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排除すればいいか

 私は、探していたもの(かもしれない)本を手に入れた!

 後はここに書かれている内容を調べていくだけだ。

 ただ一つ気になるのは、魔王と勇者と聖者たちの秘密である点。


 魔王と戦った時の事であるなら、すでにリオネルたちが知っていそうな気もする。

 でも秘密って何だろうというのはある。

 とりあえずその本を借りて中身を読んでみようといった話になる。


 そして貸してもらうとすぐにスールが、


「うむ、二人の邪魔はしない方が良さそうだから、移動しよう」

「スール、俺ももう少し伝説の魔法使いの本を読みたいんだが」

「……本にばかり夢中で私に夢中じゃない」

「俺もレポートを書かないといけないんだ」

「あ~、それは大変かも。お手伝いする?」

「じゃあ二冊一緒に本を……」


 といった会話をしている二人を見ながら、私は違和感を覚えた。

 それが一体何なのか、すぐに私は思い当たる。

 そう、スールがあまりにも“普通”過ぎるのだ。


 私をあんな格好をさせようとしたりといった斜め上の方向への突っ走りがどうも無いようだ。

 どうしてだろうと私は思ってからすぐに気づく。

 そう、それは恋人の前だからだ。


 確かに話題を出したりしたけれどうまく流されて、それ以上はどうこう言っていなかった気がする。


「なるほど、そうか」


 私は一人頷く。

 つまりスールの場合はこの恋人であるエルフを巻き込めば私の方には何も来ないと。

 そう私が一人で納得しているとそこでスールが、


「どうしたの?」

「何でもないです」


 そう私は即座に答えてスールと別れて、リオネルと一緒に借りた本を読んでみることにしたのだった。

 









 その本棚の階がある場所にある机と椅子は空いていた。

 というか私達以外、誰もいなかった。

 静かな場所で私達は本を読むことになった。


 隣同士に座って、中の内容を読んでいこうとしたけれど、


「ルカと昔一緒に勉強したときみたいだ」

「そういえばそうだね。私が一緒に居るとリオネルが逃げないと聞いたような。そして成績もよくなると言って一緒に勉強させられたんだよね」

「常に俺はルカに勝利したかったんだ」

「私もリオネルに勝利したかったから、頑張ったんだよね」

「俺達はお互い、負けず嫌いだな」

「本当だね。……しかし今回は、その他のモブでありエキストラ要員となるべく私は頑張ります」

「モブから生まれたヒーローは皆の印象に凄く残るだろうな~」

「すべての功績はリオネルの物にしておけば問題ない。うむ」


 そう私が言うとリオネルがポツリと、


「……でもルカが目立たないって事は、ルカの魅力に誰も気づかないって事なんだよな」

「確かにそうなるね。それがどうかしたの?」

「俺が独り占めできる。だって、魅力的なら他の人のお誘いが沢山あってそっちにルカが言ってしまうかもしれないし。俺の俺だけの“相棒”にしたままでいられるなって」

「うんうん、だから私の事は目立たせないようにしてね」


 これは良い方向の話だと私が思ってそう答えるとリオネルが少し黙ってから、


「でも誰かがとりに来たら排除すればいいか。目立つくらいの方が俺が楽しいし」

「そんな~」

「それより早く本を読もう」


 私は薄情なリオネルにそう言われてしまったのだった。


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