表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/85

一瞬でそれは終わった

 私が最弱でないことがばれてしまう、その危機に私は苛まれて必死で抵抗していたら、セレンに気付かれてしまった。

 セレンはどことなく顔がこわばっているように見える。


「……いつからいたの?」


 それに答えたのは、スールだった。


「壁ドンされていた時からかな。何だか痴情のもつれ? ぽく見えたけれど違うの?」

「……違うよ。彼は“私”が好きなんじゃなくて、私の“力”が好きなだけなんだ」

「あ……そうなんだ……」


 スールが察しというかのようにそれ以上聞かなくなるけれど、そこでセレンは困ったように、


「話、全部聞いていたんだね。私、魔力とかそういった能力が“低い”って事になっているから、今の話を聞かないと納得できないと思うんだ」

「え、えっと……」

「記憶を消す魔法、今の私は上手くいくか分からないけれど、ごめんね」


 そう言ってスールが手を伸ばすけれどスールはササっとそれをよける。

 さらにそれをセレンが追いかけてを繰り返して、


「今回は黙っているからやめてよ~」

「信用できないよ」

「そんな~、見ていないで、ルカとリオネルは助けてよ~」


 そこでスールが私達に助けを求めた。

 私はどうしようかと迷って、セレンに向かって、


「一応、“いばら姫の騎士”関係の情報もいくらかは、私達も持っているんだ」

「……え?」

「だから言いふらしたりしなければ、その話は出てこない状況だけれど、どうする?」

「な、なんで……い、いえ、もしかして、適当に言って……」

「“いばら姫”と“聖者”の関係と言っていいかな」


 そこでセレンが凍り付いた。

 どうやらこの辺りで理解してもらえたらしい。

 スールが興味津々といったように私を見ているが、そこでリオネルがスールに、


「スール、この話は絶対に内密に。でないと、今まで以上にセレンが危険にさらされる」

「それはこの前の演習のようなあの人達が襲ってくるって事?」

「そうなる」


 リオネルのその言葉にスールが小さく呻いた。

 これは結構重大な秘密を知ったのではなどとブツブツぼやいている。

 それにセレンは今、魔法がある程度使えなくなっているらしい。


 以前攫われた時の件が絡んでいるらしいと話していたけれど……と私は思いながら、とりあえずセレンの能力を“回復”させることにした。

 だから私はセレンに、


「セレン、ちょっといいかな」

「……何でしょう」

「セレンの能力を“回復”させたいから、こっちに来てもらえるかな」

「え?」


 そこで不思議そうな声をセレンが上げた。

 でも私としては、


「能力が回復したら、一応はいくらか自分の身は守れるんだよね?」

「それは、まあ……」

「じゃあそうなればいいのかな。治すからこっちに来てね」

「え?」

「……面倒だから私がいくね」


 私はそう言ってセレンに近づき能力チートを使う。

 一瞬でそれは終わった。

 ふわりとセレンから甘い花のような香りを私は感じたけれどそこで、リオネルが眉を寄せた。


「見ていると、“不愉快”だ」


 そう言って、リオネルは私の背後に周り抱きついてきたのだった。


評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ