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第50話

「カウント始めるわ。3、2、1、ゴー!」


 危ない、考え事をしていたから出遅れるところだったぜ。でも出撃宣言って俺の役目じゃね?まぁいいか。飛び出した以上、全速力でターゲットとの距離を詰める。 同時に飛び出したサラはもう俺の前を走っているが、アダマンタイマイもこっちに気付いたらしく振り向いている。その時にはすでにシェリーさんがツインアルテミスボウから放った魔法矢がそれぞれのアダマンタイマイにヒットしていた。



 アダマンタイマイが振り向いてこちらへ噛みつき姿勢に入る直前、こちらはもう十分に加速した状態から強化腕パワーアームを振り抜く!




 噛みつこうとした顔面がその勢いで横に向いた所で左腕のアッパーを決める!




 噛みつきもブレスも何もさせん!




「俺のラッシュをくらいやがれっ!!」




 左右のパンチを叩き込んでいる間に、サラのほうもうまくやっているのが横目で見えた。あっちは3人に任せておいて、これでもかと連撃を続ける。




「ブッ」




 腹に一撃もらったらしい。いつのまにか首元、甲羅の隙間から触手のようなものが飛び出し、かなりの硬さと速度で撃ってきていた。一旦距離を取り体制を立て直す。




 一歩引いた時、既にアダマンタイマイの周囲に光る魔法陣が出来始めていた。




「魔法が来る! 気をつけろ!」




 それだけ叫ぶと両足に力を込め一気に後方へと飛ぶ。直後、アダマンタイマイを中心に半径5メートル程の範囲で爆発が起こり、その爆風での衝撃波と数瞬遅れて地面の小石なんかまでも飛んできた。




 アダマンタイマイが厄介なのはこの範囲攻撃を持っている点が挙げられる。だが、知っていれば回避も可能というもの。そして再度魔法を撃つまでにチャージタイムがあることも知っている。


 狙うなら魔法を撃った直後、つまり今だ!




 少し回り込んで再び接近、今度は横から強化腕(パワーアーム)で強化されたフルスイングの右腕を叩き込む!




「っ! なんて硬さだよ!」




 甲羅部分は硬そうだとは思っていたがこれほどとは。俺の一撃は岩だって砕く威力があるが、全く歯が立たなかった。


 目の端で相手の動きを捕らえ、慌てて真上へ回避。さっきまで俺がいた場所にアダマンタイマイの尻尾が轟音と共に振り抜かれていた。




 甲羅の上に着地すると、今度は尻尾側へ飛ぶ。




「甲羅がダメなら他の部分を攻撃するまでだ!」




 真上から尻尾の付け根へと強化腕(パワーアーム)で強化されたパンチを叩き込む。


 殴った感触から多少なりともダメージを与えているとは思うが、どうも決定打には欠けている。




「だったらこいつはどうだぁああああああ」


 俺は人の胴周り程もある尻尾の根元を掴んで上空後方へと放り投げる!

 その重量であまり飛びはしないものの、ほぼ投げっぱなしジャーマンのようになってしまった。


 ズシーーーン!という轟音が響く。


 何が起こったのか理解できなかったようでアダマンタイマイは甲羅から地面に落ちると一瞬動きを止めた。そこへ飛び乗り、その中心部へと強化腕(パワーアーム)で強化した一撃を突き刺す!


 ひっくり返った体制を何とか起こそうと前足も後足もバタバタさせているがその可動域から足だけで起き上がるのは無理のようだ。尻尾と首回りから触手が出てきて何とか起き上がろうとしているがその度、お腹に一撃をくれてやるとバランスを崩し起き上がる事ができないようだ。


「フハハハハハ!アダマンタイマイ攻略法の完成だーーー」


 腹を殴っても耐久値が高いようだが、こちらは攻撃を食らわないのだ。ハメだって?何が悪い!


「サラー!シェリーさん!こいつひっくり返したら抵抗できないみたいだぞー!」


 せっかく見つけた攻略法は仲間と共有しておく。殴る合間に横目で見ると、サラもシェリーさんもヤマト君ももう一体のアダマンタイマイすらこちらを見て口を開けて固まっていたので、たぶん伝わっただろう。


「さ~て、しこたま殴ってやるから覚悟しろよー!」

 って、殴り続けながら気合を込めた時、アダマンタイマイの全身から魔法陣が光始めた。


「やらせねぇよっ!」

 ひと際力を込めて鳩尾(らへん?)を殴りつける。


 が、魔法陣は動きを止めず範囲魔法が発動した。


 甲羅を中心に半径5メートル程度が爆発するが、内側には爆風が来ない仕組みになっているらしく爆発の衝撃波は来なかった代わりに、アダマンタイマイ自体が上空へと浮かび上がった。

 

 空中で姿勢を戻そうと足掻いているようだが、やらせねぇよ?


 殴り続けて姿勢制御をさせず地面へと激突。その衝撃すらアダマンタイマイへダメージを与える結果となる。

 横向きでブレスを吐いたりしていたが、甲羅を起点に少し回る程度でなんの脅威にもならない。



 その後、何度か爆発したりはあったもののただひたすら殴り続けると耐久値を超えたのか完全に動きを止めた。


「よっしゃぁ、勝ったぜ!」


 俺は勝利宣言と共に両腕を天へ突きあげたのだった。

ゲンスイ半端ないってもぉー!

アイツ半端ないって!

アダマンタイマイの尻尾掴んで後ろ向きに投げるもん・・・

そんなんできひんやん普通、そんなんできる?言っといてや、そんなんできるんやったら・・・


と草葉の陰でアダマンタイマイさんが言っていたかどうかは分かりません。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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