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これはこれで楽しませてもらおう

 セレンが何処の場所に行くのかの約束をして、キズヤと別れたのを見計らい私は顔を出した。


「どうも~、セレンが自分で対処できそうだから様子見していたけれど……結構、言うね」

「ぼ、私も言い過ぎたかなって今更後悔しています」

「でも、自分の意志をはっきり誰かに伝えるのは、勇気のいることだから。セレンは頑張ったよ」

「……はい」


 そこで嬉しそうにセレンは笑う。

 とりあえず、良かったと思いながらそこでセレンはうつむきがちに、


「でも私クロスに嫌われているんですね。昔はもう少し……距離が近かった気がしたし、私の“騎士”になった時も嬉しくて、クロスもそんな風だったのに……やっぱり私が攫われたから、そんな風に弱いからかな?」

「うーん、それで、セレンはクロスに嫌われたとしても“好き”?」

「! もちろんです! ……未練がましいですが」


 そう小さく付け加えて、悲しそうに笑うセレンに私は、


「クロスはセレンが好きだと思うよ。……自分から離れていれば、守れると思っているみたいだ。でも私はそれは違うと思う。大切なものは、自分の手が届く範囲で守ってあげないとね。でないと……後悔することになるよ」

「それはルカが後悔したのですか?」

「まあ、うん。その時はリオネルは大丈夫だったんだけれどね。それに、私もリオネルも、昔と変わらずに強く……えっと~、私は虚弱な魔法使いです、はい」


 私はまた自分の“最弱”設定を忘れそうになった。

 だから慌てて付け加えようとするとセレンが吹き出して笑う。


「最弱……私の能力を回復させておいて、最弱……」

「そう、Fランクなのです。リオネルが『遊ぼ~』といって、主役のような場所に引っ張り出そうとしているようですが、今回私は全力で脇役に徹するのです。それこそ主人公が歩いている町に、たまたま買い物にでていたような一般人のように!」


 私がそう言い切るとセレンが、


「でも物語だと、そういった一般人て、よく何かに巻き込まれますよね?」

「……」

「それを自力で解決したなら主人公なんじゃないかな」

「……まだです、まだこんな所で私の最弱ライフは終わらないはず……」

「でも、最弱でいたいのに、すでに私達の件に首を突っ込んでいるのは、巻き込まれ? というのでは?」

「……別に、君たちが黙っていてくれれば私は最弱のままでいられるかもしれないのです」


 そう返すとセレンは更に首を傾げて、


「でもどうしてそんなに最弱に拘るのですか?」

「普通の学園生活を送りたかったんだ。目立たず、普通の……」

「でもリオネルと一緒にいたら無理なんじゃ」

「うん、でもついてきちゃったし」

「リオネルは大変だね」

「? 何でリオネルが大変なのかな?」


 私がそう聞き返すと、真顔でセレンが私を見て、頷いた。


「うん、これはこれで楽しませてもらおう」

「なにが?」

「うーん、リオネルとルカがどれ位仲良しか、かな?」


 そう返されて私はよく分からずにいるとそこで、


「ルカですか? いい所にいました」


 そこで私は、イリスさんに声をかけられたのだった。


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