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離れないと

 これは私が考えて決めたことなのだ。

 リオネルに懐かれるのは嬉しいけれど、これはリオネルのためなのだ。

 まさか“婚約”なんて話が出ていると私は思わなかったのだ。


 今までのように楽しく一緒に、というわけにはいかない……リオネルのためにもと私は思ったのだ。

 するとそこでリオネルが、


「なんで俺から離れようとするんだ?」

「……今までが一緒にいすぎだったんだ」

「でも俺、ルカと一緒にいたいな~、だめかな?」

「駄目だよ」


 甘えるように言われて私はそう冷たく返した。

 本当は、そうやってねだられてしまうと私も私も私も、ちょっとくらいは良いんじゃないかな~という気持ちにもなるが心を鬼にしてそう答える。

 そこでリオネルが私に向かって手を伸ばしているけれど、私はそれを振り払う。


 リオネルの表情が一瞬にらみつけるような剣呑なものに変わるも、すぐに顔を伏せて、


「なんで今更そんな風に言うんだ」

「今からでも遅くないからね。リオネルと私は仲良くしすぎたと私が気付いたから」

「俺、ルカが俺から離れていったら闇落ちしそう」

「大丈夫だよ、リオネルはそんな弱くないって私は知っているし……ごめん、もう着替えて私、部屋に戻るから」


 そういってスールが何かを言う前に私は急いでこの服を脱いで制服に着替えて、自分の部屋へと駆け込み、自分のベッドに潜り込んだのだった。










 その日はできる限りリオネルと顔を合わせないようにした。

 食事も私一人でとり、少し会話しただけで徹底的に無視をする。

 そういえばセレンのことをリオネルに話しそびれたけれど、会話をしたくないから結局話せずにいた。


 寝る時も私のベッドに入り込もうとするリオネルを必死に追い出すと、


「……もういい、分かった」


 怒ったようにリオネルが下のベッドに入り込んでいくのを感じた。

 私はそれに罪悪感のようなものを感じたけれどこれはリオネルのためなのだ。

 いずれ必要になったことで、それが今になっただけに過ぎない。


 そう私は自分に言い聞かせながら、引っかかるものを感じていた。

 闇落ちしそうとリオネルは自分で言っている。

 冗談だとは思うけれど、なんとなく……今回は特に私の中に引っかかっっている。

 

 それは、魔王候補にリオネルがなってしまいそうという不安なのだろうか?

 けれど私はリオネルが誰よりも魔王候補を恨んでいるのを知っている。

 だからそちら側にはいかないだろうと私は楽観視することにしてその日は眠る。


 次の日。

 挨拶だけはして私はリオネルと出来るだけ関わらないようにする。

 食事も1席離れた場所で座り、授業もリオネルから1席離れた場所で座るなどした。


 そして魔法演習へ。

 今回はダンジョンに潜るらしい。

 ギルドカードを持っている人は、依頼をいくつか受けてもいいよとのことで私も一つだけ依頼を受けておく。


 そういえばセレンのことをリオネルに話しそびれたと再び気づく。

 でも私一人で何とかすればいい。

 まずはリオネルから離れないと、と私が思っているとそこで先生が、


「組み分けは、この前の演習と同じだからな~」


 そう私は聞いて、呆然としたのだった。


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