第51話
俺の完全勝利で幕を閉じたアダマンタイマイ戦だが、もう一匹いるのを忘れてはいない。
見ると、サラが接近して如意棒もしくは蹴りで着実にダメージを稼ぎ爆発のタイミングではその機動力で一瞬で射程外へ退避。爆発が終わると同時に接近して攻撃と、見事なヒットアンドアウェー戦法で戦っていた。
シェリーさんは中距離からツインアルテミスボウで魔法矢による攻撃。
そして、ヤマト君はというとなんと剣で戦っていた。
サラが相手の前面で戦っているため邪魔しないように後方から攻撃を仕掛けている。剣撃による攻撃がヒットした部分は、見えるか見えないか分からないくらい微小なかすり傷を与えているようだった。
剣で後ろ脚を切りつけた時だった。長い尻尾が鞭のようにしなり無防備なヤマト君へと襲い掛かったのだ。
「危ない!!」
俺の声は届かず、、ヤマト君は直撃を受け後方へとすっとばされていく。
防御することも間に合わなかったはずだ。慌てて吹っ飛ばされた方へと駆けていく。が、俺が辿り着く前にヤマト君はスッと起き上がり再び斬りかかっていく。
今度はアダマンタイマイを中心に魔法陣が光る。直後、半径5メートル程度を吹っ飛ばす爆発が発生し
向かっていったヤマト君は爆発をまともに受けていた。
が、俺は見逃さなかった。
敵の攻撃がヒットする直前、ヤマト君の装備している防具が変形しダメージを緩和していることを。
皮の鎧は胸までの寸しかないためお腹丸出しなのに、丈部分に付いているフリルが一瞬で拡大してお腹部分を隠していた。
ミニスカートのような腰あてから露わになっている生足も、その丈部分についているフリルが拡大、膝まで広がる。ブーツについているリボンも拡大し膝下を覆う。
そして攻撃が終わったら一瞬で元の形に戻っていた。
「へっ、面白い装備してるじゃん。だったらお守りなんてせず、俺も加勢するぜ!」
進行方向をアダマンタイマイへと変更、最大速度で接近する。
正面にはサラ達がいてよく見ると顔部分はダメージでボコボコになっている。ほっといてもサラ達が倒してしまいそうだけどっと。
後ろ側に回り尻尾の根元を掴むことに成功する。これでこっちのもんじゃ!
「どぉぉぉおおおっせぇぇぇええええいいいいい!」
一匹目同様、思いっきり引っこ抜く要領で投げっぱなしジャーマンスープレックスゥゥ!
上空に浮き上がった巨体が重力に従ってそのまま甲羅部分から地面に激突する。その振動を感じ取る前に飛び上がり、お腹部分に乗っかると強化腕装備の左腕を大きく振りかぶる。
「美味しいところだけ持って行くなんてさせないわよぉおおお」
抗議の声と共に上空からサラが降って来た。
強化靴装備のサラの右足が突き刺さるのと俺の左腕が突き刺さるのはほぼ同時だった。
殴った手応えは今までに感じたどの会心の一撃よりも遥かに力強く応えていた。が、その反動により生じた衝撃に俺もサラも吹っ飛ばされてしまった。
「ちょっと~大丈夫~?」
「痛てててて……」
着地に失敗した俺の上にサラが乗っかっている上に体がもつれて、おお、これは、もしかして!
ラッキースケベ!?
「痛たたたた……ってちょっと!どこ触ってるのよゲンスイさん!」
丁度俺の左手がサラのお尻に、右手が胸に当たっていたのは不可抗力だ!
しっかりその感触は脳内メモリに保存したことは言わないでおくけど。
「悪い、大丈夫か?」
ジェントルメーンな態度で立ち上がり、サラを起こしてあげる。ふとサラと目が合うと、なんとも言えない視線と表情に一瞬呆けてしまった。
「はいはい~、いちゃつくのはその辺にして~」
「はぁぁぁぁ! これがリア充の力! 本当に爆発した! 拙者初めて見たでござる!!」
シェリーさんとヤマト君の声に我に返ると、ちょっと照れてしまうが集まって勝利を喜ぶことにする。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
そういえば先日短編小説を書きました。
『たった8文字の長編小説』という感動系?の物語です。
短編なのですぐ読めます!よかったらこちらもどうぞ。




