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着せてくれるんだよな?

 リオネルの様子がおかしい。

 酷く落ち込んだような感じになって私の手を握りしめたまま寮の部屋に戻る。

 昔、私があの魔王候補の“生贄”にされそうになった時、リオネルも動けずにいたのが今更ながら思い出されて不安になったのかもしれない。


 こういう所はリオネルは可愛い気がする。

 今はもうあの時のような失敗は私はしないようにいろいろと準備はしてあるのにな……と思っているうちにベッドのある部屋まで来た。

 さて、そろそろ手を放してもらおうかなと私が思っているとそこで、私はリオネルに押し倒された。


「え? ちょ、リオネル……」

「……今日はルカと一緒に寝る。今日は放さない」

「うにゃ~、着替えてからにせめてしてください。服が皴になります。せっかく手に入れたのに……というか何をやっているんだ、リオネルは」

「今日はルカがまだ俺のそばにいるんだと思って寝たいんだ」


 そう返されてしまった私は、それ以上何も言えなくなってしまい……その日もまた、リオネルと一緒に眠ってしまったのだった。






 ぎゅうぎゅうと抱きしめられたリオネルに、何故か私がウェディングドレスを着ている夢を見てしまったがために、もう二度とリオネルとは一緒に寝ないと宣言した次の日。

 食堂に行く間、ずっと恨めしそうなリオネルの視線を感じていた。


 だがここで私が折れてしまえば、今朝の悪夢の“続き”を見てしまいそうで私はそれだけは御免こうむりたかった。

 そう思っているとそこで、


「おっはよ~、今日も二人とも放課後衣装部に来てほしいんだ。実は昨日の夜、ほかの先輩が素晴らしいものを仕上げてきてくれてね。なんでもうウェディングドレスをモチーフにした色違いの衣装なんだ」

「……今朝の悪夢はこれを暗示していたのでしょうか」


 眩暈のするような恐ろしい話を聞かされた私はそう返すと、スールが何の話と聞いてきたので、私はウエディングドレスを着せられた夢を見たと告げると、スールがちらりとリオネルを見ながら、


「おめでとう、ルカ!」

「! 全然おめでたくないよ! というか、もうリオネルも嬉しそうにしているしいっそリオネルにこのウェディングドレスを……」

「あ、いいかも。リオネルもそういった服を着たらすごくかわいい子になりそうだから何の問題もないよね」

「問題あるよ! 確かにリオネルは可愛いしそういった服を着たらきれいでかわいいと思うけれど……いやいやそんなわけない……」


 するとスールがちょっと黙ってから、


「……本当にそうなのかな?」

「何が言いたい」

「それはリオネルのウェディングもどきの姿を見たなら、そう言えるのかな?」

「……」

「リオネル~、今日はルカを悩殺するために頑張ってもらえないでしょうか?」


 そこでスールがそうリオネルに話を持っていく。

 さすがにリオネルはそれを受けないだろうと私が思っていたのは、甘かったかもしれない。

 リオネルは深々とため息をついてから、


「俺の美しさで、ルカが、普通の男になんて目がいかず、満足いかない感性に出来るなら協力する」

「話が分かりますね~。ええもちろんですとも。私の見立てが正しいことを証明して見せますよ。……そこにいるセレンも一緒にね」


 そうスールが言う。

 ちなみにすぐそばにいるセレンははまたクロスに袖にされたらしく涙目だ。

 そういえばもう少しセレンの能力に関してみたいんだよなと私は思いつつ、あとでこっそり話をしてみようかと考える。


 すでに私達はセレンの秘密を知っているのだから。

 そう私が思っていた私だけれど、食事をしたり授業を受けたりお昼休みなどもなんやかんやでセレンと話す機会がない。

 できれば繊細な話題なので、二人きりで話したかったのだけれどと私が思っていると、意外な時に機会が巡ってきた。


 それは衣装部に連れ込まれて、リオネルをとりあえずきれいにするよとスールが連れて行き、先輩たちもそちらにかかりっきりになる状況が出来上がってしまったのだ。

 だから私はこっそりセレンに、


「セレンの“いばら姫”としての能力で回復というものがあるらしいけれど、その能力って今、セレンは持っている?」


 その問いかけに、セレンはさっと顔色を変えたのだった。


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