はいはい、あーん
幸せそうに鍋を食べているイリスさんに、クラウドがお願いをして食べさせてもらったりという(イリスさんは自分の行為に気付き顔を赤くしながらプルプルして、けれど食べさせた時のクラウドの笑顔に魅入られていたりと、中々な光景が目撃された)光景の中、何故かスールも恋人のエルフに食べさせたり、セレンも必死になってクロスの口に突っ込んで……クロスがもごもご言っていたが、きっとこれも“愛”の形なのだろう。
だから私も普通に自分でお肉をとって食べるのも、いいことではないかと思うのだ。
うん、自分の文は自分で調達、それは正しいはず。
私はそう言い訳しながら、鍋から、ポン酢のような美味しいタレにお肉を付けた。
あとは食べるだけだった。
栄養バランスも考えて野菜も一緒にいただくために、一枚白菜のようなものも手に入れた。
そう、あとは私も食べるだけなのだけれど、
「……リオネル、なんでさっきから私に訴えかけるような眼でじっと見つめるのでしょうか」
「……」
「……こ、言葉で言わないとわからないじゃないですか。私はリオネルの思考は読めないし」
そういうとリオネルが私をじっと見て、
「ルカなら俺の頭の中を読んでくれてもいいよ。もちろんルカには責任はとってもらうけれど」
「な、何の責任を取らせる気なのですか!? くう、こうしてなし崩しに私はリオネルに、新たなステージに連れていかれてしまいそうな気がする。こうなれば……はい、あーん」
「あーん」
リオネルが口を開けて、それを食べる。
幸せそうでとてもおいしそうだ。
だがこうやって食べている間は、リオネルは私を、周りの人たちに、実は一見地味な石ですがこれは素晴らしい石なのですといったような紹介をされなくて済むのだ。
静かにひっそり道端に転がっている石になるためならば、私はこの程度問題ない!
よくリオネルはこれを要求してくるし周りもそうなので私にしてほしかったのだろうけれど、私は、私は……やはり目立ちたくないのでこちらを選択しました。
そこでリオネルが私に向かって肉を差し出してきて私はそれに咥えつく。
もぐもぐもぐ。
とろりと口の中で油がが解けてうまみが口いっぱいに広がって……。
「お、おいしい、こんなお肉初めて」
「それは言いすぎなような……でもおいしいな。お代わり」
「はいはい、あーん」
というわけで更にリオネルに食べさせたりしているうちに、ちらちら他の人達が私達を横目で見ている気がした。
でも私が見ると視線をさっとそむけるのでそれ以上は聞かないことにする。
それから中を食べてしまった後はご飯を入れて雑炊に。
それも美味しいもので私達は満足しつつ、結局料金は皆で割り勘となり、おいしい食事は終了したのだった。
ちなみに食事が終わるとすぐにクロスはセレンから離れて行ってしまい、セレンは悲しそうだった。
それをスールが慰めたりしているのを見送りつつ私は、ちょうどイリスさんとクラウドがいたので、先ほどの図書館で手に入れた情報を話すことにしたのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。