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月への道

寒さに震える 冬の夜は

目的もなく 歩き疲れるまで

歩くことにしている。

その間 私の息は 清潔ではない、気がする

清涼にするため、清涼飲料水を飲む。


真っ黒な 土の見えない 歩道を

立ち上がった 白い蛇と並び歩く。

その、濡れた蛇柄から跳びはねる

水滴や血の飛沫をよけるために

穏やかで鈍い眼を瞑る。


京の都に千年前から掛けられている

一本橋という名の橋の上に立ち止まり、

白い蛇は橋の下を覗き込む。

真っ暗で 水のない、枯れた河原から

真っ白な さらさらとした砂粒を

月の庭園へ、送り返すのを

そっと息を凝らして観ている。

長い舌を出し入れし、

いつまでも愛おしげに

見つめつづける白い蛇の

瞳は 鋭い 硬い 意思の 小さな窓のよう。


何処までも 昇りつづける 白い砂粒を

立ち上がった 白い蛇と

肩を並べて 見上げている。

ごらん?

花も 草も 木もない 世界から来たものが、

花も 草も 木もない 世界へ還って行くさまを。

どれほどの 清い 白い 宝石の粉のような浮遊物が

月夜 明るいとはいえ 中空から宇宙の月までを

薄い 白い 帯として 昇りつづけるかを。


そして、想像してごらん?

その先に待つ

月の庭園に立ち、

見上げると、

大きな瑠璃色の地球が夜空に、

浮かんでいるのがくっきりと

観られるさまを。


私と蛇は顔見合わせて、そののちも

月を見つづけている空間と時間を

いつしかあきるまで、持ちつづけられる幸せを

長い舌を出し入れしながら、

ゆっくりとあじわっていた。






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