生足~
制服さえ手に入れれば私はこんな場所に用はない。
確かに私はリオネルが着飾った姿は見たい。
だがそれよりも優先されるのは、私に可愛い服を着せようとして来ない事なのだ。
だから私は、この恐ろしい場所から一刻も速く逃走すべく、その場で踵を返したのだが。
がしっ
強い力で手首を握られる。
何者だ! などと聞かなくても分かる。
私はゆっくりと私の手を掴んでいる人物を見ると、リオネルだった。
「は、放してぇええ」
「今更逃げられると思うなよ、ルカ」
「いやぁああああ」
「あ、先輩。往生際の悪いルカを先に着替えさせますので、服をお願いします」
リオネルの薄情な声に、ロア先輩が、『あ、ああ……』と答えていた。
そこは断って欲しかったように思う。
そうこうしているうちに私は、ロア先輩に案内されて、涙目になりながらリオネルに連れていかれた。
「これはなかなか可愛い衣装が沢山。目移りしますね」
「……そっちのルカだったか? 可愛いからどれを着せても良さそうだね」
「そうですね。……これなんてどうでしょう」
そう言って取り出した服は、白いフリルがスカートやら何やらにふんだんにつけられて、所々に青と赤の線が入ったリボンが飾られているワンピースだった。
なんて破壊力の高いものを……と私が凍り付いているとそこで、そばの壁にリオネルが私を押し付けた。
壁ドンのような形になったかと思うと、リオネルが私の服に手を出す。
「や、やだ、脱がさないで、ヤダぁあああ」
「そんな風に叫んでも無駄だ。ルカを助ける人間はここには誰もいないぞ~。まずは俺のかしたローブからな」
「おに~、あくま~、けだもの~、リオネルの変態!」
「変態……ルカにそう罵られるのもちょっとドキドキしました!」
そこで嬉しそうに私にリオネルがそう言って私は、リオネルが本当に変態になってしまうと焦った。
だって私の中では可愛くて繊細なリオネルのままなのに!
何てことだと思っている間に、リオネルが、ローブは返してもらったから後はよろしくと出て行ってしまった。
リオネルさえいなければ私はいくらでも逃げられる……などと思っていると、スールが先ほどリオネルが気になっていた服をもってきて、
「逃げる前にいきますか」
「いやぁあああああああ」
私は悲鳴を上げる間もなくスールに着替えさせられてしまう。
ふわふわのスカート……そんなうちしがれる私には、さらなる悪夢が待っていた。
「さて、ルカの生足~」
「や、やめ、そんな、ニーソをはかせようとするな……」
そのまま濃紺のニーソを丁寧にスールがはかせてきたのだった。
評価、ブックマークありがとうございます。評価、ブックマークは作者のやる気につながっております。気に入りましたら、よろしくお願いいたします。