第25話
頭脳派脳筋は毎日更新中!
今回はみんな大好き水着回だよ!
俺達は瀕死だった人魚くん(子供)を保護した関係で、親元へ引き渡すため人魚目撃情報のあった岬へと移動中なのであった。
今のところ他の人魚も見かけないし、人魚くんも見覚えのある場所は無いという。
砂浜の海岸でも難なく馬車を引く地竜の万能感はいつ見てもすごい。
ゴトゴトと揺れる馬車の荷台でシェリーさんが作っているある物が気になって仕方がない。
事の始まりはパシャパシャと海で無邪気に泳ぐ人魚くんに端を発する。
魔物とのエンカウントの少ないエリアでは自由に海を移動させていたが、岬に近づくにつれエンカウント率が上がったようなので、休憩中だけ自由に泳がせているのだ。
「あんなに気持ちよさそうに泳いでいるのを見ると羨ましいわね」
昼食にスープを作りながら人魚くんを見ていたサラが呟いた。鍋をレードルで掻き回わすその姿は男なら誰でもキュンとくるものがある。
「じゃあ一緒に泳ぐ~?」
保存食である干し肉を火で炙っているシェリーさんが反応した。干し肉を串に刺したものを数本まとめて持ち、強火の遠火で炙る姿は出来る職人のようで格好いいお姉さんのそれだ。姿だけは。
「水着なんて持ってないわよ。それに……」
ふむ、じゃあ防具だけ外して泳いでくればいいのでは?サラは膝上まである魔力筋を使った金属製のブーツは脱いでおく方がいいだろう。絶対領域が無くなるが。いや、広がるのだからいいじゃないか。生足いいじゃないか。
また、シェリーさんはもともと革のような素材の上下が繋がっていてピッチリと身体のラインが出るタイトなライダーズスーツのような服だ。いや、見ようによってはダイビングとかに使うウェットスーツに見えなくもない。耐水性があるならばそのままでもいいような気もする。
そしてそんな二人が海から上がったら、きっと素敵な濡れ姿。むはっ!これはけしからん!
「……こんな話題だとほら。ゲンスイさんの病気が発症したわ」
病気とは失礼な!こういう思考はそもそも俺本来のものではない。獣人族の身体だから獣の本能で発情しているだけだ。俺自身は理性の塊だから抑え込んでいるが。
「ゲンスイ君は若いんだからこんなもんよ~?少し顔がだらしないだけじゃない~」
「ダンジョンでは格好よかったのになぁ」
という呟きに俺は照れてしまう。そんな俺達を見てシェリーさんニヤニヤしないでください。
「そんなに悩まなくてもここには他に人はいないだろうし、プライベートヌーディストビーチだと思えば恥ずかしくな、痛い!!」
いつの間にかサラが持っていたレードルが俺の後頭部にヒットしていた。
「そんなのダメに決まっているでしょ!?」
「じゃあ~、水着つくりましょうか~?」
「「ぜひ!」」
「って何でゲンスイさんが答えてるのかしら?」
「何でって、そりゃあれだ。水着姿を見たいー……とかじゃなくて、サラ達が泳ぎたいという希望を叶えたいからに決まっているだろう」
危うく本音が出てしまいそうだったが機転を利かせて誤魔化し切った。それでもサラの表情はパッとしない感じだったが。
「お姉ちゃん達も一緒に泳いでくれるの~?やったぁ~!」
いつの間にか海から上がってきていた人魚くんのセリフで、水着作りが決定事項となったのだ。
という事で移動中、荷台でシェリーさんが水着を作っているのだった。こんなことがあれば男なら誰だって気になるだろ!?
シェリーさんは壊れた馬車の車輪や俺のライトウェポンの左手を改造した時も早業だったのですぐにできるだろうと思っていた。
しかし金属や鉱物などは慣れているが、柔らかい物質については不慣れらしく少し時間がかかると言われてしまったのだ。焦らしプレイとは流石シェリーお姉様、この俺を弄ぶなんて大したものだ。
そんな作業を邪魔する魔物エンカウントはこの俺が速攻で片づけている。ヤドカリ型の殻付き魔物であろうとも焦らされた俺のパワーの前には、無残に殻を砕かれる姿しか残さない。
そんなこんなで数時間後。
「できたわよ~」
シェリーさんのその一声を首をながーくして待っていた俺は即座に振り返り完成品を拝もうとしたのだが、手に持っていた完成品を背中に隠したのだ。
「着てみてからの、お、た、の、し、み、よ~」
といってバチコンッとウインクするシェリーさんはもはや犯罪者である。
「じゃあさっそく休憩場所を探すから!見つけた!あそこで休憩にしよう!」
慌てて辺りを見回し砂浜の一角を指さすと同時に地竜を操り目標地点まで速度を上げた。
「休憩じゃなくて野営の準備よ。もう日暮れも近いわ」
いつの間にかそんな時間だったか。確かに完成を待つ間かなり長い時が経過した気がする。しかし完成した今となってはそんな事はどうでもいい。サラがご休憩じゃなくご宿泊を宣言したのだ!濡れ濡れ水着で大人の夜の時間だと、そう言ったのだ!(言ってない)
俺の頭脳をフル回転させ可能な限り合理的に地竜を操り野営場所に馬車を着けると、収納庫から簡易テントを取り出しその場に設置。少し離れた場所に土魔属性魔法を使ってたまに作る簡易浴槽を作り出す。何に使うかって?みなまで言わすなよ、恥ずかしい。
それだけの準備をするのにサラとシェリーさんは火魔法で焚火を作り出す作業をしていた。そんなものが無くても人肌で温めてあげるのに。
サラはなぜか呆れたように見ていたが、きっと俺の凄さに惚れなおしているだけだろう。
「土魔法で浴槽を作るなんて器用なのね~。しかも、かなりの早業ね~。もしかして私よりも速かったんじゃないかしら~。ゲンスイ君って他にはどんな魔法が使えるの~?」
俺としてはそんな事はどうでもいい。早く二人の水着姿でくんずほぐれつムフフ展開にしたいのであるが、とはいえ紳士たるものお応えせねばなるまい。
「【贈物】のおかげで火・水・風・土・光・闇属性の魔法全てが使えるぞ」
というと二人は驚いていた。
水着作る回でした。
次回、水着お披露目!?お楽しみにっ!
いち早く更新を知るためにブクマ登録しましょうそうしましょう




