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冗談めかして答えた

 顔色を変えたセレンが、プルプルと震えながら私を見て、


「な、何のことかわかりませんです、はい」

「もうネタは割れているので、素直に答えた方が身のためだよ」


 そうしたらそれも含めた保護も考えられるから、と続けようとした所、セレンがさらに体をこわばらせてガタガタと震えながら、


「知られてしまった、知られてしまった、知られてしまった……かくなる上は……」

「え、えっとセレン、どうも誤解しているようだけれど……」

「もう、もう、ここには私しかいない。私が一人で頑張らないと……“忘却の槌”」


 そこで何かを呟いたセレンが、どこからともなく大きなハンマーを呼び出した。

 私はその昔、機械はたたけば直ると言っていたが、あれはただの接触不良だからな~、と先生が話しているのを思い出した。

 だが他にも昔の漫画や、モンスターで戦うゲームで技を忘れさせる時には……と私が思い出そうとしたところで、


「この“忘却の槌”で殴るといくらか記憶を失います。……知ったのがいつ頃かはわからないけれど、でもいくらか記憶を消せれば……え?」


 そこで何かとんでもない魔法を使われそうだったので、その魔法自体を“解除”した。

 よく分からない魔法だったので、どんなものかを魔法で解析し、魔法自体に“介入”し“消失”させたのだ。

 ふう、危ない危ないと私が思っていると、


「な、なんで消失……Fランク魔法使い……の振りをしているのは知っていたけれど私の能力だって魔力的な意味で戻っていたはずなのに……」

「私は、いろいろな意味で戦闘慣れしているところもあるからね。でも正直に話してくれないのなら、力づくでいくしかないかな」

「! わ、私だって、可愛いルカなんかに負けないんだから!」

「……私よりかわいくて非力っぽいセレンに、私が負けるわけないじゃない」

「! 私の方がもっと強そうだもん!」

「! ……いいだろう、お前には絶対に負けない」

「私だってそう簡単にやられると思うなよ」


 そう言って警戒したように私を見るセレン。

 だが、そのような警戒をしようとも無駄だということをすぐに私は分からせるつもりで、叫んだ。


「“ステータス・オープン”」

「ふえ? えええええええ!」


 そこで、セレンの能力が現れた。

 ちょっと多めに今回は出してみた。

 光の板状に現れた情報。


 セレンが宙で犬かきをするように涙目で手を振っているがそんなものでこれは消えたりしない。

 そしてそこに書かれた情報を一通り読んでいくと、


「何々? “聖者”であり“いばら姫”の“回復”能力は危険なため何代か前の“いばら姫”から封印されている。“いばら姫の騎士”がそのカギを担う……なるほど、二つそろわないと発動しない形にしたのか。魔王候補が本当の魔王になってしまわないように。でもそうなると……クロスの方は大丈夫なのかな? ……まあいいや、とりあえず消えてね」


 そこで私はその表示を消す。

 そして、何が起こったのかというような顔で私を見るセレンが、


「本当に何なんですか、ルカは」

「うーん、変わった特殊能力チートを持っているのは君たちだけじゃないってことかな?」


 私がそう冗談めかして答えた所で、リオネル達がこの部屋に戻ってきたのだった。


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