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こんな簡単に頷いてしまうとは

 リオネルが戻ってきた。

 私を悩殺するレベルの可愛さに仕上げてくるとスールは言っていたが、たくさんの“二次元”限定で“彼氏”を持つこの私が、いくらリオネルが可愛いのを知っているとはいえそんな簡単に悩殺されると思うなよ! ……とその時は思っていました。

 そもそも女の子姿だしい。

 でも、スール達に隠されるようにして現れたリオネルが私の前に姿を現す。


 私は凍り付いたように体が固まって、リオネルから目が離せなくなった。

 だって私が憧れていたものを体現したような美しさがあったから。

 そこでスールが自慢げに、


「今回は私達を含めて白を基調とした衣装で要所要所に、違う色が入っているんだ。赤と青、白と黒、みたいにね。リオネルは肌も白いから今回は黒を選んだよ。そしてリオネルの金髪が生えるような銀色の冠とヴェールを合わせた衣装にしてみました。どうよ、これが私達の全力だけれど……ルカ、全然聞いていないね。うん、どうぞどうぞ」


 スールがそんなことを言っていたが、私は右の耳から左の耳に抜けていくように感じて全然頭の中にとどまらない。

 私はただ目の前のリオネルの姿に心を奪われていた。

 リオネルがそんな恰好をしたって、私は抵抗できると思ったけれど……。


 金色のさらりとしたつややかな髪に碧眼。

 幼いころに見た、私が守りたいと思った可愛いリオネルが中性的に成長したそのものだった。

 フリルからもふんわりとした優しい光が浮かび上がるようで、それこそ光り輝いているようなというのが正しい表現のような美しさがある。


 そう私がぼんやりとしているとそこでリオネルが近づいてきて私の手を握った。

 男性的な男らしさと美しさが奇妙に重なり合っている。

 私の胸が高鳴るも、そこでリオネルが私の右手をそっと手に取って、もう片方の手で包むように上から触れて、憂いだような表情で、私に何かを甘えるように見る。

 私は、なんでもお願いを聞いてしまわなければいけない気持ちになった。


 そこでリオネルの赤い唇から済んだ声で、


「俺と、結婚していただけますか?」

「はい」


 私はぼんやりとリオネルを見上げたまま即座に頷いた。

 それにリオネルは優し気に微笑み……それはすぐに意地悪な笑みに変わった。


「ルカ、ちょろいな。こんな簡単に頷いてしまうとは」

「へ? え……ああ! ち、違う、今のはなしで……」


 私は焦ってあわててリオネルにそう答える。

 気づいたら結婚をOKしているとか思わなかった!

 わ、私はなんてことをと思っているとそこで、リオネルが私の顎を掴んで上を向けさせて、


「残念だったな。周りのみんなに証人になってもらった。これで言質をとったぞ、ルカ」

「そ、そんな……」

「さあ、“嫁”となったならば、これから一緒に冒険したり主席争いをしたりいろいろしような」

「いやぁああああああ」

「どうせならこうやって服をきて目立つのもいいよな、ルカも可愛いし」

「更にいやぁあああああ」


 リオネルが私をショーウインドーに飾られたマネキンのようにしようとしている気がする。

 このままでは私は……そう思っていたところで私はスールに手首をつかまれた。

 しかももう片方の手はセレンに向けられていて、


「さて、次は君達の番だよ」


 私は、悲鳴を上げながらスールにいずこかへと連れていかれたのだった。


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