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その剣は私には届かない

 素直に話してくれなそうな相手。

 だから私は、力技で解決することにした。


「こうする。“ステータス・オープン”」


 現れたのは薄く水色が勝った光の板だ。

 そこにはこの世界の文字で(何故か私は読める)、このクロスという人物の情報が描かれている。

 それによると、


「クロス・スカイリーフ。本名。“いばら姫の騎士”。“守護の剣”。魔力は体力などが結構高いね。剣士としての能力も一級以上……普通にこんな学園に通うようなレベルじゃないね。わ~、特殊能力チートは“空間転移”と、“対象共感”能力。どっちも珍しくて貴重な能力だね。へ~、ふむふむ。ほかにもセレンがす……」


 私が延々と能力を読み上げると、目の前のクロスは私を睨みつけて剣を鞘から抜いて私の前面、けれど私の首のすぐ近くに切っ先を向ける。

 あともう少し動けば私の首から血が流れるだろうという至近距離。

 しかも、躊躇いすらないのか、剣は微動だにしない。


 剣の扱いと戦闘に慣れているなと私が思っているとそこでクロスが、


「何故、怯えない」

「うーん、君にその気がないからかな。私を脅かすだけ、君は今そう思っているみたいだ」

「……俺が本気を出せば今すぐに、お前の頭と胴体をお別れさせることが出来る。なのにそっちの……リオネルもとめはしないのか」


 そこでちらりとリオネルの方を見るクロス。

 それを聞きながら私は、


「リオネルのことは知っているんだ」

「ああ。異常に能力の高い人物、しかもこの見かけで目立たないはずがないだろう」


 言い切ったクロスに私はなるほどと思う。

 確かにリオネルのこの容姿と能力は、印象的で忘れられないだろう。

 リオネルは可愛くて綺麗で格好いいから!


 と私が心の中で頷いているとそこでクロスが私の方に目を移し、


「そしてお前も調べた。ルカだったか。普通の村人という事になっていたが何者だ? 剣を向けられて飄々としている所も、この妙なすてーたす? だかなんだかの見抜く能力も、普通の村人の物ではないな」

「うーん、その様子だとそこに書かれている内容は正解のようだね。もっともこの魔法は今まで不正解であったためしがないけれど」


 そう答えると更にクロスは警戒を強めたようだった。と、


「お前は一体何者だ。正直に答えろ。でなければ俺も……本気を出す。死にたくなければ答えろ」

「私の方が君よりも強いから、その剣は私には届かない」

「! 馬鹿にしているのか!」

「事実だよ。そして今目の前でこの剣を私は粉々に砕く方法を知っている。どうする?」


 そう問いかけるとクロスが嫌そうに手を引き……剣を収めた。

 これでもう少し話し合いのようなものが出来ればと私が思っているとそこで、


「お前は怪しい」

「そうかな?」

「最弱のFランク魔法使いとは思えない」

「……私は最弱で、その他大勢のモブで雑魚です、はい」

「……馬鹿にしているのか?」

「いえいえ、本当に私はただの一般人で村人Aな、同じような説明しかできないような説明役です、はい」

「……何を言っているんだ? そんなに最弱でいたいのか?」

「はい、平穏な学園生活を私は過ごしたいので」


 そう返すと、クロスが変な顔になったのだった。



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