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油断が命取りなんだ

 “いばら姫の騎士”、それにロア先輩は反応した。

 もしかして何か知っているのだろうか?

 セレンたちが戻ってくるまでに、話を聞ければと思っているとそこでロアが先程気絶させたワイズに、


「おい、ワイズ。起きろ。この前の資料に関して聞きたいことがある」

「……ロアがキスしてくれないと、起きない」

「……そこの二人。あっちを向いていてくれないか?」


 ロア先輩が、私達に入口の壁の方を指差す。

 確かにそちらの方を見ていれば、ロア先輩達の方は見えない。

 そう思っていると何者かが飛び起きる音が聞こえて、


「よし、これからはこの方法で行こう! そうすれば。ロアは俺にキスしてくれる!」

「やはり、物事は暴力で解決しなければならなかったようです。人間とは悲しい生き物ですね……」

「え、ちょ、え?」

「……それでワイズ、お前、この前“いばら姫の騎士”がどーのこーのといっていたな? 私は適当に聞き流していたが、今気になったから聞いた」

「……ロアはいつだって俺の話を聞き流す……」

「ワイズ。その話を私にした時君は一体、私に何をしたか覚えているかな?」

「あ~、えっと、それで“いばら姫の騎士”だったか。この前、この学園に残っている稀覯本の一つ、秀才と呼ばれた魔法使い、ガドの残した旅の記録のようなものにその名前があったな。ただ、ガド本人も本当にそんな人物たちがいたのかどうか、不明、夢を見ていたのかもしれないと言っていたらしい。しかもその後再びその場所を訪れると誰もおらず、周りの村と言っても離れた村に行っても、その村の話は聞いたことが無いと言われたらしい。そういったおとぎ話のようなものでいいなら話せるが、それでいいか?」


 そう、ワイズは言うので私は頷き、


「はい、その方がいいです。よろしくお願いします」


 お願いする。

 するとワイズはう~んと小さく唸り声を上げて、何かを思い出すようにしてから、


「その村は、“いばら姫”と呼ばれる特殊な能力者を守るために作られているらしい。なんでもその“いばら姫”は、“眠りと再生”を司っているとかなんとかで、ガドという魔法使いがちょうど戦闘で左腕を失うも、その“いばら姫”によって再生させられたとかなんとか。もともとは“魔王”を封印したり治療したりする能力であったのではと言われているな。また、“魔王”復活に使えるとか“贄”とか……そのあたりは、この国の王族たちである“勇者”の末裔にも言えるかな。これぐらいしかまだわからない」

「ありがとうございます」


 私はお礼を言う。

 そして考える。

 ワイズからそう説明を聞いて私は、それが“正解”ではないかと思う。


 でなければあの、“魔王”になりたいという私欲のために動くものたちが、セレンを狙わないと思うのだ。

 けれど現実に今日セレンは狙われていて、私達が撃退した。

 そして“贄”として言うならリオネルやここにいるリオネルの兄も危険なのだ。


 どうする? 敵の実態の把握を早めに開始しなければ、と私が思っているとそこで離れていったロアとワイズを見ながらリオネルが小さく呟く。


「俺が“贄”になるわけ無いと思うけれどな」

「その油断が命取りなんだ。まずは情報収集かな」


 私がそう呟いた所でスールとセレンが帰ってきたのだった。



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