第52話
「大物2体楽勝だなっ!」
「事前に打ち合わせたアダマンタイマイ攻略のセオリーってなんだったの……」
確かにセオリーでは顔、足、尻尾などを攻撃して弱らせて甲羅の中に閉じこもって動きを止めてから貫通攻撃と魔法攻撃で倒すって打ち合わせてたような……。
忘れていた訳じゃないんだが、なんつーか殴ってたらつい……。
「まぁまぁ、ゲンスイ流攻略法ができたんだからいいじゃないか」
「まさかひっくり返してお腹に乗るなんて普通考えないわよね」
「それにしても~最後の二人の一撃は~凄かったわね~」
「お二人とも強いんですね」
確かに最後の一撃は予想を遥かに上回る威力だった。
「あれはなんだろうな。俺達二人の愛のパゥワァ~が目覚めたのかもな」
「何言ってるの。たまたまでしょ、きっと」
なんて和やかにしている時だった。
ヤマト君が俺の方を指さしている。
「なんだ?俺の顔に何かついてるか?」
戦闘のドサクサで汚れでも着いただろうか。
「ぁ、ぅ、ぅ、ぅ……」
その様子に気付いたシェリーさんが叫んだ!
「うしろ~」
俺が振り向くと同時に巨大な岩の塊が目の前に降っ来た。
「なんじゃこr」
最後まで言い切る前に、まるで丸太のような太い何かが横なぎに襲ってきた。俺は慌てて防御姿勢を取るのが精いっぱいだったが、立っている位置的に一番敵の近くにいたため少しは仲間を守る事ができたのかもしれない。
「「きゃ~~~~」」
防御したとはいえ受け止める事なんてできるはずもなく、俺達はあっさりと後方へと吹っ飛ばされる。空中でなんとか姿勢制御をして、すべりながらもなんとか着地。
横を見るとサラも上手い事着地を決めていた。シェリーさんはなんとかヤマト君を捕まえて抱え込むと同時に背後にあった木にぶつかってから着地していた。
「なんだこいつ?」
とりあえず無事を確認して前を見ると、そこにいたのは先ほど倒した大物のアダマンタイマイの5倍以上のバカでかいアダマンタイマイがいたのだった。
「どうやらこっちのほうが本命だったんじゃないかしら」
「みたいだな、で、どうする? 逃げるか?」
「冗談でしょ? とことんやってやりましょう!」
サラが笑みを浮かべつつ応えてくれる。結構好戦的なんだよな。だが、それがいい!
「俺とサラで接近する! シェリーさんはヤマト君を守りつつ援護よろしく!」
現状に即した完璧な戦術プランを提示、すぐに自分が行動する。まさに指揮官のお手本のような動きに皆は俺を惚れ直すこと間違いないだろう。
どうやら最初の一撃はドデカいアダマンタイマイの尻尾攻撃だったらしい。すでに半回転してこちらに顔を向けていて、ブレスが飛んでくる。
横っ飛びでそれを回避すると、さらに接近するために近づく。
「えいっ!」
威勢のいいサラの声と共に、如意棒を使い棒高跳びの要領でドデカいアダマンタイマイの上空へ飛翔、甲羅の上に着地を決めると、如意棒と強化靴装備の蹴りをドデカいアダマンタイマイの後頭部へ攻撃を開始していた。
その間に距離を詰めた俺も強化腕装備の両腕で真正面から殴りつける。
「なんじゃこいつっ!」
顔面を思いっきり殴ってやったがその手ごたえは鉄の塊を殴ったようなものだった。
ドデカいアダマンタイマイはダメージにもなっていないようで、まったく気にせず俺に噛みついてきた。
紙一重で避けたがその瞬間ドデカいアダマンタイマイを中心に魔法陣が展開。
やばっ、範囲魔法攻撃だ。
俺はとっさに後方へ下がると、範囲外へ出るためにドデカいアダマンタイマイに背を向けてダッシュする。
ものの数秒で10メートル以上離れたが、発動した魔法の範囲はかなり広く、あっさり爆発に巻き込まれてしまった。
「っつぅぅ……」
全身が一瞬高温で焼かれ、爆発音で耳がキーンとしてる。
爆発の衝撃により距離が取れたことを幸いに、一度虚空庫からポーションを取り出し一気に飲み干す。
サラの方も爆発に巻き込まれたようで、かなり離れたところでポーションを飲んでいるのが見えた。後方のシェリーさんとヤマト君は爆発に巻き込まれる前に範囲外へ逃げれたようだ。
仲間が無事なら俺はまだまだやれる!
そして接近するために走り出すのだった。
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