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衣装部へ

 衣装部に直行……。

 あまりの恐ろしさに私が凍り付いている所で、リオネルが私の手首を強く掴んだ。


「ふう、こうやって掴んでおかないとルカは逃げるからな~」

「は、放せぇええ」


 私は必死にその場から逃げようともがいたが、リオネルの私を掴む手は強くて逃げられない。

 だがこのままでは……。


「いやだ、可愛い服を着せられてしまう予感がする!」

「……いや、その前に切れそうな制服探しだ。俺のローブで隠れているとはいえ、さっきのスライムで肌が露出しているし。そっちのスールは服はほぼ全て無くなっているから制服は着ていないし、セレンだって一部制服じゃなくなっているだろう」


 リオネルに言われて今更ながら私は、その惨状に気付いた。

 こんな状態で歩き回るのはよろしくない。

 それにリオネルのお兄さんの件で制服作りが難航したらしく、替えの制服が私達には渡されていない。


 だから衣装部で代わりの物を作ってもらうのが一番いいのだ。

 でもそちらに行ったら最後。 

 私はまた昔のような目に……。


 おのれ、スライム!

 存在自体が許せない、そう私が震えているとそこでリオネルが、


「でも同じくらい倒したから、俺とルカの二人が御着替えなんだよな」

「! なんですと、リオネル様も!」


 そこでスールが気色を帯びた声を上げた。

 ハアハア言って今にも襲い掛からんとするように私を見ている。

 まず、これはまずい。


 私は今、スールに“獲物”として認識されている。

 このまま衣装部に連れ込まれてしまったなら、私は、私は……。


「嫌だ、放せ。いやだぁあああ、誰かぁあああ」

「往生際が悪いな、ルカは。……俺にどんな服を着せるか考えてみたらどうだ?」


 そこで呆れたようにリオネルがそう言って私は、はっとしてリオネルを見た。

 昔から綺麗なリオネルが好きな服……そう思っているといつの間にか歩き出していた私は、気づけば衣装部の部屋の前に連れてこられていた。

 そういえば今は授業が途中で切り上げになったので、部室には誰もいないのではと私が思っていると、二人ほど男女がいて……。


「あ、ロア先輩、ワイズ先輩、おはようございます。今日は自習ですか?」

「……うん、そうだけれどもう少し待ってもらえないかな。今ようやくロアを押し倒せそうだったわけだし」

「わかりました~」


 スールがそう答えると同時に、ロアと呼ばれた人物がワイズという押し倒している方の男性に蹴りを入れたのだった。






 ワイズという人物が伸びている間、ロアというようなきれいで優しそうな先輩が私達の前にやってきて、


「制服がボロボロだね。スライムにやられちゃったのかな? 初めての実習だとそういう事ってよくあるよね。……スライムに襲われても放置しやがった馬鹿もいますけれどね」


 にこにこと微笑みながらロワ先輩は私達に、何かを要求することなく、普通に制服を渡してくれた。

 いい人だ、そう私が感動しているとそこでスールが、


「それでロア先輩、実はこの三人新入部員なんです。なので衣装を見せて頂いてもいいですか?」


 などと余計な事を聞いたのだった。



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