第59話
更新遅くなりましたが何食わぬ顔して更新!
大物のアダマンタイマイ2体と異常にデカいアダマンタイマイ1体から素材を剥ぎ取ると、大量のアダマンタイトを入手することが出来た。他にも首元、甲羅の内側に張り付くようにあった触手部分も何かに仕えそうなので入手しておいた。
「大量のアダマンタイト、とりあえず4等分しといたから虚空庫にしまってくれ」
「あの、僕も貰っていいんですか?」
一緒に戦ったものの、立場上遭難救助者ということもあり遠慮がちにヤマト君が言っているが、俺達としては一緒に戦ったのだらか問題ないだろ、という考えだ。
もちろんそれでかまわないと伝える。
「たいして役に立っていないのに……ありがとう、ございます」
一通りこの場所でのやることは完了したので俺達は出発した。
この階層はジャングルのようでやたらと広かったが、アダマンタイマイの影響か魔物遭遇率が低かったので苦労なく抜けることができた。
この階層の最奥と思われる場所には、地上へと戻るためと思われる転送石が設置されてあったので一気に地上へと戻ったのだ。
サラが内心ダンジョンを逆戻りする必要がなかったことへ安堵していたのは見て見ぬふりだ。俺ってリーディングエアースキルが高いからなっ!
ダンジョンを出ると辺りは暗闇に包まれていた。
「それで、あとはヤマト君を王都まで連れて行けば任務完了かな?」
そもそも論になるが、俺達はアダマンタイマイ討伐のクエストをギルドから受けてはいない。よってその報告義務はないのだが、ギルドに俺達のパーティー、英国の鈴の評価を上げさせるためにも討伐したよって報告はしたほうがいい。
もうひとつの目的、遭難者の捜索もどこかから公式に依頼を受けたものではない。たまたま助けた少女、フォンのお願いを聞いてあげているにすぎない。
かといって報告しないのもどうかと思うので、やっぱりここは王都に戻るのが筋だろう。
「そうね」
「えっと、僕は……」
何一つ非の打ち所の無い俺の方針にヤマト君がなぜか難しそうな顔をしている。
「どうしたの~?」
「王都には戻れません。僕は、このまま、トーシン地方へ向かいます」
「とーしんちほう??」
ただ子供のワガママだったらお尻ペンペンして連れて行こうかと思ったが、思わぬ単語が出て来た。
この国の土地勘なんてあるわけない俺だが、サラも同じだったようだ。
「ここからだと~、結構距離があるわね~。たしかユジャスカ帝国の辺境のはずよ~」
ふむ。住んでいる王都に戻らずにそんな田舎に行きたいとな。転生してスローライフを送りたかったが王都に生まれたためできなかった、とかが理由なんだろう。
「実は、ここで手に入れた、ジャッカル草を使って、母の病気を治したいんです。母がトーシンにいるので……」
違ったらしい。
まぁ頭脳派の俺も完璧ではない。ここは素直に予想が外れたことを認めよう。
うん、そんな俺、偉い!!
「そうは言ってもね~。あなた一人で行けるとは思えないわよ~?」
シェリーさんの現実をつきつける一言で一瞬悲しそうな顔をしたと思うと、トコトコと俺のところまで来て言った。
「お願い、します。僕をトーシンまで連れて行って、ください!」
お前!!
お前は男なんだぞ!!
それなのにどう見ても儚げな少女の見た目で!!
俺に上目遣いで!!
お願いっなんて言われちゃったらもぉ~~~!!
「俺に任せとけっ!」
分かってる。そう、俺はこいつに乗せられたんだ。そう言わされたんだ。分かってる。
「あ、あの、ありがとうっ」
分かっていても抗えない事も世の中あるんだよ。
「ゲンスイさんちょろい」
「分かっていたことじゃない~」
なんてサラとシェリーの言葉は俺の耳を通過していたがどうでもいいことだ。
プロットだと3行くらいの所を改めていろいろ考えているとどんどん膨らんで30行くらいになることって、あるよね(笑)




