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いつまでそこで

 さんざんリオネルに弄ばれて、はあはあしていた私。

 そんな私とは対称的にリオネルは輝かしい笑顔を浮かべていた。


「ごちそうさまでした」

「なにがだ! はあ……それでセレンはこういった魅了が結構、効果を発揮していたのかな?」


 そこで私は息を整えてそう聞くとセレンが頷き、


「はい。それでその……襲われたりして、でも、いつもクロスが守ってくれていて……」

「この能力ってそこそこ大人になってから発現するのかな?」

「はい、私は13歳の時に目覚めました。でもそれまでもクロスとずっと一緒にいて、魔物に襲われそうになった時も守ってもらったりしたかな」


 懐かしそうに笑うセレン、それを聞きながら私は、


「それで、その、思い出させて申し訳ないけれど、その魔王になりたい人物にさらわれたってどうして? だって隠れ里みたいな場所にいたんでしょう?」

「そこまで知っているんだ。……ちょっと色々あってあの時イズヤにクロスが私から離れたがっていると聞いて……それで、ちょっと困らせてやろうと里の外にでたのだけれど、その時たまたま魔王になりたい人物に攫われて。私は“聖者”だから殺さないって言っていたかな。“勇者”なら殺して“贄”にするとか何とか」

「その人物はどうなったの?」

「私の救出が中心だったから、逃してしまった。でも随分沢山の人達が関わっているように見えて……未だに私を狙っているみたいで、時々襲われたりしていたから、里にいろって、クロスは怒っているんだ。実際に襲われたしね。でも……私はクロスのそばにいたいんだ。これは私のわがままだけれど」


 ポツリとセレンは呟いて、苦笑した。

 クロスが好きすぎて追いかけてしまったらしく、それは周りの迷惑を差し引きしても我慢できないようだった。

 それを聞いていた私はそれ以上何も言えないが、ただひとつ気になるのは、


「その魔王候補、未だにセレンを狙っていたりする? そしてあんな感じの攻撃をする?」

「そうですが、それが何か」

「魔王候補と称する連中は、たいてい独特の“癖”のようなものを持っているんだ。だからそうなんだね。でも、随分沢山の人達が関わっている、か。魔王候補同士が手を組んでいたら、厄介だね。……そのあたりも後々調べていこう」


 私はそう呟く。

 だってそうしないと私の大切なリオネルが大変な事になるかもしれないのだ。

 それに今の友達のセレンが危険な目にあっている。


 更に付け加えるならあのリオネルの兄であるクラウドがここに来ているのも関係しているかもしれない。

 探さないといけないことがあるなと私が思っているとそこでスールが、


「なんか、大変なことになっている気が」

「あ、今のは聞かなかったことにしておいてもらえると嬉しいな。……せっかくだからこれを上げるよ。以前試しに作った防御用のお守り」

「……とりあえず貰っておきます。私も何か巻き込まれるのかな? でも巻き込まれたらシヴァンに助けてもらえそうだから良いや。あ、そういえば私、シヴァンを探しにここに来たんだった。じゃあね~」


 そう言ってそこでスールが特に深く聞かずに去っていく。

 それを見送ってからセレンが、


「……今日は、ありがとうございました、ルカ。私も探しものがあったのでそれをこれから見に行きますね」


 そう言ってセレンも去っていく。

 それらを見送ってから私は、


「それで、クロスはいつまでそこで私達を見ているつもりなのかな?」


 私の声に合わせるように舌打ちが聞こえて、クロスが私達の前に姿を表したのだった。


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