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何か大変なことに巻き込む気ですね!?

 ここに来たのは何か話があったのでは?

 そうイリスさんに促され私は、


「“いばら姫の騎士”というのをご存知ですか?」

「……そう言えばクラウドが、これは“勇者”の家系に伝わる秘密なのだが、と以前語っていたことがありましたね。……アイツ、本当に私をどうするおつもりなのか」


 そう、クラウドの事を“アイツ”呼ばわりしてから疲れたように嘆息する。

 だがその“どうするつもりなのか”の下りは多分、“花嫁”にするつもりで狙っているのでは……と私は思ったが、以前、一度口に出した時、私はこのイリスにお仕置きされそうになり……いや、よそう、それに関しては触れてはいけない。

 人間生きていくうえで必要な処世術なのだ、と私が思っていると、


「その話は置いておきましょう。……リオネル様もその話は知らないのですか?」

「そう言えばそうだな。……聞かない方がいい話なのか? 俺は少なくとも現在は、王位は継がない予定だからな」


 困ったようにリオネルは呟く。

 けれど、王様になる人間だけが知ることのできる特別な話というものもあるらしい。

 それに関しては、王室の暗黙のるーっるであるのでリオネルも手出しできないのだが……。


「もし重要な話なら、私などに気軽に話したクラウド殿下には“お仕置き”が必要かもしれません。一週間ほど“お預け”もセットで行いましょうか」

「それは困る!」


 と、そこで天井からクラウドが現れて部屋の中に降りてきた。

 何でも以前私が持ってきた漫画のNINJAが気に入ったらしく、最近はそうやって諜報活動できる能力を身に着けたらしい。

 もっとも、時々イリスさんに、もっと王子らしくと怒られていたが。


 そこでイリスさんが、


「なるほど、もう“復活”出来ると。ではもう少ししてもかまいませんね?」

「! ま、まて、もう少しやさしくお願いします」

「私が優しくできるように行動を慎んで頂ければそうします」

「そうすると、イリスが“相手”をしてくれないから、それは仕方がないな」

「……それで、天井裏に潜んでいたなら、話は聞いていましたね?」

「“いばら姫の騎士”だろう? それはリオネルといった王族なら話しても構わないだろう。そちらの、英雄君にもな」


 と、クラウドがにたりと私を見て嗤った。

 だがここで私は、このクラウドのその意味に気づいてしまう。


「な、何か大変なことに巻き込む気ですね!? 私は、私は、丘の上でひっそりと咲く小さな花のように気付かれない場所で咲きたいのです!」

「あ、それは無理だ。それで“いばら姫の騎士”は、単に“いばら姫”と呼ばれるその昔勇者と戦った“聖者”の末裔を守護する騎士だ。その“いばら姫”という“聖者”は“魔王”といった凶悪な存在を呼び出す“生贄”や貢物の“花嫁”として最適らしい。ちなみにその“聖者”はある一族の中から生まれて、それを守る“騎士”がいる、それが“いばら姫の騎士”だ」


 私の希望をあっさりと否定し、説明をし始めたクラウド。

 だがそういった設定? に私は疑問に思う事がある。つまり、


「……魔力の影響? か何かなのに、それで“花嫁”が選ばれるのですか? 好みとかってないのかな……」


 ふと思いついたのでそう呟いてみると、そこでリオネルが楽しそうに、


「俺だったら、ルカが貢物で出されたら、『遊ぼう~』って出てくる気がするな」

「……その光景が容易に想像できちゃうのってどうなんだろう」


 私は、口をへの字に曲げてそう呟いたのだった。


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