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第6話

毎日更新継続中!



前回のあらすじ:ストーンゴーレムの海に飛び込んできたエルフを助けたような気がする


「それで、どうして一人でこんな所に?」


「それは……うん。そうよね。あ、すみません。えとですね、私こう見えてもエルフなんです」


「…………」


 うん、知ってる。てか、こう見えてもってエルフ以外には見えません。


「お、おう」

 俺は惚れた女がエルフだってなんの問題もないぜ?


「あっいえ、そうなんだけど、そうじゃなくて。それで、その、えーっと。いろんな研究をしてて……ここでアイアンゴーレムを見たっていう情報を聞いてね。その素材が欲しくてここまで来たの」


 どこか歯切れの悪い始まりだったが、そこからは普通に話してくれた。照れていたんだろう。


「ちなみにどんな研究をしていたか聞いてもいい?」


「うーん、細かいところまでは言えない。でも魔獣の素材を研究しているの」


 俺の愛の観察眼を使って彼女をよく見ていたので薄々予感がしていた。そして今の言葉でほぼ確信した。


「鉱物系の魔獣の成分を分解抽出して魔力筋として再構築、運用する研究――」


 俺の言葉にサラは驚いた顔でフリーズしてしまった。またその顔も可愛い。そのまま見ていても話が進まないのでほぼ確信した。

 話進まなくてもいいかなという思いも溢れて来たが、グッとこらえて答え合わせをしよう。


「そんな研究を俺は行っている。まぁ基礎理論の概要だけどね。そして俺のこれ、ライトアーム1号って名前なんだけどその研究成果なんだ。もしかして、君のそのブーツも同じようなものかな?」


 そう、俺のライトウェポン1号は魔力筋を使って外部から俺の筋肉に上乗せすることにより相乗効果を生み出し非常に強い力を生み出す世紀の大発明なのだ。

 それは誰にも公開していない研究だったのにまさか同じような研究をしていたのが彼女とは。


――やはり運命。


「……まさか、私と同じ研究をしている人がいるなんて思わなかった。それが脳筋の獣人族なんて予想できるはずがないじゃない」

 今まで獣人族であるが故に脳筋とバカにされ続けた俺はもうその程度を気にすることは無かった。はずなのだが。


「脳筋ってのは失礼だな。俺以外の獣人族がそうなのは同意だが」

 彼女には脳筋だなんて思って欲しくない、そんな思いが溢れてきた。つい顔や態度に出たかもしれない。


「脳筋じゃない獣人族もいるのね、覚えたわ」

 だけど理解してくれたことが何よりも嬉しかった。俺達の心は今繋がった、次は身体だな。


「それにしても、まさかあの大群のなか飛び込むとは思わなかったよ」


「ふふ、このブーツがあれば全部避けて走り切る自信はあったのよ?ただ、障害物が多すぎて戦闘になっちゃったけど。それにこれもあったしね」


 そういって差し出したのはサラが持っていた棒だ。長さはサラの背丈程。


 いや、最初見た時はもっと長かった。走高跳の棒のような使い方をしてこのどでかいフロアの真ん中あたりまで一気に跳んだんだ。こんな長さじゃないはず……そうか。


「それも魔力筋を使って?」


「正解」

 サラは持っていた棒に魔力を込めて棒を伸ばしていく。


「なるほど。伸縮自在の棒、如意棒ってやつか」


「そうよ。でもそれだけじゃないの。見てて?」

 伸びていた棒がどんどん短くなり元のサイズに戻った。そして先ほどよりもずっと大きな魔力を込めた。直後、目に見えない速度で再度伸びそして壁に突き刺さり衝撃音が鳴り響いた。


「こいつは驚いた」

「でしょ?」

 と言いながら得意気に微笑む彼女は天使のような笑顔だった。でも俺が驚いたのは彼女が意図したものとは少し違う。


「うん。俺の衝撃を君にお返ししよう」

 サラは何のことか分からない様子だがまずは見てもらおう。


 俺は右拳を床から少し離すと魔力を込めた。直後、俺のライトウエポンから杭が飛び出し床に突き刺さり衝撃音をまき散らした。


「まさか……同じ原理?」

「驚いた?」

 俺がライトウェポン1号の中にパイルバンカーを収納しながら彼女の驚いた顔を見つめた。そして二人して笑いあったのだった。



「でもなんで足の強化から始めたの?」


「そんなの簡単よ。どんなに強い敵がいても当たらなければどうということはないわ。それこそなんで手の強化からなのよ」


「攻撃は最大の防御ってね。似た者同士かと思ったけどこういう違いはあるんだね」


「ふふふ。あなたにとても興味が沸いたわ」


「それは俺もだ。ところでさっき戦っている時の事だけどー」


「何かしら?」


「しむら、うしろーって言ってたけどどういう意味か聞いてもいい?」


「驚いた。後ろから殴られてたから聞こえてなかったのかと思ったのに……あれはね」

 そこで言葉に詰まっていた。


「志村けん?」


「そう。……まさか?」


「そのようだ。初めて俺以外の転生者に会った」


「私も!」

 それから俺達は時間も場所も忘れてお互いの事、転生神のボケの事など話していたらいつの間にかすごい時間が経過していた。

 そして戦闘の疲労と精神的な波、それにしゃべり疲れたのもあっただろう、いつの間にか横になってそして眠っていた。

 サラの寝顔はとても可愛かったが転生者に会えて俺の転生前の意識が強く出ていたのかそれとも体力の限界だったのか、獣人族の獣な部分は形を潜めていた。


そっと俺のマントをかけて、俺も眠った。


ゲンスイ君も体力の限界だったようです。


いつも読んで頂きありがとうございます。

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