ギルドカードを手に入れよう-2
本日の朝食は、フランスパンのようなものと小さな蕪の入ったグラタンと、サラダだった。
リオネルはやっぱりお肉だとハンバーグを食べている。
私ももっと肉を食べたらリオネルみたいに背が高くなったのだろうか?
そう思ってリオネルの食事をみているとリオネルが、
「なんだ、ハンバーグを一口味見をしたいのか?」
「それはまあ、美味しそうだし。上にかかっているソースも気になるし」
「だったらそのグラタンを一口くれたら、ハンバーグを一口あげてもいいぞ」
「本当! 分かった」
「よし、ではルカ、口を開けるのだ」
そこで楽しそうにリオネルが私に口を開けるように言う。
この歳で食べさせてもらうなんてと思いつつも口を開けて、リオネルのハンバーグを口にする。と、
「! 美味しい! 甘い香辛料の香りがする、こんなの食べたことがない!」
「珍しい香りだよな。もしかしたらこの地方独特の香辛料があるのかも。後で探してみよう。そして、約束通りグラタンを寄越すのだ」
「わ、分かった。でも熱いから少し冷やしてからだね」
そして私はスプーンで一口分を掬い取り、フーフーと息を吹きかけて冷やしてから、
「はい、リオネル。あーん」
「あーん」
リオネルが口を開けるので食べさせる。
口に含み咀嚼するリオネルだが、その表情だけでも分かる。
「このグラタンも美味しいよね」
「うむ」
「味付けもいいけれど、野菜が新鮮なのかな? 凄く美味しい」
「うむ」
「リオネル、うむ、って言っているだけじゃわからないよ」
「うむ」
「……まあいいや。美味しい朝食が食べられたし。リオネルには感謝しないと」
「そうだろうそうだろう、というわけでルカは俺をそばに置いておくといいぞ」
「それはまた別の話である、というか、リオネルの傍にいると私、目立っちゃうし」
このリオネルは人の目を引き付ける所がある。
だからそのそばにいるん私にもスポットライトの一部が当たってしまうのだ。
それだけは絶対に避けねばと私が思っているとリオネルが、
「ルカ自身が可愛いし目立つのを自覚しておいた方がいいと思うな。どんなに擬態しても、正体はバレるものだしな~」
「ふ、勝手に言っているがいい。私はすでにFランクの駄目魔法使いの地位を手に入れた。後は“普通”に行動すれば、多少、の事ではそれ以上にはいかないはず。目立たずにいられるはずなのだ」
「……そう思っていたのは、つかの間の出来事だったのだ。まる」
リオネルがさりげなくフラグを立ててきた。
だが私は全力で平凡を目指すんだ、そう、自重しないリオネルに振り回されないよう頑張るのだ!
と私は決意を新たにしながら食事をとり、会計し、それからギルドに向かったのだった。
ガイドブックに書かれたギルドに私達は向かう。
朝が早いせいか、窓からのぞいたギルド内部はそれほど人はいないようだった。
建物は都市のものよりは若干小さいが、建てられた金色の看板と、つる草の意匠がここは公認のギルドですよといったものを物語っていた。
そして私達はギルドカードを作りに中に入り込んだわけですが、
「こんな所に子供が何の用だ」
などと、筋肉ムキムキマッチョの男性に言われてしまったのだった。
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