試験を受けに行きました-1
こうして私はこの学園の試験を受けることにした。
まずは魔力などいくつか測定するらしい。
「ギルドの方が確か、もっと測定項目が多かったような」
「そうだな。でもたまにギルドに、不正な数値を入力させる輩が出るから、こういった試験でももう一度測り直すらしいぞ」
「そうなんだ。でもどの程度正確なデータが出るか、ギルドの方でも登録してみようかな。この機会にギルドカードも作ってみたい」
私は、この世界で初めてとなるギルドカードに胸が躍る。
といっても能力を私は知らないというわけではない。
“ステータス・オープン”で私の能力は分かるし、他の人の能力も分かってしまう。
けれど能力数値の精度などそういったものも気になるが、それ以外にも私はこのギルドカードに魅力を見出していたのだ。
と、そこでリオネルが、
「ルカが作るなら俺も作ろ~。能力は隠しておいた方がいいって言っても、王子同士密偵が全部聞き出しているから意味がないと思うんだよな。俺だった他の人の能力を知っているし」
嘆息するように呟いたリオネル。
リオネルが二番目に王の地位に近い。
但し所詮は二番であるので、このように私と気楽に遊びまわっているというかこんな辺境にまで来れたりする。
ちなみに一番王位に近いのは、リオネルの兄であるクラウドだ。
ただあのクラウドさんは歳が少し離れているせいで、リオネルを猫かわいがりしているというか遊んでいるというか……それに私が巻き込まれているというか。
とはいえリオネルも王位継承権の序列が上の方である王子なので、暗殺未遂や他の王子とのごにょごにょもあったりした。
その内の約80%ほどは私が踏みつぶしたが。
昔は本当にリオネルは可愛くて、私が守らないとと思ったのだ。
だからお姫様を守る“騎士”のつもりで私は頑張ってしまった部分もある。
だがよくよく考えてみるとリオネルの潜在能力も含めて、果たして私がそこまで頑張る必要があったのだろうかと思えて仕方がない。
ただ、それらは過去の事で、今は特に考える必要はない。
今は前に進むのみ。つまり、
「近いうちに私、ギルドカードを作ろう。そうすれば堂々と依頼を受けられるしお金だって稼げるし」
「あー、確かにお金は稼げるな。非合法の所に物を売ったりしなくて済むか」
「そうそう。ギルドを通さないわけにはいかないから別の人を立てたりとかね。仲介料で半分取られたりとぼったくりの所が多かったから、それはいいよね」
「よし、今は止める人もいないから、試験が終わって……確か当日結果発表だったか」
「そうだよ。人数が少ないかららしい。で、明日が休みで、明後日から学校が始まるんだったったはず」
「なるほどな~。よし、そうしよう。あ、所で俺、泊まっている部屋は二人部屋なんだ。ルカが来るかと思って」
「そうなんだ、じゃあ私、他の宿を取って……」
やっぱり少しリオネル離れはしておいた方が良いだろうと私は思った。
だがそこでリオネルが今まで一番いい笑顔で、
「仕方がないな。試験が終わったら俺がルカを強奪していくしかないか」
「!」
そんな話をしているうちに、私達の順番が回ってきたのだった。
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