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封じる

 リオネルが不機嫌そうに私に抱きついてきた。

 しかもそのまますりすりと顔をこすりつけてきて、私の前側に回した手で私の体を、もぞもぞさせてくる。


「リオネル、どうしたの」

「……何だか無性にルカに触りたくなった。あと、セレンを見ているといらだちを覚える」

「? そうかな。何となくだけれどセレンが前以上に綺麗にはなったような、いい匂いがするようだけれどそれだけかな」


 私がそうリオネルが答えるとリオネルが小さく呻いて、


「……俺よりもルカの方が“強い”のか?」

「何が?」

「……ちょっと苛立ったからこしてやる」

「ふえっ、くすぐるな、あひゃひゃ!」


 そこで私はリオネルに脇やら何やらをくすぐられて変な声を出してしまう。

 そんな私の前でスールがふらぁとセレンに近づいて、セレンの手を握り、


「セレン、この怪しい魅力でこの学園中の男を虜にするのです。そ。して、真の“逆ハーレム”を完成させるのです」

「え、えっと、スールどうしたの?」

「今私は新たな才能に出会ってしまった……これはこの学園のトップアイドルにしなければならない逸材、はあはああはあ、こんなものに出会えるなんて……」


 スールがおかしい事になっている。

 それにリオネルの状態もちょっとおかしい。

 だから私は自分の方に掌を向けて他の人達には見えないようにして、


「“ステータス・オープン”」


 簡易的なステータスを見ることに。

 魔力などの能力は……以前よりも桁違いに上がっているがそのあたりの値は、私やリオネルたちのほうが大きいし、それほどまで重要ではないのでそのあたりは適当に読み飛ばして……。


「特殊能力・魅了の香り。本来以上に魅力的に見える能力。また周囲の人の“好意”を増幅する。例えば好きな相手に余計にくっついたりなどのスキンシップが増える」


 それを見ながら私は、スール、よっぽどセレンが気に入っているんだなと思った。

 でもこれなら、スールに恋人がいたらそちらにいってしまいそうだと気づく。

 ただスールに恋人がいるのかは分からないが……。


「でもどうしてリオネルはこんななんだろう。セレンには魅了されないみたいだし……仕方がない。セレンのその辺りの能力は封じさせてもらおう。セレン、魅了っぽい能力は封じていいかな?」


 そこでセレンに私がそう声をかけるとセレンは驚いたように、


「そんなことが出来るのですか!?」

「うん。それでかまわないかな?」

「ぜひ!」


 セレンが目を輝かせて、私にそう言ってくる。

 もしやセレンもこの能力を持て余していたのだろうか?

 そんなふうなことに私は気づいてしまったけれどこのスールの状態を見ていると、


「早めに押さえたほうがいいね。ほらっ」


 特殊能力チートを私も使う。

 それは一瞬で収まり、スールはあまりにも突然何かが変わったように見えて不思議そうに周りを見ている。

 どうやら能力の効果は切れたらしいと私が安堵しているとそこで、


「ふぎゃあああ」

「……魔法も使い終わったしやってしまえ」

「ま、まって、セレンの影響で……」

「甘くていい匂いがした気がしたが、気のせいだった。そもそも俺よりもルカが余裕なのが気に入らないし、俺に抱きついてこないのも気に入らない。こうしてやる」

「ふぎゃああ」


 そこで私は、何故かリオネルに体を触られたりくすぐられたり先ほどよりもひどくされてしまったのだった。


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