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衝撃の事実

 さて、それから学園長室にやってきた私達は、先ほどの本の内容と推察について述べる。

 それを聞いたクラウドが呻いた。


「破片からも再生か……それを応用してどこまでできるのかが鍵だな。確か、魔王をよみがえらせるのにも使える“花嫁”だったか」

「そうらしいです」


 私は頷きながら答えて、次にリオネルの方を見てクラウドが、


「……魔王をよみがえらせるのに“生贄”が必要なのは……どうしてだか、知っているか?」

「? 魔力などが必要でよみがえらせるのには、“勇者”の血統といった魔王の興味がそそるものが必要だとかなんとか……」

「それもあるが、魔王になるためにはそのままでは“足りない”ものがあるという話がある。それを補うために彼らは“生贄”を欲しているらしい」

「足りないもの……“勇者”似合って他の人にないものというと、魔力と才能くらいのような気が」

「その才能も、“特殊な能力”で彼らの魔王化に必要なのかもしれない」

「そうなのですか。でもだとすると私の場合はどうなんでしょう? 異世界人で、特殊能力チート持ちなのですが」

「異世界のものだとうまく組み込みができないんじゃないのか? というか試そうとしたような奴はいなかったのか? 前に一回魔王候補にリオネルと一緒に、おとり作戦と言って連れていかれたことがなかったか?」


 クラウドの言葉に、そういえばそんなことが以前あった気がするなと思い出した。

 確か伯爵家の令息がそういった輩に連れ去られて、たまたま近くに旅行でいた私達がおとりになって潜入して……その時私が魔王の“生贄”にされかかったのだ。

 あの時はいつも笑顔で余裕のあるリオネルが必死になって私を呼んでいて。


 実の所あの時はへまをしてしまい、ところどころ私は記憶がない。

 リオネルがすごく怒っていたような気もする。

 そしていざ、私がその“生贄”にされそうになった時……その魔王候補の悲鳴を聞いたのだ。


 確か、『“闇に喰われる”』と言って半狂乱になりかけていた。

 そういえばあの時の魔王候補は逃がしてしまったのは今でも心残りだ。

 けれどリオネルがその後しばらく私から離れなかったり心配してくれた所はとても可愛かったので役得だった。


 あのころはまだリオネルの身長だって……。


「どうしてこんなにリオネルは大きくなっちゃったんだろう」

「ん? リオネルの身長がどうかしたのか?」

「いえ、なんでもありません」


 慌ててクラウドに私は答えて、また、以前あった出来事を話す。

 そこでクラウドは呻いた。


「異世界人のルカは、異世界人だからかその特殊能力チートの影響で、うまく取り込めないのかもしれないな。もしくは……」

「もしくは?」

「“何か危険なもの”がルカにはとりついている」

「……え? き、危険なものって一体……」

「さあな。異世界人を呼び出せるその魔道具も実の所よくわからない品物でな。ルカは行ったり来たりできてよかったが、その呼び出す人間の選定も含めて……実際の所よくわからないんだ」

「いまさらながら私は衝撃の事実を聞いた気がします」

「そうだな。それで一通り話したから……リオネル、ルカを連れて行っていいぞ」


 そこでクラウドに言われて、やけに落ち込んだようなリオネルに連れられて私は部屋に戻ったのだった。


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