第45話
一度このフロアの最終地点まで行ってそこでサラを降ろしシェリーさんと一緒に待ってもらっている、。
先程見つけたポイントまで逆戻りしているが今度は両手がフリーなのでかなり身軽だ。
ものの数分で到着。幸い魔物が近くにはいなかったので自分で照明の魔法を使い目標を確認、浮遊ブロックの位置を把握して飛び移る。
通常ルートよりもかなり低い位置へと飛び降りていき、少女の倒れているブロックへと辿り着いた。一応冒険者っぽい恰好とはいえるかもしれないが、肩と胸部分は魔獣の皮を使った鎧にフリルがあしらえてあったりお腹は丸出しだし、腰あてはミニスカート状になっていたり、アンクレットのようにリボンが付いていたり。ダンジョンにはとても似つかわしくない恰好だ。
「おい、大丈夫か?」
「ぅぅ……」
生きてはいるようだが意識ははっきりしていない。急いで虚空庫からポーションを取り出すとゆっくりと流し込む。が、意識がないため上手く飲みこめない。仕方ないので自分で口に含み、口移しで飲ませてやることにする。
10歳位の女の子とはいえ、緊急処置だから大目に見てほしい。
少しずつポーションを飲みこめたようだが思うような回復効果が見られない。少し負担をかけるかもしれないがサラ達の所まで連れて行って……
「ぅぅ、も……、と……」
ポーションが足りなかったのか?追加で更にポーションを口に含み、口移しで飲ませてやる。
しばらく飲ませる作業を続けていると反応があった。
「ぁり……がと……ぅ……」
最初より少しは意識も取り戻せたようだ。だが回復したとは言えない。やはり一度戻ろうと思った時だ。
グゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~
一瞬魔物でも来たのかと周囲を警戒した!
がどうやら違うらしい。音は少女のお腹から聞こえてきた。
「おな……か、す、い……た」
この世界に来ていなければ少し笑いそうになってしまうが、ダンジョンでは食料の確保がとても重要だ。ケガをしていなくても餓死する冒険者は一定数いるのが事実だ。魔物が徘徊するダンジョンで身動きがとれないまま飢えに耐え、そして救助されることなく終わる事はとても悲しいことだ。
「すぐに食わせてやる。移動するからもう少しだけ頑張るんだ」
見つけた時より少しだけはっきりした表情でうなずいてくれた。
少女を背負い、念のため腰部分を紐で結ぶと上へと向かい浮遊ブロックへジャンプしていく。
来る時よりも倍ほどは時間がかかったが、問題なく元の場所へ戻ることが出来た。
「救助してきた。とりあえず安全な階段フロアへ行こう」
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