラは初撃回避しきれずダメージを受けてしまったようだ
第六感的な感覚は俺とシェリーさんには種族柄あるみたいだけどサラには無く初動が微妙に遅れたらしい。
最も、本人曰く森の中ならばそういう感覚が働くらしいのだが、今は森とはかけ離れた環境過ぎる。
「サラ! 一旦引くぞ」
想定外の事態で冷静な状況判断、さすがリーダーの俺だ。
悔しそうにしながらも撤退のため動き出したサラにヤマトが近づきポーションを渡していた。
そして走り出してすぐの事だった。
今度は天井から大口が落ちて来た。
そしてそのまま地面へと潜っていくロックイーター。
「くそっ、退路に穴がっ!」
もちろん俺達(ヤマト以外)ならこのくらい飛び越えれるが……
「ヤマト君を抱えて飛びましょう~」
ヤマトを片手で掴むと皆で一斉に穴を飛び越えた……
瞬間だった!
着地点から現れる大口。
「このぉーーーー!」
如意棒を伸ばしてして大口に突きを放つと、その反動で勢いが落ちるサラを咄嗟に手で捕まえた。同じようにシェリーさんも器用に尻尾でサラを捕まえて何とか飛び越えようとしたが勢いが足りず……
「うーーーぁーーわぁーーーーー」
俺達はロックイーターの開けた穴に落ちてしまったのだった。
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